02
喫茶店を出て、予定通り百貨店の下着売り場に行く。
「ここは立体裁断によって機能性を持たせた下着を作ってくれるので、私のような人にはぴったりなんです。」
「そうなんだ。最近珠莉が見つけたのはここなのね。私も試しに買ってみようかな?」
「2人用の試着室もあるので、一緒に試着しますか?」
「うーん、、、樹はどちらがいいと思う?」
突然、美姫に話を振られた。
「僕に言われても困るのだけど?」
「そう?樹が私たちの下着を選ぶのよ。その時に、珠莉と私の下着姿を一緒に堪能したいか、別々に堪能したいか、の2択なんだから、どちらがいいか選んで。」
「僕は外にいるから――――」
「ダメよ。」
「その言い方、百合子さんに似てた。」
「ふふふ。それで、どうするの?」
「美姫さんと私の下着を一緒に選べば比較ができますよ。」
僕の困った様子を見て、珠莉は助け舟にもならない発言をする。
「そうね。それに、別々だと樹は長い時間ここにいけなくなるよね。樹としてはそちらの方がいいのかもしれないけれど。」
「・・・それじゃ、一緒で。」
「分かった。着替えるから少し待ってて。」
「了解。」
そこはかとなく誘導された気もするが、2人は一緒に試着室に入っていった。
「お待たせ。」
「お待たせしました。今から映しますね。」
珠莉が慣れた手つきで画面を操作して下着を投影する。
「こうやって直で見ると、珠莉の胸は大きいね。着やせする方?」
「よく言われます。学校に行くときには制服を着ないといけないので無理ですが、普段はあまり人から注目されないように胸が小さく見えるような服を着てたりします。」
「そうなんだ。珠莉も苦労しているんだね。」
「はい。ジロジロ見られるのは気分の良いものではないので。あっ、樹様だったらいくらでも見て下さってよいですよ。」
「だって。だから、樹も珠莉の下着姿を堪能しときなさい。」
そう言って、美姫が僕の方に珠莉を押し出してきた。
「ちょっ、それ以上近づいたら触ってしまう。」
「いいですよ。樹様になら触れられても。」
「えっ!?いや、、、それじゃ、お言葉に甘えて――――」
僕が手を伸ばそうとしたとき、
「はい、奉仕時間は終了です。」
ニマニマしながら美姫が珠莉を引き戻す。
「もう、美姫様。あと少しで樹様に触れてもらえたのに。」
「ふふふ。見て、あの残念そうな樹の顔。おかしいwww」
「・・・。」
美姫は僕をからかっていただけのようだ。
「そんなことより、樹に下着を見てもらいに来たんだから、存分に見せつけてあげましょう。」
「そうですね。ちなみに、樹様、今のはどうですか?」
2人にはレースをふんだんにあしらった下着が投影されている。
「いいんではないでしょうか。」
「・・・反応が薄いですね。」
「もっとエロい方がいいのかも。」
「それだったら、これなんかどうでしょう?」
「いいんじゃない?」
次に珠莉が選んだのは、隠すべきところだけ布地が厚くなっている意匠をこらしたスケスケの下着だった。
「それはダメでしょ。」
「樹様がそう言うということは、これは採用ですね。」
「そうね。でも、下はいいとして、上はちょっと紐が細くて長い間着けてると痛くなりそうじゃない?」
「立体裁断することで下着全体で胸を支えるように出来るはずですから、大丈夫だと思いますよ。」
「それなら決定ね。」
「えーっと、僕の意見が反映されていないようだけど、必要?」
「必要よ。」
「そうです。樹様の意見は貴重なので、これからもドシドシお願いしますね。」
「・・・了解。」
まだまだ続くらしい。
「次は、これなんかどう?」
「面白い下着ですね。」
新たに投影されたのは、普通の服から大半の布をくりぬいたような下着だ。
「いいと思う。」
「そこそこの反応ですね。」
「そうね。柄が樹好みだし。それに、これだったら夏に部屋着として着たら涼しくていいと思わない?」
「うーん、、、樹様と2人だけだったら問題ないと思いますが、誰か来た時に大変じゃないですか?」
「その時には上に一枚何か羽織ればいいのよ。」
「それもそうですね。それじゃ、これも採用ということで。」
それからも次々に下着の評価を求められ、ようやく終わったと思ったら、
「次は服を見に行きましょう。」
「はい。コスプレ系の可愛い服を置いてあるお店があるので、そこからでいいですか?」
「いいよ。」
更に服屋をはしごしながら何着も選ばされて、ヘトヘトになって1日を終えたのだった。




