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グェグェ!?
(オラの案山子を壊したのはオメーたちだな!?)
「えっ!?竜人!?」
「どうしてここに!?」
目の前の蜥蜴人が竜人である、とクルシフとモナルクは驚いたように言った。
(これが竜人!?)
(でも、エレナ様が竜人について説明してくれた時の姿とは全然違うような、、、)
(こ奴は劣等種のようじゃのう。)
(あの姿からしてそのようだ。先祖返りだろう。)
グェ。グェグェ、グェグェ。
(エルフか。オラの念が通じないところをみると、オメーたちは精神感応が使えないようだな。)
「竜人は宝玉が置いてある部屋にしかいなはずなのに、、、」
「こいつ背中側が硬くなってゴツゴツしている、、、ということは、戦士型竜人か!」
「えぇ、だとすると厄介ね。」
クルシフとモナルクは冷静さを取り戻して、戦士型竜人に対して身構える。
(エルフたちは劣等種に先祖返りした竜人を戦士型竜人と呼んでいるようですね。)
(中には頭を使うことが苦手で、考えなしに暴れまわるような奴らもいたからのう。戦士として最前線で戦わされたのじゃろう。)
(所謂、脳筋というやつですか。)
(だから、精神エネルギーの生成量も少なく劣等種なのだ。優等種の竜人が絶滅していなければ、劣等種など歯牙にもかけなかったのだが。)
グェ?グェグェ?・・・グェグェ。
(ん?精神感応が使えないエルフでもオラの案山子を壊せるのか?・・・考えるのは面倒だからやってしまおう。)
いきなり戦士型竜人が手を振り下ろすと、手の先から剣のように魔導力が伸びてクルシフに向かう。
ドンッ!
しかし、モナルクがXA51展開魔法銃を使ってクルシフの前に魔導盾を展開してそれを防いだ。
パンッ!
パシッ!
その隙に美姫が魔導弾を撃つが、戦士型竜人は腕の硬くなっている部分で魔導弾を弾いた。
「戦士型竜人も魔法に対する耐性を持っているのですか?」
「えぇ、そうよ。それに、背中側の硬くなっている部分は魔法攻撃に対する耐性だけでなく物理攻撃に対する耐性も持っているわ。」
「弱点はないのですか?」
「喉の辺りの皮膚は柔らかく、そこには物理攻撃が効くと言われている。」
グェグェ!
(エルフのくせにオラの攻撃を防ぐなど生意気だ!)
今度は戦士型竜人は突進しながらモナルクに拳を叩きつけた。
ドンッ!
モナルクは魔導盾を展開して戦士型竜人の拳をを防いだが、勢いは削がれず、
「ぐはっ!」
「きゃっ!」
クルシフを巻き込んで後ろに飛ばされる。
グェ!
(次はオメーたちだ!)
勢いをかって戦士型竜人が僕たちにも襲い掛かってくるが、
パリンッ!
僕が展開した魔導盾を砕いたところで、
パンッ!
美姫の魔導弾が直撃して戦士型竜人はたたらを踏んだ。
グェグェ!グェ。
(まぐれ当たりをもらってしまったぜ。全然効かないけどな。)
戦士型竜人が身を引いた隙に、クルシフとモナルクの元に駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、俺は何ともない。」
「私も問題ないわ。」
「僥倖。」
グェ、グェグェ。
(えぇい、思った以上に頑丈だな。)
行きつく暇もなく、戦士型竜人が僕たちに迫ってくるが、
パリンッ!ドンッ!
僕の魔導盾で勢いを削ぎ、モナルクのXA51展開魔法銃を使った魔導盾によって戦士型竜人の突進を止める。
「俺と樹の2人がかりだったら戦士型竜人を止められそうだぞ!」
「これで防御面は何とかなりそうね。」
「そうですが、樹が守りにまわっていると徹甲魔導弾を撃てないことが難点ですね。」
「同意。岩石巨人といい戦士型竜人といい、魔法攻撃が効かなくて物理攻撃を当てないといけないのは難易度が高すぎる。」
(戦士型竜人か。さすがに劣等種と言えども強いな。)
などと思った時、
グェ!?グェ!
(劣等種だと!?許さん!)
僕の思ったことが伝わったのか、戦士型竜人が無秩序に暴れ出した。




