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竜の女王  作者: M.D
ミセシメ会1
505/688

01

 深夜23時。皆が眠りについた頃、4人の人物が1つの机を囲むように座っている。


「って、ここは僕の部屋なんですが?」

「私は美姫様のお側を離れるわけにはいきませんので、樹様の部屋が会合をするには最適なのです。」

「美姫様の隣の部屋でこんな会合をするなんて背徳感があってゾクゾクしていいと思うが。」

「私としては美姫様の近くにいられるのならどこでもいいけれど。それにしても、見渡す限り視界に砂しか入らない砂漠のように殺風景な部屋ね。」

「余計なお世話です。」


 その4人とは、僕、和香、花梨さん、竜胆さんだった。


「それでは、美姫様の非公式同友会である”美姫様による世界支配を目指す会”略して”ミセシメ会”の第4回最高幹部会を始めましょう。はい、拍手。」


 パチパチパチパチパチパチ


 僕を除く3人が控えめに拍手をする。


「何ですって?」

「樹様はミセシメ会の特別顧問なのですから、ちゃんと覚えておいて下さいね。”美姫様による世界支配を目指す会”略して”ミセシメ会”です。」

「えーっと、言いたいことはいろいろあるのですが、僕はそのミセシメ会とやらの特別顧問になった覚えはないのですが。」

「僭越ながら私の方で選出させて頂きました。」


 なんてことだ。


「流川さん、特別顧問への就任を栄誉とも思わない脳ミソがミミズのミンチ肉でできているかのような森林君に私たちのことを先に話した方が良いのでしょうか?」

「上島副会長、会合の時には流川会長と呼んで下さい。」

「そうでした。すみません。」

「しかし、上島副会長の言うことももっともですので、まずは私たちの紹介から始めましょう。」


 3人のことはもう知ってますけど?と言おうとしたが、グッと我慢した。


「私はミセシメ会の会員No.000001であり、ミセシメ会会長の流川和香です。」

「私はミセシメ会の会員No.000002であり、一般人担当副会長の上島竜胆です。」

「私はミセシメ会の会員No.000003であり、魔法使い担当副会長の龍野花梨です。」

「・・・。」

「そして、樹様はミセシメ会の会員No.こそ持っておられませんが、美姫様のご寵愛を受けておられますので、特別顧問に選出させて頂きました。」


 いきなり会員No.が6桁からかよ、とか、一般人担当副会長とか魔法使い担当副会長とか何だよ、とか、突っ込みどころは一杯だ。


「それは後付けの理由で、実際には僕の部屋を会合に使いたいからですよね?」

「・・・そうとも言います。」

「やっぱり、、、」

「しかし、私たちの秘密を知ってしまったからには、樹様も一蓮托生です。」

「まぁ、いいですけど。非公式同友会ということは、美姫はミセシメ会のことは知らないんですよね?」

「いえ、ミセシメ会について美姫様にお話ししたときには『恥ずかしいから、そんなのやめて』と言われてしまいましたので、こうやって秘かに会合を開いているわけです。」

「尚更悪い。」


 美姫に拒否されても諦めないところが和香らしい。


「無味乾燥でラクダでも長時間生きていられないような森林君の部屋は、荘厳美麗で鳥たちの歌声がきこえるような美姫様の部屋と隣り合わせで対称的な同じ間取りになっているのだったよね?」

「美姫の方には部屋が2つある以外は。対称的にした方が水回りの配置が楽なんだそうです。」

「だとすると、美姫様は今頃あのあたりに寝ておられるわけね。(*´Д`)ハァハァ」


 一段と竜胆さんの性癖が進化しているようだ。


「樹君の部屋は足の踏み場もないほど散らかっていて、ゴミをどけたときにエチーな本が見つかったりするのを期待したのに面白くないわ。」

「今時、紙の本を買う人なんていませんから、そんな状況にはなりませんよ。」

「なら、樹君の情報端末の中には入っているってことね。見せて。」

「拒否。」


 僕の情報端末を見ようとする花梨さんを押し止める。


「3人は僕の部屋に何をしに来たんですか?」

「おっと、そうでした。 上島副会長、今日の議題をお願いします。」

「はい。今日の議題は、クルクルッポーな鳩の方が賢いのではないかと疑いたくなる森林君にミセシメ会が設立に至った経緯と意義を説明することで、賛同を得ることです。」

「でも、先程の流川会長との会話で、樹君からミセシメ会への賛同が得られたと考えられるわね。」

「否て――――」

「そのとおりです。龍野副会長の言うとおり、本日の目的は達成されました。」


 僕の意見を否定するように、和香が言葉をかぶせて結論を出した。


「しかし、マリアナ海溝よりも深い心の奥底からの賛同は得られていないようですし、ここはミセシメ会が設立に至った経緯と意義とともに究極至高の存在である美姫様の魅力をゆっくりたっぷりじっくりコトコト説明するべきではないでしょうか?」

「そうですね。樹様は特別顧問なのですから、賛同は得られているとはいえ、そのことは知っていただかねばなりません。」

「それでは、ここはやはりミセシメ会の創設者である流川会長と上島副会長からご説明頂いた方が良いでしょう。」

「分かりました。私たちからご説明しましょう。」


 花梨さんの発言には違和感がある。


「あれ?花梨さんはミセシメ会の創設には関わっていないのですか?」

「そうなの。流川会長と上島副会長から誘われて幹部会員としてミセシメ会に入ったのよ。2人は魔法能力喪失者と一般人だから魔法使いへの勧誘が難しいでしょ。そこで、美姫様を見る目に尊敬の念が宿っていると、私に目をつけて秘かに接触してきたのよ。2人から説明を聞いて美姫様の魅力を他の者にも伝える必要性を痛感したから、私もミセシメ会に入会したの。」

「成程。花梨さんがミセシメ会の創設者ではないことは分かりましたが、入会の理由は全く分かりませんでした。」

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