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竜の女王  作者: M.D
2172年春
356/688

09

(普通の魔導弾だと主にはじかれてしまうけれども、樹の徹甲魔導弾だったらどうなんだろうね?)

(僕だけだと徹甲魔導弾に主を倒すほどの威力を出せない気がするけど、グレンさんはどう思いますか?)

(ワシも樹君と同意見ですな。ですので、反魔連(反魔法使い連盟)の施設にあった分厚い壁を壊したときのように、樹君と美姫さんが力を合わせれば主を倒すことも可能だと思いますが、エレナ様のご助力も必要でしょうな。)

(美姫の身の安全のために飛行機を落とされるわけにはいかんからのう。主とやらと遭遇した時にはワレも助力することはやぶさかではないのじゃ。)

(ありがとうございます!)


(グレンさんは主について何かご存じだったりしますか?特に、魔導弾を弾く理由について。)

(ワシが生きていた頃の情報は古くて役に立たないでしょうから、ネットワーク上にあるもので良ければお話できますな。)

(お願いします。)

(主が魔導弾を弾くことが出来るのは体の表面に”楯系”魔法に類する魔導力を纏っているから、という考察が最も支持を集めているようですな。)

(成程。魔導盾で魔導弾を防ぐような要領ですか。)

(そういうことですな。そのため、複数人の魔法使いによって波状攻撃を仕掛ければ倒せるのではないか、と考えられているのですな。)


(しかし、『太平洋は広くて主の現れる場所が一定ではない』ため、今までその方法をとることができていない、のですね。)

(そのとおりですな。)

(そういう意味では、今は花梨少佐と僕たちがいるのですから主を倒す絶好の機会と言えませんか?)

(主が纏っている”楯系”魔法に類する魔導力を貫ければ可能でしょうな。)


「美姫様、何やら考え込んでおられるようですが、どうかされましたか?」

「普通の魔導弾が主に弾かれてしまうとしても、私と樹が力を合わせた徹甲魔導弾だったら何とかなるのではないかと考えていました。」

「徹甲魔導弾、ですか?そのような魔導弾は聞いたことがありませんが。」

「樹が開発した新しい魔法なんです。」

「何と!美姫様だけでなく樹君も新しい魔法の開発に成功されていたのですね。素晴らしいです!」


 花梨少佐は称賛の声をあげる。


「しかし、美姫様が樹君の開発した徹甲魔導弾で主を倒せるとお考えになっていた理由を教えて頂けないでしょうか?」

「徹甲魔導弾であれば、主が纏っている”楯系”魔法に類する魔導力を撃ち抜けるかもしれないからです。」

「美姫様の考えは分かりましたが、そのようなことが可能なのでしょうか?」


「可能でしょう。」

「えっ!?」


 回答した士紋大尉を花梨少佐は驚いた表情で見た。


「どうして士紋大尉はそう思うのかしら?」

「芙蓉少将閣下が『樹君は徹甲魔導弾を長距離用の魔導弾として開発したみたいだけれど、応用すれば近距離用に威力を上げた魔導弾にすることも出来そうね。』と仰っておられたからです。」

「それなら、徹甲魔導弾にそのような応用ができるのであれば、美姫様と樹君が力を合わせれば威力を上げつつ距離も稼げるから、主の魔導力を撃ち抜けるかもしれないわね。」


「さらに、樹君には狙撃の才能があるので、飛行機の中からでも主を狙い撃つことができますから、魔導翼を使用できなくても戦いに参加することができます。」

「それは頼もしいわ。ないと思うけれど、主と遭遇した時には美姫様と樹君にも助力を願うことになりそうね。その時には2人のために防護鎧が2着必要になるから、予備の防護鎧は樹君に着てもらうとして、麻由美大将閣下の分を美姫さんに着てもらえるよう小官から麻由美大将閣下に話をしておくわ。」

「お願いします。」


「それでは士紋大尉には、美姫様と樹君が防護鎧を試着するのに付き合ってあげてもらえるかしら?」

「丁度、花梨少佐が戻って来られる前に、樹君と防護鎧の試着について話をしていたところでした。」

「あら、そうだったの。それなら話は早いわ。お願いね。」

「承知しました。」



「美姫さん、樹君、小官についてきて下さい。」

「「はい。」」


 士紋大尉について防護鎧の置き場所に向かう。


「私と麻由美大将閣下は体格が違うのですが、麻由美大将閣下の防護鎧を私が着れるのでしょうか?」

「防護鎧にはある程度は大きさを調整する機能がついているから、美姫さんだったら麻由美大将閣下の防護鎧を着れるはず。」

「そんな機能がついているんですね。」


 防護鎧の置き場所に着くと、


「これを足元に置いて、その上に乗って下さい。」


 士紋大尉が手渡してくれた金属っぽい何かでできた鞄を足元に置いて、その上に乗ると、


 ガキンッ!

 ガシャガシャガシャガシャ


「おぉ!」


 鞄が形を変えて体を覆っていく。


「ア○アンマンだ!」

「何それ?」

「昔の映画に出てくる全身を覆う鎧みたいなもの。それを装着する時の様子がまさにこれなんだ。」

「そうなの?」


「後はこれを被って。」


 士紋大尉から渡された頭全体を覆う頭護具を被ると、


「小官の声が聞こえるかい?」

「はい。」


 耳の側から士紋大尉と美姫の声が聞こえる。


「これで通信室と交信したり、互いに通信しあって情報を交換する。」

「前面にも何か表示されています。」

「そこには戦闘を有利に進めるために、周囲にいる敵味方の情報が映し出される。音速で飛ぶ空鮫を視認することは出来ないから、ここに表示される情報から狙いを定めるんだ。」

「成程。」


 それからしばらく防護鎧を着た時の動きなどを確認して席に戻った。

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