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竜の女王  作者: M.D
2173年夏
570/688

24

黄金聖闘士ゴールドセイント!?」

「違う!」


 思わず叫んだ言葉は美大夫によって即座に否定された。


「・・・どうしたら、そんな間違いを出来るのだ、、、時代が違うだろうに、、、」

「もしかして、あなたはギルガメッシュでしょうか?」

「そうだ。余こそが冥界神ギルガメッシュである。フッハハッ。」


 !?


「この人がギルガメッシュ!?」

「いきなり本命のご登場!?」


 黄金の鎧を着た美大夫が自身のことをギルガメッシュだと告げると、皆、我が耳を疑い、


「うひゃー!やっぱりギルガメッシュは生きていたんよ!当方の考えは間違っていなかったんよ!」

「クソエロじじぃの説が正しかっただなんて信じられないわ。」

「私も伝説の英雄王に本当にお会いできるとは思いませんでした。」

「貴様らは余が生きていることを確かるために、余に会いに来たということか?」


 僕たちの言葉を聞いたギルガメッシュは訝しんだ。


「そうなんよ。それと、どのように不死を得たのかを知りたいんよ。」

「それは貴様も不死を得たいからか?」

「そんなことはないんよ。謎を解き明かしたい、という単純な好奇心からなんよ。」

「それだけのために危険を冒してここまで来たのか?」

「そうなんよ。」

「ふむ、、、」


 ロジャー教授の答えにギルガメッシュは何やら考え始め、


(さっきはいきなりのことで信じてしまいそうになったけれど、この人は本当にギルガメッシュなのかな?)

(確かに、今のところは自主申告でしかないわけだし。)


 間が出来て少し冷静になったところで、


(しかし、あ奴が不死であることは間違いないようじゃのう。)



 エレナ様が真実を1つ教えてくれる。


(そうなのですか!?)

(あ奴はワレらと同じ精神エネルギー体であるようじゃからのう。人間が精神エネルギー体になるには膨大な量の精神エネルギーを集めて凝縮せねばならんから、普通はあり得ないんじゃがのう。)

(あの人は自分のことを”冥界神”だと言っていましたし、シュメール人には冥界神を祀るお祭りがあたようなので、それで精神エネルギーを集めたのかもしれません。)

(『祈りによって精神エネルギーの回収が容易になる』のでしたっけ?)

(そうですが、世界各地でも神格化された人間は多数いますし、エレナ様が『普通はあり得ない』と言われておりますので、ただ精神エネルギーを集めるだけでは精神エネルギー体にはなれないのでしょうな。)

(そうじゃ。精神エネルギーを凝縮できねば精神エネルギー体にはなれなのじゃ。)


(でも、この建造物は『冥府に達するほど深い』と言われていて、そこにいるギルガメッシュが”冥界神”か。何か繋がりがあるのかも。)

(・・・それよ!この建造物はもともと精神エネルギーを集めて凝縮する機能を持っていて、ギルガメッシュはそれを使って精神エネルギー体になったんじゃないかな?)

(それはあり得ますな。)

(あ奴がそれを知っておったのか、はたまた偶然じゃったのか、は分からんがのう。)


 謎は深まるばかりだ。



「・・・良かろう。余と戦って力を示すことができたら、不死になる方法を教えてやっても良い。」


 しばしの熟慮の後、ギルガメッシュがそう結論を出した。


「あなたと戦うのですか?」

「そうだ。余も不死になってから分かったのだが、不死は退屈なのだ。長時間睡眠によって起きた後の時代の変化を楽しむのも退屈しのぎには良いのだが、たまには体を動かしたいのだ。蠍の魔物や食屍鬼を倒せる貴様らなら余の運動に付き合えそうだからな。」

「そう言って以前ここを探索しに来た調査団とも戦ったのでしょうか?」

「フッハハッ。あいつらは蠍の魔物にも手こずるような奴らだぞ。余の運動相手にもならん。だから、早々に昇降機でこちらに来させて、余の糧としたのだ。」

「そんな、、、上級魔法使いでも相手にならないなんて、、、」

「多少骨のある奴もいたが、運動にもならなかったぞ。」


(ギルガメッシュ、めっちゃ強い!?)

(精神エネルギー体ですからな。)

(私たちで勝てるでしょうか?)

(ワレらの補助を受けたとしても、今の美姫と樹では何度やっても勝てはせんじゃろうのう。)

(それ程ですか!?)

(精神エネルギー量は下級悪魔程度ですが、叙述詩になるくらい戦闘経験は豊富でしょうし、能力も不明ですからな。)


 それって相当危険な状況なのではないだろうか。


(どうしたら良いでしょうか、、、)

(心配するでないのじゃ。ワレらが”補助”ではなく”直接”あ奴と対峙すれば、何てことないのじゃ。)

(良かった。。。)

(それに、ギルガメッシュは美姫さんと樹君たちを害する気はないようですからな。)

(そうなのですか?)

(あ奴としては、退屈しのぎの遊び相手になってほしいのじゃろう。『戦って力を示すことができたら』と言っておって、『倒せたら』とは言っておらんからのう。)

(成程。)


「『不死を得る方法はもういい』と言えばこのまま小生たちを帰してくれる、なんてことはないんよね?」

「余がそうすると思うか?」


 ギルガメシュがジロリとロジャー教授を睨む。


「美姫さん、どうするの?」


 さすがの百合子さんも不安そうに美姫に判断を求めてきた。


「そうですね、、、ここは言うとおりにするしかないと思います。」

「大丈夫かしら?上級魔法使いですら相手にならずに食屍鬼にされてしまったのよ。」

「上級魔法使いといっても”複数人で”悪魔と対峙可能なだけで、調査団にはおそらく1人しか上級魔法使いがいなかったことが勝てなかった要因だと思います。」

「えっ!?ギルガメッシュは悪魔なの!?」

「悪魔と同じくらい強い、という意味です。」

「そう。。。それで、戦って勝てるの?」

「分かりません。しかし、全員無事で地上に帰して見せます!」


 美姫が明確にそう言い切ったことで、皆の憂慮が少しだけ緩和されたように感じた。

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