表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の女王  作者: M.D
2170年春
61/688

10

「もう少しで食堂だ。準備はいいな?」

「何の準備よ。」

「逃げる準備だ。」

「逃げることが前提なのかよ。」

「当り前じゃないか。ヒットアンドアウェイだ。ちらっと見てやばそうだったら、すぐに逃げるんだよ。」

「それもそうだな。」

「そうね。逃げる準備をしておくことには賛成。」

「じゃぁ、行くぜ。」


 扉を開けて食堂に入る。


「ん?何も見当たらない。」

「本当だな。草臥れた食堂があるだけだ。」

「やっぱり悪魔の幽霊が出る条件なんてなくて、ここにはいなかったのよ。」

「残念。」


 そう言って諦めかけた時、僕らの間を生暖かい風が吹き抜け、


「ふぇ?」

「うぎゃぁぁーーー!!悪魔だーーー!!」


 映像でよく見るような悪魔よりもさらに凶悪な存在が姿を現した。


「本当にでたぁぁぁぁーーー!!」

「ひぃぃぃぃ!!」

「怖すぎるうぅぅぅーーー!!」


 目の前にいる悪魔は背景が透けて見え、何故悪魔の幽霊と呼ばれているのか分かったような気がした。


「助けてーーー!!」

「うわぁぁぁぁーーー!!」

「キャァァァァーーー!!」

「ま、待ってーーー!!」

「お、俺をおいていくなーーー!!」


 皆一目散んに食堂を出ていくが、僕は恐怖で声も上げられない。


「はぅっ。」

「佐伯さん!」


 恐怖で動けない僕の方へ気を失って倒れてきた佐伯さんを支える形になった。


「樹君、ヒロポンを支えてくれてありがとう。」

「何とか。でも、逃げ遅れてしまった。。。」

「ど、どうしようか?」


 恐怖で頭が回らず何も考えられずにいると、頭の中に声が聞こえてきた。


(オレが精神エネルギーを奪おうとした瞬間に防壁をはるとは、なかなかやるではないか。)


 悪魔の幽霊の方を見ると、ニヤリと笑った。


(ほう、精神エネルギーの多い奴がいると待っていたら、オレの声が聞こえるということは貴様も魔族との融合者か?)

(魔族との融合者?)

(とぼけるつもりか?ならば、その実力を見せてもらおう。)


 バシッ!


 音がしたと思うと美姫さんが僕の前に回り込んでおり、悪魔の幽霊からの攻撃を防いでくれたようだ。


(ほう、オレの魔矢を叩き落すとは、お嬢さんも魔族との融合者だったか。面白い!)


 バタンッ!


 唐突に食堂の扉が閉まる。


(ばれないように上手くやってこれたと思っていたんだが、ワシらもついに奴らに見つかったかもしれんな。)

(仕方ないさ。ここに長居しすぎたんだ。)

(そうだな。よくぞ今までバレんかったとワシらの運を祝うべきだな。)

(あぁ。)


 先程とは別の声も聞こえてきて、何やら話を始めた。


(しかし、高校生の魔族との融合者を送り込んでくるとは、奴らも考えたな。しかも2人とは用心深いもんだな。)

(ちょっと楽しんでから精神エネルギーを頂いてここを引き払うか。)

(そうするしかないか。しかし、奴らの本隊が来んようにあまり派手にはやるなよ。)

(精神エネルギーが外に漏れないよう結界を張ったから大丈夫だ。)


(それと、いつもどおり、彼らも傷つけんようにしてくれんか。)

(お嬢さんはなかなかやるから、それは保証できかねる。それに、もうここにはいられないんだから、別にバレてもいいだろう?)

(そう言うな。ザグレドにとっては彼らなど赤子に等しいではないか。うっかりして優秀な若人の未来を閉ざしたくはないのでな。)

(オレに立ち向かってくる時点で、その覚悟は決まっているだろう。)


(ほう。悪魔と人間が共存しておるようじゃのう。ワレらは良いものを見つけたのかもしれんのう。)


 会話を聞いてエレナ様には気づいたことがあるようだ。


(どういうことですか?)

(その話は後じゃ。奴はワレと美姫で対応するから、樹は今はそこを動くでないぞ。)

(了解。美姫さん、何もできなくてごめん。)

(気にしないで。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ