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竜の女王  作者: M.D
2172年春
360/688

13

(主を引き付けている間、何をしていましょうか?)

(そうですな、、、一度、徹甲魔導弾を試射しておいた方が良いかもしれませんな。)

(ここは高度が高いですし、徹甲魔導弾の弾道修正量を見積もるためにも、一発撃っておくことには賛成です。)


「花梨少佐、士紋大尉、徹甲魔導弾の試射を行います。」

「承知しました。」


(樹、いくよ。)

(了解。)


 グレンさんの補助を受けて弾頭を形成する。


(撃ちます!)


 美姫が僕が魔導盾で形成した弾頭に向かって魔導弾を撃つと、


 バシュッーーーーーー!

 バシッ!


 主へ向かった徹甲魔導弾は、主が纏う魔導力によってはじかれた。


(高度が高いと空気が薄いせいか、徹甲魔導弾の弾道もブレずに真っ直ぐ飛びますね。)

(そうですな。徹甲魔導弾は通常の魔導弾よりも実体弾に近い性質を持ちますので、空気抵抗の影響を受けやすくなりますからな。)


(やっぱり軽く撃っただけだと傷一つつけられないみたいね。)

(でも、主の様子が変じゃない?)


 主の目がつり上がっているように見える。


(それと、主の飛行速度が上がってない?)

(・・・そうみたい。グングン近づいてくるね。やっぱり怒ってるのかな?)

(確定。)


(試射した徹甲魔導弾は主が纏う魔導力によって完全にはじかれたわけではなく、コツンッと体に当たったのかもしれませんな。)

(それで怒りだすとか、主の怒りの沸点が低すぎませんか?)

(今までにそのようなことをされたことがなかったのでしょうな。)


「美姫様、主の様子がおかしいですが、徹甲魔導弾の本番の準備の程は如何でしょうか?」

「準備はできています。後は、主が射程距離に入るのを待つだけです。」

「それは何時でしょうか?」

「もう少しです。」


  花梨少佐の声の調子から、焦っている様子が伝わってきた。


(エレナ様、もう撃ってもいいのではないでしょうか?)

(いや、まだじゃ。)


 そう言っている間にも主はますます近づいてきており、視界に入る主の体が大きくなる。


「樹君、この距離でもまだ主を倒せるだけの威力を出せないのかい?これ以上近づかれるのは危険だぞ。」


(まだ撃ったらダメですか?)

(ダメじゃ。)


「・・・肯定。」

「そうか。。。しかし、主の急接近を受けても美姫さんと樹君は冷静だな。小官なんかは動揺してしまってしかたがないというのに。」


 士紋大尉は自嘲気味に言った。


(冷静なのでは無く、全部エレナ様のせいなのです、、、)


 そんな事を思っていると、更に飛行機に近づいてきた主が再び口を開け、


 キラッ


 その奥に微かな光が見えた。


(今じゃ!)

(了解!)


 僕がグレンさんの補助を受けて魔導盾で形成した弾頭に向かって美姫が魔導弾を撃つと、


 バシュッーー!

 ガッガッガッガッ!


 着弾した徹甲魔導弾と主が纏う魔導力が拮抗する。


(威力が足らないのか!?)

(なら、もう一発!)

(よい判断じゃ。樹、演算領域を借りるのじゃ。)


 美姫が徹甲魔導弾の弾頭に向かって再び魔導弾を撃つと、


 ズドンッ!


 追加された魔導弾によって威力を増した徹甲魔導弾が主が纏う魔導力を撃ち破り、


 バシュッーーーー!


 主の体を貫いて後方へ飛んでいった。


「よしっ!」

「やったね!」


 徹甲魔導弾によって貫かれたことにより絶命した主は海に向かって落ちてゆき、


 ボンッーーーー!!


 魔導砲を放とうと凝縮していた精神エネルギーが爆発して、木端微塵となった。


「・・・。」

「・・・私たち、勝ったの?」

「そのようです。美姫さんと樹君は主を倒してしまったのか、、、」

「そうよ!今まで誰も成し遂げられなかった偉業をやってのけたのよ!これは本当に凄いことよ!」

「主が現れた時には絶望しましたが、2人のおかげで助かりました。」


 花梨少佐と士紋大尉の歓喜と安堵の声が通信機越しに聞こえてきた。

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