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竜の女王  作者: M.D
2170年冬
30/688

15

 いつものように美姫さんと純一先生のところへ補講を受けに行く。


(元繁君が話しかけてくるのどうにかならないかなぁ。。。)

(元繁が美姫さんに話しかけるのは、仲良くなりたいからじゃない?男子生徒はみんなそう思っているみたいだし。)

(それが迷惑なのよ。)

(でも入学当初より話しかけてくる男子生徒の数は減ってるから、少しはましになったんじゃない?)

(そうなんだけど、元繁君は仲良くなりたい、という感じでもないに、度々話しかけてくるのよね。)

(どういうこと?)

(それが分からないの。)


(元繁はどんな話をしてくるの?)

(たわいもない話よ。授業の内容だったり、日常のちょっとした出来事だったり。そんな話は友達としておいてほしいんだけど。)

(それだけ聞くと美姫さんとたわいのない話をして仲良くなりたい、と思っているように感じるけど。でもたまにイラッとしてない?)

(そうなの。私もたまにちょっと不快に思って睨んでしまったりするんだけど、そうするとニヤニヤしながら戻っていくの。何なのかしら?)

(エレナ様は精神エネルギーが歪んでいるって言ってたから、やっぱり性格に問題があるのかも。)

(そうかもしれないね。)


 好美さんから声をかけられてから1週間。気を付けてはいたが何も起きなかったため、少し気が緩んでいたのかもしれない。屋上へ上がる階段のそばを通りかかった時だった。


「うっ!」


 背中に何かを押し付けられビリッとした瞬間、意識を失った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「樹君?」


 樹君の声を聴いて振り返った時、背中に何かを押し付けられた感じがした。


「はい、そのまま。振り向かないで。大声も出さない。彼と同じようにスタンガンで眠ってもらうことになるから。」

「好美先輩ですか?」

「あら、私のこと知ってたのね。麗華様がお待ちだからこのまま彼と屋上まで来てもらうわ。」

「樹君は大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。おしゃべりしている暇はないの。ほら、早く階段を上って。さもないと、彼どうなるか分からないわよ。」


 樹君は別の男子生徒に抱えられている。


「分かりました。」


 そう言って、私はしぶしぶ階段を上り始めた。


(エレナ様、樹君は大丈夫なのでしょうか?)

(問題なさそうじゃ。樹ならすぐに目を覚ますじゃろう。)

(樹君が無事でよかった。)

(そうでなかったら、即ワレが報復をしていたがのう。)

(同感です。)


「どうしてあなたは麗華様の言うことをきけないの?とばっちりが私達の方に来るじゃない。いい迷惑だわ。」

「・・・。」

「この前あなた達を連れてこれなかったことで麗華様に激しく叱責されたのよ。なのに、あなたには何もしてはいけないなんて、ひどいと思わない?」

「・・・。」

「何か言いなさいよ。私と同じ分家筋のくせして、英雄の娘だからっていい気になってるんじゃないわよ。」

「・・・。」



 無言のまま先輩の呪詛を聞きながら階段を上り、屋上への扉を開けた。


「早く屋上に出て。」

「分かりました。」


 屋上では麗華さんが待っていた。


「麗華様、2人を連れてまいりまいした。」

「ご苦労様。彼は私のところへ、美姫はそのまま。」


 樹君は一緒に屋上に来た男子生徒に抱えられて、麗華さんのところまで連れていかれた。


「初めまして、龍野美姫さん。手荒な真似をして来てもらったけれど、あなたと話がしたかったのよ。」

「どうしてこんなことをするんですか?話をするだけなら、連絡頂ければ伺いましたのに。」

「どうしてって?高校に編入して1週間も経つのにあなたが私のところに挨拶に来ないから、わざわざ好美にあなたを呼び出しに行かせたのよ。なのに、私の厚意を無視してあなたが来なかったからに決まっているじゃない。」

「あの時は部活紹介を見て回りたいので後日伺います、とお伝えしたはずですが。」

「私よりも部活紹介が重要なの?そんなわけないわよね。それに、後日っていつなのよ。今、連絡頂ければ伺いましたのに、と言ったわよね。それなのに、あの後ひとつも連絡をよこさないじゃない!」

「すぐに伺う日取りを決められません。」

「そんな言い訳はいいわ。」

「言い訳ではありません。」


「ちょっと顔が綺麗で、英雄の娘だからっていい気になってるんじゃないわよ。あなたは分家筋なんだから、あなたから本家筋の私のところに挨拶に来るのは当然じゃない。」

「私はいい気になってなんかいません。それに、他の人にも聞きましたが、私が先輩のところに挨拶に行かなければならないという決まりはないそうです。」

「今まではね。これからはそうすることに私が決めたのよ。」

「それは勝手すぎではないですか。」

「そんなことはないわ。私は魔法使い御三家本家筋の人間よ。だから私が決めたことがルールになるの。そうよね、好美。」

「はい。麗華様がおっしゃっるとおりです。」


(こやつらは何を言っているのじゃ。ワレには理解できん。)

(私もです、エレナ様。それよりも、樹君の方が気になります。)

(そうじゃのう。麗華とやらの近くに連れていかれたのは心配じゃ。樹を使って何かしようと企んでおるんじゃろう。)

(そうですね。何とかしないと。)

(まぁ、いざという時にはワレが何とかするのじゃ。)

(よろしくお願いします。)

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