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竜の女王  作者: M.D
2170年春
60/688

09

「さぁ、本日のメインイベントだ!」


 東照宮の拝観を早めに切り上げて、今はホテルの廃墟の前だ。


「何が『本日のメインイベントだ!』よ。東照宮の拝観が修学旅行の主目的でしょ。」

「いいじゃないか。中田は真面目すぎる。早く行こうぜ。」

「ヒロポンも本当に行くの?」

「危なくなったら美姫に守ってもらうから大丈夫。」

「私は、、、樹君に守ってもらおう。よろしくね。」


 先生達の監視網をかいくぐり、ホテルを迂回して従業員入り口らしき場所から中に入る。


「なんか緊張するね。」

「あぁ、蜘蛛の巣が張っていて、廃墟って感じがする。」

「佐野君、あんなに張り切っていたくせに怖いの?」

「怖くはないさ。」

「本当?話をして気を紛らわしてるんじゃないの?」

「うるさいぞ、三輪。」


「広瀬は大丈夫そうだな。」

「そうでもない。この雰囲気だからな。思った以上に緊張している。斎藤は?」

「俺もだ。だが、少しづつ慣れてきた。」

「まぁ、本当にいるかどうかも分からん悪魔の幽霊相手に緊張しても意味ない気もするが。」

「同感。」


 三輪・佐野・斎藤・広瀬の4名はそれぞれ話をしているが、


「・・・。」

「・・・。」


 中田さんと佐伯さんは無言だ。


「日が差し込んで真っ暗じゃないから、怖さも少しマシだね。」

「美姫さんって結構度胸があるほう?」

「樹君がいるからかな。」


 僕も美姫さんと話をして、気を紛らわせる。


「佐野、悪魔の幽霊とやらはどこにいるんだ。」

「前も言ったように兄貴の話によると、食堂か客室のどれかに出ることが多いんだそうだ。ここからだと、食堂が一番近そうだから、食堂からでいいか?」

「じゃぁ、そうしよう。」


 食堂に向かっていると、悪魔の幽霊を見に来たと思われる別の班に会った。


「斎藤の班も見に来たのか。佐野がいるから来るんじゃないかと思ったが。」

「見たところ食堂には行ってきたみたいだけど、いなかったのか?」

「あぁ、いなかった。これから2階の客室に行くところだ。」

「そうか、食堂にはいなかったのか。」

「時間がないからもう行くわ。じゃぁな。」


 別の班の生徒は階段を上って、2階へ上がっていく。


「俺たちはどうする?」

「そうだな、、、食堂にいないんだったら、客室を探しに行くか。」

「2階は足立たちが探しに行くから、1階の別の場所を探すか、3階に行くか、別館に行くか。」

「兄貴は『3階は床が抜けそうになっているところもあって危険だから行かないほうがいい』って言ってたぞ。それに、悪魔の幽霊は本館以外には出ないらしいから別館もなしだ。」

「じゃぁ、1階の別の場所だな。」

「1階にも客室ってあるんだっけ?」

「あるみたいだぜ。他にも宴会場とかもある。」

「森林はどこにいると思う?」

「そうだな、、、」


(エレナ様はどう思いますか?)

(そうじゃのう、、、食堂とやらに向かうのじゃ。)

(でも別の班の生徒が悪魔の幽霊はいなかった、って言ってましたけど。)

(この先からかすかに精神エネルギーを感じるのじゃ。何かの理由があってワレらを待っているのかもしれんのう。)

(僕らを待っている理由、、、エレナ様は美姫さんと魂の結合をしているから、第2次悪魔大戦の時みたいにエレナ様を待っていたりしているわけじゃなさそうだし。)

(理由はワレにも分からんが、食堂にいってみることじゃ。)

(エレナ様がこう言われるんだから、食堂に行ってみよう。)

(そうだね。)


「食堂に行って確認してみない?」

「足立は悪魔の幽霊はいなかったと言っていたが。」

「ゲームとかでよくあるように、悪魔の幽霊が出る条件とかがあるのかもしれない。前の班の時にはその条件を満たしていなかったとか。」

「そんなことが現実にもあるかなぁ?森林君はゲームのしすぎじゃない?」

「いや、そう言えば兄貴も『悪魔の幽霊が出るといわれる場所は全部調べたけど、結局見れなかった』と言ってたから、森林の言う様に条件があるかもしれないな。」


「さすが魔法科の生徒。食堂はすぐそこだからそんなに時間もかからないし、確かめに行ってもいいんじゃないか?」

「そうね。」

「じゃぁ、食堂に向かうという事でいいか?」

「どこでもいいから早く行きましょうよ。」

「三輪、張り切っていた割には怖いのか?ちょっと震えているように見えるが。」

「震えてなんかいないわよ。さっさと行くわよ。」

「さっきのお返しだ。」


 皆で食堂に向かう。


「悪魔の幽霊ってどんなんだろうな。」

「やっぱり羊の角みたいなのが付いているのかな?」

「おでこに一本角が生えているかもしれないぜ。」

「本当に大丈夫なんでしょうね?」

「いざというときのためにこれを持ってきたから大丈夫。」


 佐野君はポケットから銀色の十字架を取り出す。


「佐野、吸血鬼じゃないんだから十字架なんて役に立たないと思うけど。」

「いいじゃねぇか。お守りだよ。」

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