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竜の女王  作者: M.D
2170年冬
31/688

16

「そう言うことなの。まずは、この前来られなかったことと、そのあと連絡をよこさなかったことについて、土下座して謝罪してくれるかしら。」

「どうして私が土下座しないといけないのですか?」

「私の話をちゃんと聞いていたの?私の言うことに従わなかったからじゃない。美姫はそんなことも分からないお馬鹿さんなの?」

「・・・。」


「早く謝らないか!」


 好美さんが私を土下座させようした。


「好美、強要は良くないわ。」

「申し訳ありません。」


「どうしても謝りたくないの?」

「私が謝る理由がありません。」

「それじゃぁ、謝りたくなるようにしてあげるわ。これ何か分かるかしら。」


 麗華さんが服の袖をまくって手首をみせる。


「魔法の腕輪!?厳しく管理されているはずなのに何故先輩が持っているんですか?」

「私は六条麗華よ。こんなのどうにでもなるわ。これを使って彼に魔法を放ったらどうなるかしらね。」


 笑みを浮かべながら、手を樹君に向ける。


「樹君にひどいことをしないで。」

「それはあなた次第よ。さあ、土下座して謝りなさい。」


(麗華とやらは、強要はよくないと言っておらんかったかのう?)

(物理的な強要はよくないけれど、言葉による間接的な強要はいい、とでも考えているのではないでしょうか?)

(美姫、意外と冷静じゃのう。しかし、やつも物騒なことを考えおるのう。美姫、やつが魔法を放とうとしたら樹を助けるのじゃ。)

(はい、エレナ様。でも、私の力では樹君を助けることはできないので、エレナ様が私の体を使って下さい。)

(うむ、では使わせてもらおうかのう。それに樹の演算領域も使えるから、樹を助けるのは容易いことじゃ。)

(いつでもエレナ様が私の体を使えるようにしておきますので、樹君のことをよろしくお願いします。)


「そう、嫌なの。それじゃ、彼に頼んでもらいましょうか。征爾、彼を起こしなさい。」

「はい、お嬢様。」


 樹君を拉致し拘束していた生徒が樹君の頬を打つ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「う、うっ。」

「おはよう。ここがどこだか分かる?」


 周囲を見渡すと空を模した地下都市の天井とフェンスが見える。


「学校の屋上?」

「そう、屋上よ。私が誰だか分かるかしら?」

「六条麗華先輩です。」

「そうよ。」


 少し時間がたつと認識力が戻ってきて、麗華さんが僕の前に立っていて、自分が拉致されたのだと分かった。


「美姫さんは!?」

「彼女ならあそこにいるわよ。」


 麗華さんが指さすほうを見ると、美姫さんは無事なようだった。


(美姫さんは大丈夫?何もされていない?)

(うん、私は大丈夫よ。それより樹君は体痛くない?スタンガンを使われたから。)


 体を少し動かしてみるが問題なさそうだ。


(体に痛みとかはなさそう。今はどういう状況?)

(私が麗華さんのところに挨拶に行かなかったから、麗華さんのお友達が樹君を拉致して、私に謝らせようとしているみたい。)

(意味が分からない。)

(それで、私が謝るのを拒否していたら、樹君に魔導砲を打ち込むと脅して、私に謝るよう言わせようとしているのよ。)

(無茶苦茶。でも状況は良くないな。)


(そうじゃ。麗華とやらなら本気で樹に魔法を放ちかねんからのう。)

(エレナ様、僕に何かできることはありませんか?)

(ないのじゃ。それに、変に動かれると困るから、とりあえずはじっとしているのじゃ。)

(了解です。でも、じっとしていることしかできないなんて、ふがいないです。)

(仕方なかろう。樹は普通の人間なんじゃから、この状況に対処できんで当然じゃ。)

(僕にもっと力があれば、この事態を打破できるのに。)

(これから努力していけばよかろう。それよりも今じゃな。)

(はい。)


「何をじっと見つめあっているの、気持ち悪い。まぁ、そんなことはどうでもいいわ。あなたにお願いがあるの。」

「何でしょうか?」

「あなたからも美姫に土下座して謝るように言ってもらいたいの。」

「何故ですか?」

「美姫は私のところに挨拶に来なかったでしょう。それについて謝罪してほしいのよ。でも、彼女、頑固だから私に謝ろうとしないの。だからあなたからも謝るように言ってもらいたいの。」

「拒否します。意味が分かりません。」

「どうしても?」


 麗華さんが手を僕の方に向けているのが分かった。


「それは魔法の腕輪!?どうして持っているんですか?」

「あなたも美姫と同じことを言うのね。どうしてかって?それは私が六条麗華だからよ。そんなことよりも、ほら、美姫に土下座して謝るように言って頂戴。」

「拒否します。」

「そう。残念。」


 麗華さんが美姫さんに声をかける。


「あー可哀そうに。あなたのせいで、彼は大けがをしてしまうのよ。美姫はどうしたらいいか分かるわよね?」

「分かりません。」

「本当に物分かりの悪い子ね。」

「樹君を傷つけるのはやめて下さい。」

「謝罪はしたくないけれど、魔法は止めろって、都合よすぎない?仕方ないわ。彼に罪の償いをしてもらいましょう。」

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