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竜の女王  作者: M.D
エレナ様の話3
307/688

01

(魔界に閉じ籠られた第三神チタン様は、魔族に変容するまでの時間を長くするために自身を改造し続けるとともに、魔族が天界に出て行こうとするのを抑え込まれておったのじゃ。しかし、それは最悪の結果を招くこととなったのじゃ。)

(聖魔大戦でしょうか?)

(そうじゃ。竜族から精神エネルギーを奪うことを止めさせられ、飢えの極限状態に陥た魔族は”魔族の飢餓”と呼ばれる状態となり、第三神チタン様の抑止を振り切って天界に雪崩れ込んできたのじゃ。これが第一次聖魔大戦と呼ばれる戦争の始まりじゃった。)


(今まで説明がなかったのですが、”魔族の飢餓”とはどのような状態なのでしょうか?)

(精神エネルギーの欠乏によって魔族が理性を失った状態で、この状態のときのみ、固有設定値として設定されている能力限界を超えて一時的に能力が2~3倍になるという、創造神様の創られた理を崩す状態のことじゃ。しかし、この状態は精神エネルギーの消費が激しいからのう。竜族から精神エネルギーが得られないと、魔族はすぐに消滅してしまうのじゃ。)

(まさに、生きるか死ぬか、ですね。)

(それ故、魔族の攻勢は激しくてのう。第一次聖魔大戦は本当に悲惨な戦争じゃった。)


(竜族と魔族の戦争なのに”聖魔”大戦なんですか?)

(初めて竜族と魔族が激突する直前に、第一王クロノが竜族を鼓舞するために『竜族は聖なる存在なのだから魔族になどには負けない。』と言い出してのう。それから聖魔大戦と呼ばれるようになったのじゃ。)

(成程。)


(さらに悪いことは続くものでのう。第一次聖魔大戦のさなか、遂に第三神チタン様の整流機関が疑似乱数発生機関に変容してしまったのじゃ。)

(なんと!)

(その時、第三神チタン様に対抗できる存在は天界には第四神ゼノス様しかおらんかったのじゃが、一騎討では共倒れとなり竜神様がおられない世界になることを危惧したワレら八竜王も、第四神ゼノス様とともに第三神チタン様と戦うことにしたのじゃ。)

(その戦いに勝てたからエレナ様はここにおられるのですよね?)

(勝てたとは言えない惨状じゃったがのう。変容してしまった第三神チタン様はワレら八竜王を圧倒する力を持っておられた上に、竜族の整流機関に触れるだけで疑似乱数発生機関に変容させる、などという凶悪な能力も獲得していて、 第四王ヤマと第七王ジオが魔族に変容させられてしまったのじゃ。)

(最悪の状況ですね。)

(全くその通りじゃったが、魔族に変容させられてしまったとはいえ、第四王ヤマと第七王ジオには理性が残っておったため、第三神チタン様に支配されぬように戦場から離脱してくれたのじゃ。)

(不幸中の幸い、でもないか。)


(結局、どのようにして第三神チタン様に勝つことができたのでしょうか?)

(第三神チタン様を消滅させることなど不可能じゃからのう。最終的に、八竜王の中で最も多くの精神エネルギーを保有しておった第五王プルトが自ら第三神チタン様に取り込まれることによって、第三神チタン様は理性を取り戻されたのじゃ。

 その後、第三神チタン様は第四王ヤマと第七王ジオを伴い、魔族を取りまとめて魔界に赴かれ、長く苦しかった第一次聖魔大戦は終結したのじゃ。)

(そうだったんですか。)

(ワレらと第三神チタン様との戦いは、天界に大きな被害をもたらしたため、第三神チタン様はその凶悪な能力もあって、竜族から魔神チタンとして恐れられるようになったのじゃ。また、魔族に変容させられた第四王ヤマと第七王ジオも、その後の聖魔大戦において魔族を率いて参戦しており、魔王ヤマ、魔王ジオと呼ばれるようになったのじゃ。)


(魔神と魔王の誕生ですか。どんどん状況が悪化していきますね。)

(それがそうでもなかったのじゃ。魔王が魔族を率いて攻め込んでくるようになると、魔族側に秩序だった行動が見られるようになって、竜族側も対処がしやすくなったのじゃ。それ故、無秩序な攻勢に合わせて戦わなければならなかった第一次聖魔大戦よりも被害が少なくなったのじゃ。)

(そうなんですか?魔神や魔王がいる分だけ被害が増えるように思えるのですが。)

(それは、第三神チタン様と第四神ゼノス様が何度も話し合いを持たれ、魔神と魔王が飢えて理性を失くした状態で天界に攻め込むのを防止するため、天界から精神エネルギーを魔界に送って、魔神と魔王だけは魔族の飢餓に陥らぬようにすることにしたのじゃ。)

(それじゃ、普通の魔族は切り捨てられたんですか?)

(そうじゃ。残念ながら、天界には普通の魔族まで救う程の精神エネルギーの余裕はなかったのじゃ。そもそも、それができるのなら竜族が魔族に変容するようなことはなかったじゃろうしのう。)

(確かに、そうですね。)


(でも、それだと、魔王はどのように魔族に秩序だった行動をさせられたのでしょうか?)

(ワレがバイロ―に支配格を使ったのと同じように、魔王が魔族に支配格を使ったのじゃ。第二次聖魔大戦において、理性を失った魔族に対しても魔王の支配格が有効なことが証明されたことが大きかったのう。)

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