表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の女王  作者: M.D
2172年冬
324/688

13

(む?花梨とやらからも悪魔の気配を感じるのう。)

 

 えっ!?


(花梨少佐からもですか?)

(そうじゃ。)

(ということは、あの耳を抑える仕草は情報端末で通信していると偽装するため行為とか?)

(そうみたい。花梨少佐にまで悪魔の一部を植え付けているなんて、麻由美さんは魔法軍のどれだけの人を手中に収めているのでしょうか?)

(それはワレにも分からんが、麻由美とやらが厄介な奴であることは確かじゃろう。)


 2人の会話内容をエレナ様が追っかけ再生してくれる。


(花梨、聞こえているかしら?)

(はい。聞こえております。)

(純一から事件解決のあらましは聞いたけれど、花梨の第一印象も聞かせて頂戴。)

(承知しました。閣下からその可能性は聞かされていましたが、小官の第二小隊を含む救出部隊が講堂に突入する前に美姫様が反魔連の兵士全員の意識を奪っていたことには驚きました。)

(そのことは純一からも聞いたわ。私の懸念は杞憂に終わったのね。)

(はい。私も美姫様がこれ程までに素晴らしい方だとは思いもしませんでした。美姫様でしたら閣下が描かれている未来にふさわしい方だと思います。)

(圭一様もまだ戻って来られないし、それはまだ先の話だから誰にも悟られないようにするのよ。)

(承知しました。)


(それで、美姫さんはどうやって反魔連の兵士全員を仕留めたのかしら?純一にも聞いたけれど、にわかに信じられない話だったのよ。)

(閣下がそう仰るのも無理ありません。天井に向けて撃たれた巨大な魔導弾に小さな魔導弾が当たったと思ったら、巨大な魔導弾が分裂して反魔連の兵士に向かったのですから。)

(純一から聞いた話と同じだから、純一の見間違いではなかったなかったのね。)

(私もあの光景を見た時には自分の目を疑いました。)


(花梨は美姫さんにその魔法について聞いたのかしら?)

(はい。美姫様が考えられた爆裂魔導弾という新しい魔法、とのことでした。ただ、まだ演算量が多すぎて美姫様以外の方は使用できなさそうです。)

(それはそうでしょう。でも、そんな魔法を考案して実際に使うことができるなんて、美姫さんも圭一様と同じように天才なのかもしれないわね。)

(はい。”黄金の世代”の1人であるジャネットと比べても遜色ないかと。)

(美姫さんをあんな小娘と一緒にしてもらっては困るわ。)

(申し訳ありません。)


(美姫さんについて知りたい事はだいたい分かったから、詳細は花梨が本部に戻った時に教えて頂戴。)

(承知しました。失礼致します。)


 以上である。


(やっぱり麻由美さんは私のことを試していたのね。)

(肯定。でも、麻由美さんは美姫を試して何をさせるつもりなんだろう?神輿として担ぐわけでもなさそうだし。)

(そうね。自分で言うのもなんだけど、例え担がれたとしても私は軽い神輿になるつもりはないよ。)


「美姫様、麻由美大将閣下から通信が入り、お話を中断して申し訳ありませんでした。」


 花梨少佐が僕たちのところに戻ってきた。


「その割には花梨少佐が話をしている様子がなかったのですが。」

「美姫様がそう思われたのは、この情報端末が言葉を発しなくても口の動きを読んで通信を行ってくれるからでしょう。」

「便利ですね。」

「はい。軍事機密を漏らすことなく通信できるので重宝しております。」


(上手い言い訳だ。)

(そうね。)


「麻由美大将閣下とはどような話をされていたのでしょうか?」

「詳細はお話できませんが、麻由美大将閣下から小官に対して状況報告を求められ、それに応じていました。」

「分かりました。ありがとうござます。」


「では、これ以上美姫様を引き留めるわけにもいきませんので、憲兵隊とともに寮にお戻り下さい。」

「はい。」



 美姫と僕は寮に戻る途中で、先程の通信内容に関する話の続きをした。


(麻由美さんは何か良からぬことを企んでいるような感じだったね。)

(同感。それと、『圭一様もまだ戻って来られない』とも言ってたけど、美姫のお父さんって魔法軍の隠れ家にいるんじゃなかったっけ?)

(そのはずだけれど、、、もしかして、父が魔法軍の隠れ家にいるというのは嘘で、厄介な事件に巻き込まれたわけではなかったのかもしれないよ。)

(だから、亜紀様にも美姫にも会わせられなかった。)

(そう。そして、何らかの理由で時間を稼ぐために龍野家の情報収集部隊に偽の情報を流したのよ。でも、私たちが2人の通信内容を知っていたことを悟られないよう、そのことを麻由美さんに聞くことは出来ないのが難点ね。)


(それでも、これで麻由美と圭一に繋がりがあることが分かったことも大きいですな。)

(同意。花梨少佐が言っていた『閣下が描かれている未来』というのが意味深ですが。)

(そうですな。2人は悪魔の力を利用して何事かやらかそうとしているのやもしれませんな。)


(その何かも、これから明らかになっていくじゃろう。)

(そうですね。少しずつ視界が開けてきている気がします。)

(2人のやろうとしておることが美姫を害するようなことであれば、ワレが阻止してやるのじゃ。)

(その時はお願いします。)

(ちなみに、麻由美さんは純一先生とも通信していたみたいですけれど、エレナ様はどうしてそのことを教えてくれなかったのですか?)

(たいした内容でもなかったしのう。美姫が花梨とやらと話しておったから、気が散らぬよう自重したのじゃ。)

(そうでしたか。)


(エレナ様も自重できたんですね。)

(樹、 貴様はエレナ様を侮辱しすぎだ。俺が表に出て、お灸をすえてやる。)


 僕がボソッと呟いた言葉にザグレドが反応した。


(いや、ザグレドが表に出てきたら阿鼻叫喚の事態になるからダメでしょ。)

(それに、このネタは2回目なのですから、樹君とザグレドの方こそ自重すべきですな。)

(了解。)

(分かったよ。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ