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竜の女王  作者: M.D
エレナ様の話4
342/688

01

(竜人は精神感応テレパシーを使うために多くの精神エネルギーを使用しておったから、生成量も多くてのう。ヴァロも大切に竜人を育てておったのじゃ。しかし、その頃は惑星ヴァロが存在する星系が不安定化しておって、環境が激変して幾度もの絶滅の危機が訪れたりしたせいで、なかなか個体数を増やすことが出来なかったのじゃ。)

(竜人が生成する精神エネルギーは人類よりも多いのでしょうか?)

(初期の竜人は現代の人類と比べてもはるかに少ない量しか生成できんかったのじゃが、精神感応は精神エネルギーの消費量が多いからのう。徐々に神経系、特に脳の巨大化と効率化が行われて、竜人の優等種は人類より少し大きい脳容積で10倍程の精神エネルギーを生成できるようになっておったのじゃ。)

(10倍は凄いと思いますが、竜人は人類よりも遥か昔に誕生していると思うと、進化の度合いは小さい気がします。)

(理由は色々あるのじゃが、一番の問題は竜人の長寿命化じゃろう。1000年を超えて生きる竜人もおったからのう。長寿命化すると世代間の入れ替わりが遅くなるが故、進化も遅くなるから、ワレらも困っておったのじゃ。)

(確かにそうですね。)


(それからワレらは根気よく竜人の個体数を増やし、ようやく天界の竜族の1/4を養うことができるほどの精神エネルギーを得ることができるようになった時に、大規模な魔族の飢餓が発生したのじゃ。第十四次聖魔大戦に発展するのを防止するためには魔族に全ての竜人の精神エネルギーを差し出すしかなかったのじゃが、ヴァロが激しく抵抗したのじゃ。)

(それはそうでしょうね。)

(そこで、第三神チタン様と第四神ゼノス様が協議をされ、3ヶ月という短い期間だけ魔族を惑星ヴァロに降りたたせることで合意がなされたのじゃ。それであれば竜人の絶滅を免れられるため、ヴァロも渋々この合意を受け入れ、その結果、初めて大規模な魔族の飢餓が聖魔大戦に発展しなかったのじゃ。)

(凄い成果だと思いますが、竜人の犠牲の上に成り立っているので、手放しで喜べませんね。)

(同感。)

(ワレとヴァロも同じ気持ちじゃった。結局、魔族の生贄にするために竜人を育てておったような結果になったのじゃからのう。それに、大切に育てていた優等種の竜人が絶滅してしまったから、ヴァロは荒れておってのう。3ヶ月という期間を守らずに居残ろうとする魔族を単騎で全て消滅させてしまうほどじゃった。)


(ん?先程エレナ様は現在も竜人が生きているようなことを仰いませんでしたか?)

(それは、ワレとヴァロで生き残った劣等種から新しい竜人を再び作り出すことに成功したからじゃ。劣等種は人類の半分程度の精神エネルギーしか生成できんかったから魔族は劣等種の襲撃を後回しにした故、劣等種は個体数が激減したものの絶滅は免れたのじゃ。

 しかし、現在の竜人は当時の優等種の竜人とは別物じゃからのう。新竜人と旧竜人として区別しておるのじゃが、ヴァロにとって新竜人は旧竜人ほどの思い入れはないようなのじゃ。新竜人を作り出しはしたが、その後しばらく放置しておったくらいじゃからのう。)


 新竜人と旧竜人の映像が脳内で再生される。


(確かに、エレナ様が見せて下さっている映像でも違いが分かりますね。)

(新竜人の方が鱗が少ない分、人間に近い気がする。)


(3ヶ月という期間はどのように決まったのでしょうか?)

(魔族の飢餓を解消するのに必要な最低限の期間として定められたのじゃが、『ヴァロが我慢していられるのは3ヶ月が限界だろう』と、後で第四神ゼノス様が仰っていたので、こちらの方が正解なのかもしれんのう。)

(3ヶ月も我慢できるなんて、ヴァロ様は結構気が長いんですね。)

(人類にとっては長い期間じゃろうが、悠久の時を生きるワレらにとっては一瞬なのじゃ。ワレらの感覚で言うと、ヴァロは瞬間湯沸かし器みたいなものじゃからのう。)

(短気な神様とか勘弁してほしいです。)


(3ヶ月というと、第1次悪魔大戦もそのくらいの期間じゃなかった?)

(5月に始まって9月に勝利宣言だから、実質悪魔が地球にいたのは美姫の言うとおり3ヶ月間だ。)

(ワレは地球に降りておったから分からんのじゃが、おそらく同じように3ヶ月だけ地球を魔族に開放したのじゃろう。)

(エレナ様は魔族の飢餓は約5億年ごとに発生すると言ってませんでしたか?)

(”大規模な”魔族の飢餓は約5億年ごとに発生しておるのじゃが、”小規模な”魔族の飢餓は数千万年に1回発生しておるのじゃ。前回の”大規模な”魔族の飢餓は最低限の精神エネルギーで解消した故、”小規模な”魔族の飢餓がいつもより早めに起こったのかもしれんのう。)

(成程。)

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