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竜の女王  作者: M.D
補講2
47/688

02

「私の情報が漏れたのだとしたら、誰が漏らしたのか見当はついているんでしょうか?」

「疑わしい人物は2、3人いるんだけれど。亜紀様はまだ完全に龍野家を統制できているというわけではないから、龍野家内部の調査には慎重にならざるを得ない。そのため、亜紀様が信頼している者たちだけで調査を行っているから、特定するには時間がかかってしまうんだ。」

「そうですか。」

「亜紀様は、それまで美姫さんに護衛をつけたいと考えられたそうだけれど、分家筋の人間に護衛とは過保護すぎる、という声が本家筋の方から上がったらしい。美姫さんには心配をかけて申し訳ないが、今後どのようするのかは検討中だそうだ。」


「私は護衛をつけて頂くほどではないと思います。」

「そんなことはない。美姫さんは自分がどれだけ重要な魔法の腕輪への適性を持っているか、理解したほうが良いと思うよ。」

「そう言われても実感がわかないのですが。」

「だからこそ、今までは龍野教授が美姫さんを保護されていたが、龍野教授がいなくなったため、美姫さんを早く養女として引き取って安全な生活をさせてあげたい、と亜紀様は考えられているんだ。」


「先日は亜紀様もその話をされました。」

「美姫さんが呼び出された理由はその話をするためだろうと考えていたし、私もできれば美姫さんには亜紀様の養女になってもらいたいと思っているんだ。」

「純一先生もですか?」

「あぁ。寮や学校にいる間は、私たちも美姫さんのことを見守ることができる。麗華さんの件については私の失態だが、在校生の中で美姫さんに敵う者はいないことも安心材料だしね。しかし、休日などに高校の外に出た時にはそうはいかない。いつ何時、襲われるか分からないから、護衛は必要なのではないか、と思う。」

「でも、、、」

「もし護衛をつけることが決まったとしても、前と同じように目立たないように護衛するよう亜紀様から厳命されるはずだから、美姫さんの生活が変わることはないと思うよ。」

「そこまで私に配慮して頂けるなら、亜紀様の言うとおりにします。」


「次は、魔法連合国が欲している”楯系”の魔法系統について少し話をしておこうか。」

「お願いします。」

「西暦2000年代に入ってから旧アメリカ合衆国でシェールガスの生産が本格的に始まったのは知っているよね。」

「はい。それによって、旧アメリカ合衆国が原油の輸入国から輸出国に転換したと。」

「そのとおり。そして、シェールガスを掘るためには地面に深い穴をあける必要があって、その時に出た残渣に”楯系”の魔石が含まれていることが分かったのが、2003年だった。当時は”大砲系”と”銃剣系”という攻撃系の魔石しか発見されていなかったから、防御ができる”楯系”の魔石の発見は画期的だったんだよ。」


「確かに、”楯系”だけ”大砲系”や”銃剣系”とは性質が違いますね。」

「用途だけ見ると、”楯系”だけ異質な感じがするかもしれないけれど、魔法系統的には”楯系”は”銃剣系”に近い性質を持っているんだよ。」

「どういうことですか?」

「”銃剣系”の性質は魔導力の凝縮、そして”楯系”の性質は魔導力の固定とされているから、”楯系”は”銃剣系”の先にある性質と言える。」


 それぞれの魔法系統の説明が電子黒板に映し出されている。


「”大砲系”や”銃剣系”しか魔法がなかった時には、悪魔の大群に対して弾幕をはるくらいしか守る方法がなかったところに、”楯系”の魔法が発見されて直接防御できる方法が見つかったんだから、当時は大騒ぎになったそうだ。」


「どのようにして発見された魔石が”楯系”の魔石だと分かったんでしょうか?適性がないと分からないはずじゃないんでしょうか?」

「いいところに気が付いたね。美姫さんのように魔法使いは1つの魔法系統だけに属しているわけではなく、他の魔法系統にも適性をもつ者もいる。シェールガスの生産が近郊で行われていたヒューストンで”楯系”の魔石を発見したのも、”銃剣系”と”楯系”に適性をもつジャネット・ハーデスだったんだ。

 ”大砲系”の魔石に続いて”銃剣系”の魔石が発見されて以来、魔法使いたちは常に新しい魔法系統を構成する魔石がないか調査をしてきた。彼女も片手間に魔石の調査をしていたところ、地元のシェールガス鉱から出た残渣を魔法の腕輪に組み込んで試したら奇妙な現象を示したことから、詳しく調査をしてみると新しい魔石の可能性が高いことが分かった、ということらしい。」


「偶然だったんですね。」

「何事も発見というのは努力や継続の先にある偶然の賜物だと思うよ。実際に、シェールガス鉱から出た残渣を試したのはジャネットだけではなかったが、”楯系”魔法を使えるだけの十分な適性があったのは彼女だけだった。

 そして、”楯系”の魔石が発見されてから様々な魔法使いが適性を確認し、”楯系”魔法の発動を試みたところ、有名な家系ではヒューストンのハーデス家やロンドンのペンドラゴン家が”楯系”の魔法の腕輪に適性を示した。しかし、他の追随を許さないほどの適性を示したのがハーデス家だったため、一気にその権勢が拡大したんだ。」

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