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竜の女王  作者: M.D
2173年秋
605/688

24

「どうして!?」

「動けん!」

「うがぁぁぁ!」

「熱いっ!」


 美姫と珠莉の部屋に入ると、黒ずくめの4人の内2人が下半身を凍らされ、残りの2人が上半身を焼かれていた。


(どういう状況?)

(ココさんたちはここまで闇に紛れて遠繰機に乗ってきたみたいなの。それで、遠繰機を部屋に突っ込ませて自爆させようとしたんじゃないか、というのがエレナ様の推測。)

(それが上手くいかなかったから、ココさんたちが自ら乗り込んできた、と?)

(そう。そして、今はちょうど珠莉に返り討ちにされたところ。)

(成程。それにしても、珠莉の精霊魔法は凄い。)

(そうね。私もここまで圧倒的だとは思わなかった。)


 美姫と珠莉は無傷で、ココさんたちだけが苦しんでいる。


(ダーちゃん、素晴らしいよ。これなら私1人でも全然平気。)

(原子の運動エネルギーを別の場所に移すだけの簡単なお仕事なのですぅ。)

(そうなの?でも、あっさり倒せすぎて面白くないかも。)

(だったら、一旦、消してあげればいいんですぅ。)

(そうね。)


 珠莉が手を横に振ると、氷が解け、炎が消えた。


「妖精石ダーナの力がこれ程までとは、、、」

「なので、ココさんたちが向かってきても無駄ですよ。ダーちゃんも、そう言っています。」

「妖精石ダーナを”ダーちゃん”呼ばわりとは、捨ておけないね。さっさと妖精石ダーナを渡しなさい。」

「それはできません。」

「ならば奪い返すまでよ。」


 ココさんを含む4人が動こうとした瞬間、


「何度やっても無駄です。」


 先程と同じように4人の内2人が下半身を凍らされ、残りの2人が上半身を焼かれた。


「くそっ!この日のために高価な魔獣薬を買ったというのに、それでも我々では手も足も出ないのかい!?」


 ココさんが不穏な台詞を口走る。


「魔獣薬?樹様と美姫様はご存じですか?」

「否定。」

「私も知らないから、どんな薬なのかココさんに聞くしかないよね。」

「そうですね。あっ、このままだと話しにくいですか?」


 再び珠莉が手を横に振ると、氷が解け、炎が消えた。


「さぁ、これで話しやすくなったでしょうから、魔獣薬について話して下さい。」

「嫌よ。」

「そうですか。なら、話したくなるようにするまでです。」


 ビシュッ!


 ココさんの頬が切り裂かれる。


「これは警告です。話をして下さるまで、徐々に体を切り刻んでいきます。」

「好きにするがいい。」

「そうですか。話す気はないのですね。ならば仕方ありません。」

「・・・。」

「ふふふ。そう身構えなくてもいいですよ。最初はどこを痛めつけられたいですか?」


 冷たくココさんを見る珠莉の笑顔に狂気が宿っている気がした。


(珠莉ってこんな残忍な性格だったっけ?)

(そんなことないよ。いつもは優しい子なのに、どうしたんだろうね?)

(急速に強大な力を得たことによって、力に飲まれているのでしょうな。)

(そうじゃろうのう。ダー、しばらくは珠莉に頼まれても精霊を使役することを禁ずるのじゃ。)

(分かりましたですぅ。)

(えっ!どうしてですか?ココさんたちの方から襲ってきたんですよ。仕返しして何が悪いんですか?)

(その考え方が、もう普通の珠莉じゃないんだよ。)

(そうね。ダーちゃん、珠莉を眠らせておいてくれいない?)

(はいですぅ。)

(うぐぅ。)


 体の力が抜けて倒れてきた珠莉を受け止める。


(珠莉、ゴメン。でも、今は眠っていてくれ。)


「何が起きたの!?」


 ココさんには思考伝達での会話が聞こえていないため、いきなり珠莉が倒れ込んだことを訝しんでいた。


「珠莉は暴走気味だったので眠ってもらいました。」

「美姫がやったのか!?珠莉は妖精石ダーナに認められた精霊魔法の使い手なのだぞ。精霊石の使い手である美姫ごときが勝ることなど不可能なはずだ!」

「でも、出来たんです。この意味が分かりますか?」

「・・・つまり、珠莉を簡単に眠らせた美姫は、妖精石ダーナの力を得た珠莉の上をいくということか!?」


 ココさんが驚愕する。


「肯定。それに、美姫は珠莉より残忍ですよ。」

「樹は何を言っているのかな?」


 バンッ!バンッ!


「ひぃ!」


 ココさんの言葉を肯定した僕に向けて笑顔で魔導弾を撃つ美姫に、僕よりココさんの方が怯えていた。


「は、話さなかったら我々はどうなるんだ?」

「さぁ、どうなるんでしょうね。」

「・・・。」


 ゴクリ


 二コリとして答える美姫を見て、ココさんが唾を飲む音が聞こえる。


「でも、最終的にオマールクラブの餌になることは確定ですかね。」

「・・・分かった。話すわ。」


 そう言って項垂れたココさんは、あっさりと完落ちしたように見えた。

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