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竜の女王  作者: M.D
ミセシメ会2
543/688

03

「樹様、続きをお願いします。」

「了解。」 


 披露宴の最中にダービルの封印が解かれた後、キュリアさんやダービルとの戦闘になったことを詳細はぼやかして語ると、


「そのようなことがあったのですか。それでは、実質的には美姫様と樹様が問題を解決成されたようなものではないですか。」

「そうですね。真祖の吸血鬼を一度は倒してしまうとは、2人とも大学の卒業を待たずに上級魔法使いに認定されてもおかしくないわ。」

「折角、森林君から美姫様の華麗な活躍を聞けたのに、非公式のものであるであることが悔やまれるわ。そうでなかったら、会報に載せて皆と喜びを分かち合えたのだけれど。」


 3人はそれぞれ感想を述べ、


「ジョージさんも自分が見ていない場面だから仕方ないのかもしれないけれど、もう少し正確に美姫様の活躍を伝えてほしいものね。」


 竜胆さんはジョージさんに不満を言葉にするが、


「それでも、きちんと美姫様が吸血鬼に止めを刺したことを伝えてきたのですから、ジョージさんの情報に間違いはありませんでしたよ。」

「それに、”神話級”の魔法具であるエクスカリバーの使い手となったジョージさんが、今後の我々の活動に多大な貢献をして下さるだろうことは想像に難くありません。」


 和香と花梨さんはそれを窘めた。


「それにしても、吸血鬼の封印を解いたのは誰なのでしょうね。」

「いくら結婚式で警備が薄くなったとはいえ、ペンドラゴン家も実力者を警備に残していたはずですから、それをも突破するとは世界でも上位の魔法使いなのでしょうが、そんなことをしそうな魔法使いをぱっとは思い浮かびません。」

「大丈夫ですよ。聡明な美姫様がそのうちに解決して下さいます。」


「そうですね。美姫様が支配する世界にそのような者は不要ですから。」

「出来れば美姫様のお手を煩わせたくはないですが、我々では勝てないでしょうから美姫様に頼る他ありませんね。」

「そうしないためにも”能力のある魔法使い”である森林君に期待したいところだけれど、まぁ、無理な話よね。」


「美姫様は常に樹様を伴われて行動されています。それだけ美姫様は樹様に期待されているということですから、上島副会長も滅多なことは言わないようにしないといけませんね。」

「それから、美姫様を守るのは樹君の役割だ、ということは樹君も胸に刻んでおかなければなりませんよ。」

「何があっても森林君は美姫様の足を引っ張らないように。もし、そうなったら四肢を切り刻んでアマゾン川にいるピラニアの餌にしてあげるわ。」

「・・・了解。」


 途中から何故か僕の方にも矛先が向いたので、とりあえず頷いておいた。



「では、樹様、最後に帰国までの話をお願いします。」

「了解。」


 和香に促され、リリーナさんに誘われてロンドン観光をしたところから帰国までの話をした。


「美姫様がシャーロックホームズをよく読まれていることは存じていましたので、ロンドンで博物館に行かれた時には喜ばれたでしょう。」

「私は美姫様がシャーロックホームズを好まれていたことを知りませんでした。」

「このこともいずれ会報には載せないといけませんね。私も英知な美姫様とオタク話ができるように小説を読み込んでおくことにします。」


「何にしても、美姫様と樹様が無事に帰国されて私はホッとしました。やはり、美姫様が手の届かないところに行かれるのは不安で仕方ありません。」

「そうですね。まして、今回は吸血鬼騒動などあったのですから尚更です。」

「今後は利発な美姫様は世界を飛び回るようになられるでしょうから、今回のことを踏まえて、早急に海外の支部を増やす必要がありそうですね。」



 その後も3人は一晩中、ロンドン旅行での美姫の行動について語り続け――――


「もうこんな時間。美姫様の朝食をお作りしないといけないから、お開きにしましょう。」


 朝日が差し込むころになって和香が立ち上がり、


「そうですね。まだまだ語りつくせないけれど、残りはまたの機会にすることにします。」

「それでは私たちはお暇しましょう。」


 花梨さんと竜胆さんも立ち上がる。


「2人は朝食はどうしますか?」


 和香の質問に対して、


「また美姫様を怒らせるのも本意ではないので、前回と同様、2人で喫茶店でモーニングでも食べることにします。」

「そうですね。そうしましょう。」


 と言って、花梨さんと竜胆さんが僕の部屋を出たところで、美姫とバッタリ出会った。出会ってしまったのだ。


「あれ?和香がいないから樹を起こしに行ったのかと思って私も見に来たのだけれど、どうして花梨大佐と竜胆さんが樹の部屋から出てくるのかしら?」


 美姫が冷ややかな笑みを浮かべたところで、


「ご説明したいところですが、大和大佐に直ぐに出頭するよう言われているため、申し訳ありませんが失礼致します。」

「私も早朝からある仕事に行かないけないのだったわ。」


 花梨さんと竜胆さんは逃げるように帰っていったのだが、残された僕は美姫からコッテリと絞られたのだった。何故に僕だけ!?

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