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竜の女王  作者: M.D
2173年春
525/688

17

「美姫、樹、どうする?私たちはオリスが来るまで待つつもりよ。」

「いえ、まずは私と樹だけで一当てしてみます。」


 思案する美姫と僕にリリーナさんが確認をし、美姫がそれに答えた。


「そう、、、でも、危なそうだったら直ぐに引くのよ。」

「分かりました。」

「それじゃ、合図をしたら突入して頂戴。」

「はい。」


 リリーナさんが無線でペンドラゴン家の魔法使いとしばし話をした後、


「3、2、1、行って!」


 合図と同時に魔導弾の音が消える。


「樹、行くよ。」

「了解。」


 僕たちがダービルのいる部屋に入ると、


「気をつけろ。」

「後は頼んだ。」


 すれ違いざまにペンドラゴン家の魔法使いから声をかけられた。



「漸く来たか?」


 部屋の中央には紳士然とした男性が悠然と椅子に座っており、その隣に直立不動の女性がいる。


「あなたがダービルですね?」

「如何にも。待っていたよ。」


(2人がダービルとキュリアさんみたい。ダービルからは強い魔圧を感じるね。)

(同感。一筋縄はいかなそうだ。)

(それから、ダービルの封印を解いた者はここにはいないようね。)

(別行動をしているのだとしたら、ダービルの封印を解いた目的は何なんだろう?)

(分からないけれど、ダービルならそれを知っているかも。)


 美姫と手早く状況を確認した。


「ん?先程まで君から感じられていた悪魔の精神エネルギーが消えているな。君は融合者だと思って待っていたのだが、違うのか?」

「違います。」

「・・・そうか。悪魔の精神エネルギーを堪能できると思って待っていたのだが、余の勘違いだったか。」


(僕から悪魔の精神エネルギーが感じられた、ってどういうことですか!?)

(そのままじゃ。樹の精神エネルギーに少しザグレドの精神エネルギーを混ぜて放出させておいたのじゃ。)

(どうしてそんなことを?)

(その方がダービルとやらの興味を引いて誘いやすいと考えたからじゃ。)

(・・・エレナ様はよくそういう鬼畜な手を思いつきますね。)

(ワレを褒めても何も出んのじゃ。)

(褒めてません。。。)


「なんにせよ、復活したばかりで余の勘が戻っていないだけかもしれないが、君が融合者かどうかは戦ってみれば分かることだ。」

「その前に、あなたの封印を解いた者が何者で、その目的は何か教えてもらえませんか?」

「今、余はお嬢さんと会話をしていないのだが、割り込んできた上に目の前の余よりもここにいない者に興味を示すのか。不愉快だな。」


 美姫の発言に不機嫌になったダービルからの魔圧が強くなる。


「ぐっ!」


(何て強い圧力だ。)

(エレナ様やグレンさんと特訓してなかったら倒れてしまったかもしれないね。)


「ほう。これに耐えるか。この者は余の魔圧を受けて恐怖で失禁し、他の者は気絶してしまったというのに、君たちはたいしたものだ。」


 ダービルはキュリアさんの方をちらりと見ながらニヤリと笑う。


「良かろう。君たちがキュリアに勝つことができたら、余の封印を解いた者について知っていることを教えてやろう。」

「ありがとうございます。」

「だが、心してかかることだ。キュリアは君たちが思っている以上に強いぞ。」


 ダービルがそう言った後にキュリアさんの姿がぶれ、


 ドンッ!


 辛うじて領域型魔力探知に連動して自動発動した魔導盾でキュリアさんの突進を止めた。


(危なかったね。。。)

(同感。キュリアさんの速度が想定以上に速かったから、領域型の魔力探知範囲を広げていなかったら間に合わなかった。)

(キュリアさんを貶めて私たちの方が上だと思わせておいてからのこれだものね。意地が悪いよ。)

(同意。普段からエレナ様に意識外からの嫌がらせをされてたことが不幸中の幸いだった。)

(そこでワレの名前を出すでないのじゃ!)


 突進を止められたキュリアさんは再びダービルの隣に戻る。


(思いの他、ダービルも慎重ですな。)

(そうじゃのう。キュリアとやらを使って、どこまでがワレらの防御範囲なのか図ったようじゃからのう。)

(あれにそんな意図があったんですか。。。)

(相手の能力を知ることは勝つ確率を上げるために大事なことですからな。)


「これを防ぐか。だが、準備も整っていないところからの対処は見事だ。君たち、戦い慣れているな?」

「・・・。」

「余に教えを乞うておいて、自分たちはだんまりか?不意打ちを卑怯とでも思っているのか?」

「いえ、答えなかったのは、私たちは戦闘経験がそれ程ないため、単純に私たちがあなたの『戦い慣れている』という基準に合致しているか迷ったからです。」

「瞬時に言い訳を思いつくとは、頭も回るようだな。人間にしておくのは惜しい。どうだ?隷属化はせぬから、吸血鬼になって余の部下にならないか?」

「お断りします。」

「よろしい。ならば、戦闘だ。」

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