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竜の女王  作者: M.D
2172年夏
420/688

27

「やった、やったのね!?」

「あぁ、樹が岩石巨人を倒したようだ。しかも1発で中の魔石まで削り取って、だ。」

「これで生きて迷宮を出られるのね。良かった。。。」


 安心して気が抜けたのか、クルシフはその場にへたり込んでしまった。


(エレナ、俺様が最適化した魔法銃はどうだ?素晴らしいだろう。)

(グレンの手伝いがあったとはいえ、今回ばかりはヴァロの技量を認めるしかないのう。)

(そうだろう。もっと俺様のことを褒め称えても良いのだぞ。クッハッハッー。)


 ヴァロ様は有頂天なのだが、


(しかし、その結果として魔法銃を壊してしまってはいかんじゃろう。)


 エレナ様の言うとおり、僕の魔法銃は巨大な装甲魔法弾の威力に耐えきれずに壊れてしまっている。


(エレナを驚ろかすために威力に全振りした最適化が仇となったか。)

(ヴァロは最適の意味を分かっておるのかのう?魔法銃が壊れる程の威力がなくても岩石巨人を倒せたじゃろうに。)

(中途半端ではエレナに俺様の技量を見せつけられないからな。)


(で、これからどうするのじゃ?樹はこの先、魔法銃なしで迷宮探索を行わなければならないのじゃぞ。)

(それはだな、、、)

(モナルクが『一度戻って装備をし直す予定だったのだ』と言っていましたし、モナルクの魔法銃もダメになってしまったので迷宮を一度出ることになると思いますから、僕の魔法銃は買いなおせば良いと思います。)

(そうだ!それを見越して俺様は威力に全振りした最適化したのだ。)

(嘘こくでないのじゃ。)

(嘘ではない。俺の予知能力を使ってだな――――)

(いや、ヴァロは予知能力を持っていないじゃろう、、、)


 不毛な言い争いに発展しそうな予感を感じたので、美姫と一緒にクルシフとモナルクに今後の予定について聞くことにした。


「これからどうしますか?」

「そうね、、、今日はここで野営して、明日、この先の分岐から元に戻って一度迷宮を出ましょう。」

「俺と樹の魔法銃も買わないといけないし、元々、明日は元来た道を戻って迷宮を出る予定だったから、ちょうどいい。」

「魔法銃が壊れてなくても、迷宮を出る予定だったのですか?」

「えぇ、そうよ。」

「迷宮の中では緊張の連続だから、気が付かないうちに精神的な疲労が蓄積する。そんな状態で迷宮探索を続けたら、思わぬのところで足をすくわれることになりかねないからな。」

「確かに、ここに来る直前は早く休みたい気持ちでいっぱいでしたし。」

「だから、3日迷宮探索をして2日休む工程を繰り返すことにしていたのだけれど、あんなことになるなんてね。」

「全くだ。そのせいで今日はもうこの先には一歩も進みたくないから、岩石巨人の遺骸と一緒に野営するのも苦ではない。」

「同感。」


 それから僕たちは野営道具を展開して携帯食料を食べながら、岩石巨人の話をした。


「岩石巨人は『もっと奥に行かないと現れないはずだった』と言われていましたが、本来ならどのあたりに出現するのですか?」

「岩石巨人は門番みたいなもので、宝玉が置いてある部屋の前にいるはずだったのよ。」

「だから、その前に迷宮の外に戻って十分準備をした後に挑む予定だったのだが、まさかこんなところにいるとは夢にも思わなかった。」

「これもクリフデン宰相の仕業でしょうか?」

「いや、それはないだろう。」

「そうね。流石のクリフデンでも迷宮内の魔物を移動させたりはできないわよ。」


「岩石巨人も他の魔物と同じように、魔石が鉱糸を使って動かしていたのでしょうか?」

「俺たちが知っている情報ではそうなのだが、樹が岩石巨人を1発で倒してしまったから、それが本当がどうか知る余地がなくなってしまったな。」

「偽岩と偽水晶みたいに何回も出会えば分かるのでしょうけど、もう二度と戦いたくないわ。」

「そうですね。」


「ふわあぁぁ、、、」


 話をしていると、クルシフが欠伸をかみ殺し、目がトロンとなってきた。


「御免なさい。今日は疲れたから、もう休ませてもらうわ。」

「分かりました。」

「美姫と樹も今日は良くやってくれた。ゆっくり休んでくれ。」


 そう言って、モナルクはクルシフを伴って環境道具の中に入っていった。


「私たちも寝ましょう。」

「了解。」


 僕たちは環境道具の中に入った後、


(今日は大変な一日だったよね。)

(禿同。昨日は半日だったからそうでもなかったけど、迷宮探索がこんなに疲れるものだったなんて。まぁ、疲れの原因の半分はエレナ様とヴァロ様にあるような気もしないでもないけど。)

(ふふふ。エレナ様とヴァロ様は楽しかったかもしれないけれど、実際に戦闘をしていた私たちは疲れたよ。)

(そう意味では、僕たちがゲームの中の登場人物で、エレナ様とヴァロ様はそれを画面越しに見ている感じなのかもしれない。)

(ゲームの中の登場人物も私たちみたいに思っているのかもね。)

(同意。)


 少しだけ会話をした後、すぐに微睡の中に落ちていった。


 ・・・・


(美姫と樹は眠ったようじゃから、今日も迷宮探索の反省会をするのじゃ。)

(そうだな。しかし、今日は内容が盛りだくさんだったから話すことも多岐にわたるが、まずはどれにするんだ?)

(そうじゃのう、、、時系列順に美姫の跳躍魔導弾からでどうじゃ?)

(いいだろう。あれは爆裂魔導弾の――――)


 エレナ様とヴァロ様がそんな反省会をしているとも知らずに。

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