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竜の女王  作者: M.D
2173年夏
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14

(でかい!)

(それに魔導弾が弾かれたよ!?)

(あ奴の外骨格は魔導力を弾くようになっておるのじゃろう。)

(ならば、徹甲魔導弾を使って物理で殴ってみますかな?)

(おぉ!早くも銃型補助具に施された改良項目の1つを実戦投入するんですね!)

(樹、感動するのは後にして、今は蠍の魔物を倒すことに集中しましょう。)

(了解。)


 美姫と僕は徹甲魔導弾を撃つための特別な命令規則を送ると、


 バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!


 放たれた徹甲魔導弾は弾かれることなく蠍の魔物の外骨格を貫いた。


(徹甲魔導弾は効くみたいだ。)

(美姫は全弾命中させたの対して、樹は一発外しておるがのう。)

(それでも頭を潰して蠍の魔物を行動不能にできていますし、初戦ですからこんなものでしょうな。)

(そうですよ。射撃は樹の方が上手いんですから。)


 バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!


 徹甲魔導弾は次々と蠍の魔物を貫いていき、ほどなくして蠍の魔物を殲滅した。


「終わったん?」


 銃撃音が止んだことを聞き定めて、運搬機が展開した盾からロジャー教授が顔をのぞかせる。


「はい。」

「お疲れ様なんよ。魔物は蠍だったんね。こんなにあっさりと魔物を負かしてしまうなんて、美姫さんも樹君も凄いんよ。」

「私たちの実力というより、この銃型補助具に負うところが大きいんです。」


 美姫は銃型補助具をロジャー教授に見せた。


「そうなん?それも含めて2人の総合力なのだから、小生が2人に同行をお願いしたのは大正解だったんよ。これからも、よろしく頼むんよ。」

「はい。」


「美姫様も樹様もご無事で何よりです。瞬く間に終わってしまったので、私の出番がありませんでした。」

「和香は戦闘に参加する必要はないよ。それより、ロジャー教授を守ることに専念して。」

「はい。しかし、万が一の時には美姫様の安全を第一に行動致します。」

「そうならないように、私も努力するよ。」


 声色からすると、和香も緊張していたようだった。


「しかし、徹底的にやったわね。」

「後ろにはロジャー教授と和香がいますから、一匹も通さないつもりでした。」

「私が後詰にいたわけだけれど、蠍の魔物は最初の魔導弾を弾いていたから、私の”大砲系”の魔法も弾かれてしまうと考えたのね。」

「百合子さんの魔法については信頼していますので、それはありません。」

「白々しいわね。それで、2人はどうやって蠍の魔物を倒したのかしら?」


 百合子さんは先程の交戦をしかっり観察していたみたいだ。


(いつもながらに百合子さんは抜け目ないね。)

(同意。敵の弱点を見つける事が勝利への近道だ、と思っているような人だから。)

(しかも、弱点を見つけたらそこを執拗に責めるような陰湿な女なのよ。)


「美姫さん、私に対して思うところがあるのなら直接言って頂戴。」

「いえ、何でもありません。」


(勘も鋭い。)

(こうやって高速思考と思考伝達を駆使しているのに、美姫が百合子さんの悪口を言ったことに気が付くくらいだし。)

(さっきのは悪口じゃなくて真実よ。でも、もし百合子さんも思考伝達できるようになったら、と思うとゾッとするね。)


「まぁ、いいわ。美姫さんがクソエロじじぃに言ったことを鑑みると、蠍の魔物を倒せたのはその銃型補助具のおかげかしら?」

「半分正解です。」

「もう半分は?」

「蠍の魔物を倒した徹甲魔導弾は、樹が開発した魔法だからです。」

「徹甲魔導弾って、樹が前に教えてくれた魔法よね。強力だけれど撃つのに物凄く時間がかかる、とも言っていたから、その銃型補助具で魔法の発動時間を短縮しているのね。」

「はい。」


(理解力も半端ないね。)

(2年でヒューストン大学を卒業して大学院に進学した才女の面目躍如、ってところか。)

(私も負けてられないよ。)

(やっぱり百合子さんに対抗心対抗心を燃やしてる、、、)


(それにしても、この銃型補助具は凄いですね。今までエレナ様やグレンさんがして下さっていた補助を銃型補助具に取り付けられた補助演算装置が代替してくれて、私たちだけで徹甲魔導弾を撃てるようになったのですから。)

(そうじゃろう。限られた容量しかない補助演算装置にワレらと同じ役割を担わせるようにするのには苦労したのじゃ。)

(それには美姫と僕もかなり協力しました。)

(2人とも補助演算装置に徹甲魔導弾の発動状態を学習をさせるための試射を繰り返しくれましたからな。)


 撃っては調整、撃っては調整の繰り返しで、この銃型補助具の開発では、美姫も僕もかなりの魔法を撃ちまくったのだ。


(試射でその効果に確信がありましたが、実戦で使えるようになったのは命令規則数の大幅削減によるところも大きいですね。)

(そうじゃのう。魔法の腕輪に徹甲魔導弾の命令規則を直接送っていた頃は、規模が大きすぎて美姫の魔法の腕輪には入れておけんかったからのう。)

(補助具への命令規則が可変長命令で単一の命令で複数の処理を行えることが功を奏した良い例ですね。)

(しかし、いくつかの条件を変数にした命令規則を補助演算装置に送り込まなければなりませんから、その組み合わせの最適化は必要ですな。)

(そうですね。今回の戦闘でも、樹の使った銃型補助具の方が反応が僅かに遅かったようですから。)

(単純に、樹が命令規則の送り込みに美姫ほど熟達しておらんからではないかのう。)

(否定できない。。。)

(それは、今後の射撃回数が増えてくれば自ずと分かってくるでしょうな。)

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