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竜の女王  作者: M.D
2172年秋
460/688

24

「一真!?」


 圭子が脇腹を抑えながら一真にすがりつく。


「徹甲魔導弾の威力と弾速は上げましたが、その分大きさは小さいですから、致命傷には至っていないはずです。」


 僕は圭子と一真に近づきながら、そう告げた。


「でも、一真はピクリとも動かないわよ?」

「それは気を失っているからです。それよりも、応急手当をした方が良くないですか?」

「そ、そうね。」


 圭子は治療用具を取り出して、自身と一真の応急手当を始める。


「樹は楯役だとばかり思っていたけれど、こんな攻撃手段も持っていたのね。知らなかったわ。」

「特に宣伝していませんから。」

「そう。美姫だけでなく、樹にも私たちは敵わないのね。負けを認めるわ。」


「では、終戦ということで。圭子さんはこの後どうされるのですか?」

「そうね、、、私も一真の熱気に当てられて美姫と戦うことしか頭になかったから、その後のことは何も考えていなかったわ。でも、美姫に負けたのだから、大人しく沙汰を待つわ。」


 美姫の問いに、応急手当をしながら圭子が答えた。


「では、このままここで待っていて下さい。その内、魔法軍が外の敵を掃討して中に入ってくるはずです。」

「分かったわ。あなた達は上に向かうのね?」

「はい。圭子さんにはいろいろ聞きたいこともあるのですが、今はお義母様に追い付く方が大事ですから。」

「そう。この騒動が終わったらいつでも聞きに来て頂戴。私が知っていることは全て話してあげるわ。」

「ありがとうございます。」


「それから、真綾様は最上階の部屋におられるわ。普通は1階から直通のエレベーターでしか行けないようになっている部屋だけれど、今はエレベーターが動いていないから最上階まで階段を昇って隠し扉から入る必要があるの。」

「隠し扉なんてあるんですか?」

「えぇ。エレベーターが動かなくなった時用の緊急避難用の扉なのだけれど、部屋の外からは隠されているのよ。」

「それは何処にあるのですか?教えて下さい。」

「御免なさい。それは私も知らないの。でも、宗則少佐ならご存じでしょうね。」


「・・・やはり、宗則さんはお義母様を裏切って、真綾様側についていたのですね。」

「それには私は答えられないわ。美姫が自分の目で確かめることね。」

「分かりました。」


 話をしているうちに、圭子は自身と一真の応急手当を終えたようだ。

 

「もう行った方がいいわ。敵対した私が言うのもおかしいけれど、気を付けてね。」

「はい。それじゃ、樹、行きましょう。」

「了解。」


 

 最上階に向かって階段を駆け上がっていると、無力化された上海の兵士がうめき声を上げたり気絶したりしているのが散見された。


(各階に配置されている兵士の数が少ないと思わない?)

(肯定。本気で上に行かせようとはしていないように見える。)

(やっぱり?全く兵を配置していないと不自然に思われるから、怪しまれない程度に兵士を配置したように感じるのよね。)


(この兵の数であれば1人で対処可能でしょうから、まるで宗則が亜紀を守りながら2人で上を目指すことが予定されていたように思えますな。)

(でも、元々は真綾様は上海に逃げているはずだったのですよね?だったら、平和島に留まって、最上階の部屋まで亜紀様が向かうことなんて想定されていなかったと思うのですが。)

(それは、様々事態を予想して、それに対処するための複数の案を事前に考えられていたからでしょうな。)


(お義母様はこのことに気が付いておられるのでしょうか?)

(あの者が気がついておらんはずがないのじゃ。その上で相手の思惑にあえてのっているのじゃろう。)

(偽物の桜花を取り戻すためでしょうか?)

(それもあるじゃろうが、自らの手で決着をつけようと考えたのかもしれんのう。)


 建物の15階に到達すると、上海の兵士ではなく真綾様側についた魔法使いが倒れており、


「淳二中尉!?」


 慎重に近づいて確認すると、黒鍔村で出会った治安維持軍の淳二中尉だった。


「うぅっ、美姫様と樹君か・・・。」


 淳二中尉は苦しそうに話し、体を起こそうとするが再び倒れ込んでしまう。


「そのまま、無理をしないで下さい。手当は必要ですか?」

「いえ、かなり痛めつけられましたが急所は外れていますので、必要ありません・・・。」


「淳二中尉は真綾様側についておられたのですね。」

「重ね重ね申し訳ありません・・・。言い訳になってしまいますが、味方をしないと娘に暴力を加えると脅されており、断れませんでした・・・。」

「そうだったのですか。」


(治安維持軍の魔法使いを味方につけられたから、真綾様達は易々と東京シールドを超えて平和島まで来られたのか。)

(そうみたい。淳二中尉はそのために利用された挙句、ここで捨て駒にされたのね。)

(真綾様も酷いことをする。)

(そんなだから龍野家の当主になれなかったのよ。)

(同意。)


「真綾様はこの上の階にいらっしゃいます・・・。」

「淳二中尉は真綾様がいる部屋に通じる隠し扉についてご存知ですか?」

「いえ、小官は知りません。しかし、上の部屋にいる真綾様の護衛たちの中に知っている者がいるでしょう・・・。」

「では、その人に聞くことにします。」

「上の階から物音がしなくなってしばらくしますが、お気をつけて・・・。」

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