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竜の女王  作者: M.D
2173年春
536/688

28

(やった、、、のか?)

(いえ、まだです。ユーサーとともに戦った時もこの状態からダービルは復活し、倒しきることが出来なかったため、仕方なく封印を選んだのです。)

(そうだったのか。)


 倒れたダービルの体からは糸のようなものが伸びつつあった。


(あれで、2つに分かれた体を引き合わせようとしているのかもしれません。)

(そうでしょうな。しかし、今回はそうはいきませんな。)

(うむ。美姫、止めはワレらでさすのじゃ。)

(はい。)


 バンッ!バンッ!


 美姫が冷静にダービルの”右胸”に魔導弾を撃ち込み、心臓の動きを止めた。


「美姫、、、何を?」

「ダービルの心臓は右側にあるようなのです。それで、魔導弾で心臓を撃ち抜きました。」

「それで前回に俺たちのご先祖様がダービルを滅することができなかったのか。」

「そうだと思います。」

「では、これで本当に終わりなのだな?」

「はい。」


 ダービルの体から伸びていた糸のようなものも、もう動いていない。


(これでユーサーとの約束も果たせました。)

(それは、これでカリバーンは消えてしまう、ということか?)

(そんなことはありません。必要とされる限り、私はあなたと共にあります。)

(そうか。では、これからもよろしく。)

(はい。)


「ジョージ、ダービルはもう復活しないの?」

「あぁ。」

「ペンドラゴン家の悲願を達成出来たのね?」

「そうだ。俺たちがやったんだ。」

「ジョージ!!」


 リリーナさんが最初は恐る恐る、そしてダービルの復活がないことが分かってからは全力でジョージさんに駆け寄り抱きついた。


「それと、その剣は・・・?」

「この剣はカリバーンでもあり、エクスカリバーでもある。」

「どういうこと?」

「カリバーンは剣身があるときの呼称で、魔導剣の状態がエクスカリバーなんだ。つまり、エクスカリバーはエクス・カリバーンなわけだ。ややこしいから、これからこの剣のことはエクスカリバーと呼ぶことにする。」

「そう。それじゃ、この剣がペンドラゴン家に伝わる”神話級”の魔法具であるエクスカリバーでいいのかしら?」

「そう考えて間違いない。」

「ジョージ、最高よ!ジョージを選んだ私の目に狂いはなかったわ!」


 リリーナさんは歓喜のあまりジョージさんに口づけをする。


「御二人とも、おめでとうございます。」


 オリスさんがジョージさんとリリーナさんに近づき、祝福の言葉を述べた。


「オリスもありがとう。オリスの未来視の魔眼が無かったらダービルを倒せていなかったわ。」

「お役に立てたようで何よりです。」

「それにしても未来視の魔眼は素晴しい魔法具ね。最初は、身体強化に初めて成功したときのように、自分の体が自分ではない誰かに動かされているように感じたけれど、それに素直に従うことで更に身体強化されたように動けたわ!」

「ふふふ。美姫さんと樹君にも未来視の魔眼による未来予測の共有ができたらもっと早くに倒せていたのかもしれないけれど、私はまだ未熟で2人までしか予測の共有をできないから申し訳ない気持ち。」

「ううん。オリスはよくやってくれたわ。」


 リリーナさんとオリスの話を聞いて、


(そうか、そうじゃたのか!)


 エレナ様が声を上げた。


(エレナ様、どうされたのですか?)

(ワレが感じていた違和感の正体が分かったのじゃ。)

(それは何だったのでしょうか?)

(あの魔法具の名前じゃ。)

(未来視の魔眼ですか?どこもおかしいところはないように思いますが。)

(美姫が知っている他の”神話級”の魔法具の名前を挙げてみるのじゃ。)

(私が知っているのは、桜花、エクスカリバー、アイギス、ウワス・・・そういうことですか!?)

(美姫は分かったようじゃのう。)

(はい。オリスさんの未来視の魔眼だけ、固有名詞ではないのですね?)

(そうじゃ。)


(だからと言って、何が変なのでしょうか?)

(たぶん、魔法具に固有名詞をつけていない理由があるのよ。)

(そのとおりじゃ。おそらく、未来視の魔眼はその能力を誤解させるために、わざと固有名詞をつけておらんのじゃろう。)

(どういうことでしょうか?)

(未来視の魔眼によって予測された未来をなぞるように動けるよう予測を共有した者に補助を行う際には、リリーナが先程言っておったとおり『自分の体が自分ではない誰かに動かされているように』なるのじゃ。)

(つまり、未来視の魔眼による未来予測を共有すると体を操作される、ということですな。)

(そうじゃ。そして、それこそが未来視の魔眼の本当の能力なのじゃろう。起こり得る確率の高い未来を予測するというふれ込みがあるからこそ、未来視の魔眼が見せる未来が正しいと思わされてしまって、それに従ってしまうのじゃ。)


(その未来が偽りの未来だったら、、、)

(未来視の魔眼を持つ者が意図する未来に誘導されてしまうじゃろうのう。)

(実際に予測する未来の大半は正しいもので、その中に誘導したい未来を混ぜ込むことによって、未来予測を共有する者に違和感を抱かせないようにしているのですな。)

(だからこそ、『自分の体が自分ではない誰かに動かされているように』感じても、おかしいと思わないのですね。)

(巧妙。)

(未来視の魔眼は他者操作が本当の能力で、未来予測はそれに付随する能力なのじゃろうが、未来予測を前面に押し出すことによって、他者操作を隠しておるのじゃろう。)


(だとすると、オリスさんのことを信用しない方がよさそうですね。)

(うむ。美姫も樹も注意するのじゃ。)

(分かりました。)

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