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竜の女王  作者: M.D
2173年春
515/688

07

(あ奴の左目は本物ではないようじゃのう。)

(えっ!?そうなんですか?)


 突然のエレナ様の言葉に面食らう。


(全くそんな感じには見えませんが?)

(樹には分からなくて当然じゃろうが、ワレほどの観察力があれば見抜くことなど容易いのじゃ。)

(それじゃオリスさんの左目は義眼なんですね。)


(でも、本物の目と同じような動きができる義眼なんて、今の技術で実現できるんだろうか?)

(そうね。そうするためには神経とか筋肉とかを繋がないといけない気がするよね。)

(あの義眼が魔法具なら可能性はありますな。)


 グレンさんの指摘は正しい気もするが、何処か腑に落ちない。


(うーん、、、そうでしょうか、、、)

(もしオリスさんの義眼が魔法具なら、未来視の魔眼はその魔法具の効果、とも考えられないかな?エレナ様はどうお考えですか?)

(そうじゃのう。今は発動中ではないようじゃから、ワレにもあ奴の義眼が魔法具かどうかまでは分からんのじゃ。)


(エレナ様の観察眼をもってしても分からないと。)

(樹、先程の仕返しというわけかのう?)

(否定。全然そんな意図はありません。)

(嘘をつくでないのじゃ。)


(しかし、あれが魔法具だとすると、どのような原理で未来視をしているのか気になりますな。)

(おおよその推測は出来るが、正確なことは実際に発動状態を見てみないと分からないからのう。)

(美姫さんと樹君がロンドンにいる間に、そのような場面に立ち合えればよいのですがな。)

(そうじゃのう。)


 エレナ様は惑星ヴァロで魔法銃の最適化をしてから、新しい魔法の腕輪や魔法具を見るたびに、その動作原理を解析し、1歩進んだ物を作ることが楽しみの1つとなっていたが、エレナ様とグレンさんの望みがこの後すぐに叶えられることになるとは、この時は露にも思わなかった。



「ジョージさんとリリーナさんに挨拶しに行く人がいなくなったみたいね。」


 新郎新婦の2人と話をしていた人が離れたところで、陽菜さんが僕たちに声をかけた。


「今から行きますか?」

「そうね。この機会に行きましょう。」

「はい。」


 席を立って2人のところに挨拶に行くと、


「Wishing you a lifetime of love and happiness.」


 用意していたのだろうお祝いの言葉を美姫が告げる。


「美姫、陽菜、樹、来てくれてありがとう。」

「こちらこそ、招待ありがとうございます。」

「ウェディングドレス姿のリリーナさんもお綺麗です。」

「ありがとう。美姫のドレスも素敵よ。」

「ありがとうございます。」


 美姫とリリーナさんが親しげに会話するのを見て、


「ん?リリーナと美姫は親しげな様子だが、2人は恋敵だったのではないのか?」


 首をかしげるジョージさんだったが、


「ジョージ、この場において冗談でもそんなことを言うなんていい度胸ね。」

「そうです。ジョージさんにはリリーナさんを幸せにする責任があるのですよ。」

「・・・すまない。」


 リリーナさんと美姫から凄まれて素直に謝った。


「しかし、今まで2人は話したこともなかったのではないか?空港で会ったのが初めてだと思ったのだが。」

「えぇ、そうよ。でも、その後、美姫とはじっくりと話をして、お互いの気持ちを確認しあったのよ。」

「いつの間に、、、」

「いい女には男が知らない秘密がつきものなの。」


 リリーナさんはとびっきりの笑顔でウインクする。


「ジョージさんには結婚をした自覚を持ってもらわないと困りますね。」

「ぐぬぬぬ、樹にまで言われてしまうとは不覚。特別こ、、、ゴホン。」


 ジョージさんは何かを言いかけて咳払いで誤魔化した。


「??」

「何でもない。えーっと、あれだ。美姫との結婚式には絶対に俺も招待するのだぞ。その時までに仕返しの言葉を考えておくから。」

「どうしましょうかね、、、」

「まぁ、それまでに美姫に愛想を尽かされなかったらの話だがな。その時には俺が――――」


「ジョージ、余計なことは言わない!美姫も、樹との結婚式には私もよんでね。万難を排して駆けつけるから。」

「はい。その時は是非御二人でいらして下さい。」


 そこからさらに少し話して席に戻った後、休憩時間を挟んで新郎新婦のファーストダンスでアフターパーティーが始まる。


「小さいころからこういう場でダンスをしているからか、皆上手ね。」

「同感。僕たちはダンスに馴染みがないから、参加に尻込みしてしまう。」

「ダンスなんて気楽に踊ればいいのよ。それに、チークダンスだったら音楽に合わせて揺れればいいから、2人でも大丈夫だと思うわよ。」

「それだったらダンスの練習をしていない僕たちでも踊れそうです。」

「そうね。折角だから私たちも参加しましょう。」

「了解。」


 陽菜さんが勧めてくれたように、ゆっくりした曲調になった時に僕たちもダンスに参加した。


「ふふふ。樹、顔が赤いよ。」

「こんなに密着するとは思わなかったから。」

チークと頬がくっつくほど抱き合うようにして踊るんだから当然でしょ。」

「美姫は知ってたんだ。」

「樹だったらいいかなって。」


(青春じゃのう。甘酸っぱいのう。)

(そうですな。ワシも若い頃を思い出しましたな。)


 そんな感じで盛り上がったパーティーはこのまま夜遅くまで続くかと思われた。

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