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竜の女王  作者: M.D
2172年冬
336/688

25

 それから6日後、反魔連掃討作戦が実行されることとなった。


(思っていたのと何か違う。)


 支給された戦闘服を着ながらそんなことを思っていると、


(今回は屋内戦なんだから、普段着として見かけるような迷彩柄なわけないよ。)


 美姫からの突っ込みが入った。


(確かにそのとおりなんだけど、、、)

(しかも、この戦闘服は特殊な繊維を使うことによって、一部の光を入射した方向に反射したり後方に迂回させることができるから、一種の光学迷彩になっているのよ。)

(言われてみると若干透けてるように見えなくもない。)

(背景と同じような色に素早く変化させられる戦闘鎧もあるらしいけど、そんなのを着ていたら動きづらくて仕方ないから、今回はこのくらいで十分よ。)

(同感。さすがに映画やアニメのように完全に姿を隠せるようになる光学迷彩を今の技術で実現するのは難しいか。)

(当分は無理じゃないかな。)


(融合者だったら悪魔の力を使って透明になる魔法とか使えたりするんでしょうか?)

(融合する悪魔によるでしょうな。ザグレドは使えませんでしたがな。ザグレドは。)

(使えなくて悪かったな。しかし、俺の名前を2回も繰り返して言うことはないだろう。)

(その魔法って、どうやって透明化するんでしょうか?)

(そこまではワシには分かりませんな。ザグレドがそのような魔法を使えていれば、魔物討伐隊に追いかけまわされたりしないで済んだかもしれないのですがな。)

(済まんかったな。)


(エレナ様はご存じだったりしませんか?)

(光の位相を変えて背景と同化する方法や、光を曲げることで後方に迂回させる方法など、透明化には様々な方法があるのじゃ。)

(エレナ様は透明化が可能なのでしょうか?)

(無論じゃ。ザグレドとは違うからのう。ザグレドとは。)

(エレナ様まで、、、)


 戦闘服を着終わって寮の玄関まで行くと、和香が戦闘服姿で待っていた。


「美姫様、お待ちしていました。」

「まさか、和香も反魔連掃討作戦に参加するの?」

「いえ、今回は魔法軍の作戦ということで、かなり頑張ったのですが、残念ながら参加は認められませんでした。」

「頑張りどころを間違っている気もするけど、参加を認められなかったんだったらどうして和香がここにいるの?」

「戦闘は魔法使いのみで行う、とのことですのでしたので、粘り強い交渉の結果、私は二等兵待遇で美姫様と樹様の送り迎えをさせて頂けることになりました。」


「それで、和香は戦闘服を着てここで待っていたのね。」

「はい。本当は私は美姫様の侍女ですので侍女服で送り迎えをしたかったのですが、場違いだからそれだけはやめてくれ、ということで仕方なく戦闘服を着ています。」

「和香らしいね。」

「美姫様はそう言われますが、あの侍女服は特殊繊維で織られた布地を使っているため防弾防刃性能を持っており、筋力強化の効果も併せ持っていますので、こんな戦闘服よりもずっと高性能なのです。美姫様をお守りするためにはあの侍女服が最適ですのに、場違いだという理由だけで認めないとは魔法軍の軍人は護衛の何たるかを分かっていないのです!」


 和香が侍女服の有効性を力説した。


(あの侍女服にそんな性能があったなんて知らなかったよ。)

(同意。でも、どうして侍女服に戦闘に耐えられるような性能が必要なんだろう?屋敷で働いている侍女にそんな性能の侍女服はいらなくない?)

(・・・給仕中に暗殺者が現れた時に防衛行動をとるためとか?)

(そんなこと有り得る?)

(ないよね。)

(でも、和香がそうなんだから、もしかして龍野家の他の執事や侍女も同じような性能の執事服や侍女服を着ているのか?)

(どうなんだろうね?今度、左衛門さんに聞いてみるよ。ついでに理由も。分かったら、樹にも教えてあげる。)

(感謝。)


「あの侍女服が高性能なのは分かったから、もう行きましょう。」

「はい。では、こちらへどうぞ。」


 車に乗り込み、作戦本部へ向かう。


「美姫様と樹様は戦闘に参加されないのですよね?」

「そうよ。予備戦力として後方で見学する程度らしいから、前線に出て戦闘するわけじゃないよ。」

「それでも何が起きるか分かりません。不測の事態が起きた場合には私が美姫様をお守りするためにすぐに駆け付けますので、必ず自身の安全のみを考えて行動して下さい。」

「分かった。でも、和香は心配しすぎよ。」

「美姫様の側に仕えさせて頂いている身としては、美姫様の安全が最優先ですので、心配しすぎるなどと言うことはありません。」


(和香が私のことを思ってくれているのは嬉しいんだけれど、侍女としては間違っている気がするのよね。)

(同感。和香は美姫のことを崇拝するあまり、斜め上の行動をとるから。)



 作戦本部がおかれている建物に到着すると、ザワザワした雰囲気だった。


(何かあったのか?)

(そうじゃないかな。作戦行動前の準備をしているにしては慌ただしすぎるし。)


「美姫さん、樹君、作戦本部へようこそ。」

「また、 士紋大尉が案内して下さるのですか?」

「前回案内して2人と知り合いになったということで、今回も2人の護衛という大役を任されたんだよ。」

「そうだったんですか。」


  士紋大尉と作戦本部に向かう。


「何か騒がしい感じですね。」

「あぁ、治安維持軍がやらかしてくれたおかけで、てんやわんやなんだ。」

「治安維持軍は何をやらかしたんですか?」

「それはこれから始まる作戦会議を聞いていれば分かるよ。」

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