01
「樹君、お昼はどうする?」
今日は美姫さんと学校近くの駅前に来ている。
「うーん。どうしよう。美姫さんは、何か食べたいものある?」
「そうね、、、ちょっと見て回って樹君が食べたくなったものでいいよ。」
「了解。」
掲示物なんかを見ながら駅前を歩く。
「冬限定のスノーチーズワッパーなんてあるのか。美姫さん、ハンバーガーでいい?」
「いいよ。」
店に入って、レジで注文をする。
「昔はレジにも人がいて、ハンバーガーも人手でつくっていたらしい。」
「どれだけの人がいたのかな?セットになると飲み物とポテトも用意しないといけないから、それなりの人数がいたはずよね。」
「10人以上はいたんじゃない?想像はできないけれど。」
「私も。でも、『いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?』とか店員さんから聞かれてみたいかもしれない。」
「そう言われると、今は店内にロボットがいるだけだから、人の温かさ、みないなのが足りないような気もする。」
「でしょ。」
「でも、店員さんを雇わないといけない分、ハンバーガーの値段が上がってしまうと思うけど。」
「そうね。ないものねだりだね。」
出てきたトレイをもって開いている席を探す。
「窓際のあの席が空いているんじゃない?」
「あれ?あそこって前に来た時と同じ席だよね。」
「そうかも。」
席に座って、まずはコーヒーを飲む。
「樹君はコーヒーをブラックで飲むんだ。この前もそうだったけど、大人だね。」
「砂糖やミルクを入れて飲むときもあるけど、ハンバーガーを食べているときに甘いものを一緒に飲みたいと思わないからかな。そういう美姫さんはレモンスカッシュなんだ。」
「うん。最近どうしてか酸っぱいものが欲しくなるのよ。」
ぶっっ!
(酸っぱいもの、って。)
(酸っぱいものって疲労が原因で溜まった物質を減らしてくれる効果があるらしいから、久しぶりの学校生活で体が疲れているせいかも。)
(そ、そうなんだ。)
(樹君は別のことを想像したのかな?)
(そんなことはないけど。。。)
今のは絶対にわざとだ。
「ふふふ。」
「美姫さん、悪い笑顔になってるよ。」
「そう?そんなことはないと思うけど。このハンバーガーってチーズが美味しいね。」
「3種類のチーズを使っているからだと思う。」
話をそらした美姫さんに席に置いてあったシートを見せる。
「雪をイメージした白いチーズのハンバーガーね。雪をイメージするんだったら、パンズも白っぽいのにしたほうがいいと思わない?」
「うーん。そのほうがいいかも。でも、そうするとチーズの白が目立たなくなるか。」
美姫さんよりも早く食べ終わったので外を眺めていると、背の高い美人さんがこっちに向かってくるなぁ、と思って・・・
「樹君、どこを見ているのかしら?」
「えっいや、その、、、」
「私のことを見ていたのよ。」
入ってきた百合子さんが僕の席の隣に座る。
「どうして百合子さんがここにいるんですか?」
「どうしてって、たまたま通りかかったら樹を見つけたから、じゃダメ?」
「ダメです。それに、どうして樹君のことを呼び捨てなんですか!」
「だって未来の旦那さんなんだから、名前で呼んでもおかしくないと思うわよ。」
「おかしいです。」
「樹はいいわよね?」
「えぇ、まぁ、、、」
ゴン!
(美姫さん、痛い。足を蹴らないで。)
(樹君が否定しないから。)
(百合子さんは先輩だから呼び捨てでもおかしくないかな、と。)
(なによ、もう。)
「呼び方なんてどうでもいいじゃない。私もお昼はまだだから、注文してくるわ。待っててね。」
百合子さんがそう言い残してレジに向かう。
「この前も樹君は女の人を見ていたよね。それって百合子さんだったの?」
美姫さんの目が怖い。
「どうだろう?あまり覚えてない。」
「ふーん。そうなんだ。」
「本当だってば。あの日は美姫さんと初めて出かけた日だから、他の人のことは覚えてない。」
「ふーん。覚えているのは私のことだけなんだ。そうなんだ。」
(樹、うまく切り抜けたのう。)
(なんとか耐えました。)
「じゃぁ、あの日の色も覚えてる?」
「色?」
「ちらっと見えたじゃない?」
「え?あぁ、、、覚えているけど。。。」
「覚えてるんだ。たまたまだけど、今日はあの日と同じのをはいてるの。見る?」
「美姫さん、なんてことを。」
「ふふふ。冗談よ。」
(樹、あまり美姫のことをエロい目で見るでない。美姫が汚されるのじゃ。)
(美姫さんが言うから思い出しただけですよ。)
(それでもじゃ。ワレが完全に記憶から消去してやろうかのう。)
(やめて下さい。エレナ様のことだから『やりすぎた』って他の記憶も消してしまいそうだから。)
(ちっ。)




