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竜の女王  作者: M.D
2172年夏
427/688

34

 ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!

 パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!


 戦士型竜人が暴れたことによって鍾乳洞の天井の一部が崩れツララのような鍾乳石が多数落ちてくるため、僕とモナルクが魔導盾を展開して防ぐ。


 グェ、グェ!

(許さん、許さんぞ!)


 さらに、戦士型竜人が美姫とクルシフの魔導弾による牽制をものともせずに突進してくる。


「このままだとまずい。」

「一旦引きましょう。」

「その方が良さそうですね。」

「同意。」


「樹、通路に入ったら足止めをするために天井を徹甲魔導弾を撃って通路を塞いでくれ。」

「でも、それだと鍾乳洞にもう一度入れなくなりますよ。」

「かなり遠回りになるけれど、鍾乳洞を迂回する道があるわ。樹、モナルクの言うとおりにお願い!」

「了解。」


 戦士型竜人の隙をみて僕を殿しんがりとして通路に引き返し、


 バシュッ!

 ガラガラガラッ!


 天井に徹甲魔導弾を撃ち、崩落させて通路を塞いだ後、全力で元来た通路を逆に走る。


(戦士型竜人にとって”劣等種”という言葉は禁句だったのかもしれないね。)

(同意。でも、どうして僕の思ったことが戦士型竜人に伝わったんだろう?)


(それは精神感応が使えないお前たちのために、俺様が通訳してやったからだ。クッハッハッー。)

(あれはヴァロ様が原因だったのですか。。。)

(どうしてそのようなことを?)

(意思の疎通ができないのでは相互理解ができないであろう。)

(それでも、あの時でなくても良かったのでは?)

(いや、あれが最高の時旬だったのだ。現に、劣等種が暴れまわって面白い展開になってきているだろう?)

(全否定。)


 ドガンッ!


 戦士型竜人が崩落部を突き破って僕たちを追おってくる音が聞こえてきた。


「分かってはいたが、ほとんど足止めできなかったか。。。」

「それでも僅かでも時間が稼げたわ。この先で迎え撃ちましょう。」


 少し広くなったところまで戻ると、クルシフが美姫に魔法銃を渡した。


「BBZ9突撃魔法銃よ。これは物理弾頭を魔導弾で飛ばせるようにした魔法銃で、原理的には樹の徹甲魔導弾と同じだから戦士型竜人にも有効なはずよ。」

「それをどうして私に?」

「本当は私がこれで戦士型竜人を仕留めたいところだけれど、私では当てられそうにないから私よりも魔法銃の扱いに長けている美姫に渡したほうが良いと判断したの。」

「分かりました。それであれば使わせてもらいます。」


 クルシフと美姫が魔法銃を交換した直後、


「(小賢しい真似をしおってからに。)」


 戦士型竜人が待ち構える僕たちのところまで追い付いてきた。


「(エルフは逃げ足だけは早いな。)」

「戦略的撤退よ。」

「(物は言いよう、、、オメーらやっぱり精神感応が使えたのか!使えないふりしてオラを馬鹿にしていたのだな!)」

「えっ!?竜人と話ができている!?」


 馬鹿にされたと怒っている戦士型竜人と驚いているクルシフとモナルクを見て、


「それは精神感応が使えないお前たちのために、俺様が通訳してやったからだ。クッハッハッー。」


 と、ヴァロ様が僕に言った台詞と全く同じ台詞を言った。


「(なっ!?王竜が何故エルフの味方をしているのだ!?)」

「俺様はどちらの味方でもない。あえて言うなら、ここにいる美姫と樹の味方だ。」

「(その2人はエルフ、、、ではなく、人間!?王竜はオラたちの神ではなかったのか!?)」

「それはお前たちが勝手に思っていることだ。」

「(そうか、、、オラたちが地下での暮しを余儀なくされているのは王竜の裏切りによるもの、という司祭様の言葉はやはり正しかったんだ!)」

「俺様は裏切ってなどいない。ただ、お前たち劣等種が使えなかっただけだ。」

「(なっ!?王竜までオラたちのことを劣等種と馬鹿にするのか!)」

「ならば、どうするのだ?」

「(オメーが気にかけている人間を滅ぼしてやる!)」

「クックック。俺様を王竜と呼ぶ気もなくなったか。」


(ヴァロ様って戦士型竜人を煽ってない?)

(そうよね。私たちを窮地に陥れようとしているとしか思えないよ。)

(ヴァロは迷宮探索をしているうちに参加者としてよりもTRPG(Tabletop Role-Playing Game、会話型ロールプレイングゲーム)でいうところのGM(Game Master、管理者)としての役割の方が気に入ったようじゃから、場を盛り上げようとしているのじゃろう。)

(迷惑。)

(エレナ様はヴァロ様を止めて下さらなかったのですか?)

(ワレも窮地を美姫と脱する方法を模索するのを楽しみしておったから、ヴァロの企みを黙認しておったのじゃ。)

(最低。)

(そうです。これはゲームではなく現実なのですよ。)

(大丈夫じゃ。ワレがついておるから危機的状況に陥ることはないから安心するのじゃ。)


「私たちが竜人と会話できるようにしてくれるなんて、流石は王竜の力は偉大だわ。」

「あぁ。竜人と会話できる者は創始国ゴドルエルフィンの王族の中でも限られているというのに。」

「うむ。2人は俺様の素晴らしさが理解できているようだな。クッハッハッー。」


 ヴァロ様とエレナ様を非難する美姫と僕とは違い、クルシフとモナルクは竜人と会話できたことに感動していた。

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