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竜の女王  作者: M.D
2169年秋
3/688

03

(そろそろ起きぬか。余儀ないのう。ちょっと乱暴じゃが・・・)


「痛っ!」


 痛みで目を覚ますと、見慣れぬ風景だった。


「おはよ。」


 声のする方を見ると、隣のベッドで美少女がほほ笑んでいた。


「ん?おはよう。」


 とりあえず挨拶は返したものの、現状を理解できていないのであたりを見渡すと、


「ここは病院よ。分かる?」

「病院?」

「そう。崖から転落したみたいだけれど、覚えてる?」

「そういえば、高尾山を降りている途中に同級生にぶつかられたんだった。崖から落ちたところまでは覚えているけど、その後のことはあまりよく分からない。」

「でも、目が覚めてよかった。ナースコールを押したから、すぐに看護師さんが来てくれるよ。」

「感謝。」


 まだぼんやりしているので、ぼけっと周りを見ていると2人部屋のようだった。部屋がやけに広く感じたので、隣の少女に尋ねようとしたしたときに看護師が入ってきて、


「美姫様、なにか御用でしょうか?」

「彼、目が覚めたみたいなんです。」

「森林君、よかった目が覚めたのね。ここどこかわかる?」

「病院。」

「ちゃんと意識はあるようね。先生とお母さんを呼んでくるから、少し待っていて。」


 と言って、すぐに出て行った。


 数分後病室に急いでやってくるなり、


「樹。良かった。ずっと目が覚めないのかと心配したのよ。」


 と僕の手を握った母親が安堵した表情を浮かべていた。


「崖から転落したと聞いた時にはびっくりして、その後2日間眠りっぱなしだったからどうなることかと思ったけれど、本当によかった。」

「2日間も?今日は何日?」

「11月6日よ。」

「2169年の?」

「えぇ、そうよ。嘘じゃないわ。だって、樹が1年以上も目が覚めなかったら、母さんはあきらめると思うもの。」

「いや、そこはあきらめるなよ。」


「ふふふ。」


 隣の美少女が不意に笑った。


「どうしたの?」

「2人の会話が漫才みたいだったから。」

「そうかな?」

「そんな会話できるくらいだから、大丈夫ね。良かった。」



 そんな会話をしているうちに、医師と看護師が病室に入ってきて、


「森林君。意識が戻ったみたいだね。これから検査をしたいんだがいいだろうか?」


 と尋ね、僕の返答を待たずに、


「これから彼の検査をしたいのですがよろしいでしょうか?」


 と母親にも同じことを聞いた。


「これからすぐにですか?もう少したってからでも。」

「ちょうど検査装置が空いていて、今を逃すと明日になってしまうので、できるだけ早めにしたいのですが。」

「樹に何か問題があるんでしょうか?」

「いえ、問題がないことを確認する検査だと考えてもらって構いません。」

「そうですか。早めに検査してもらえたほうが私としても安心なので。よろしくお願いします。」

「分かりました。すぐに検査装置の予約をします。佐藤さんよろしく。」

「はい。」


 佐藤と呼ばれた看護師が部屋を出て行った。


「それで、樹はどうなんでしょうか?」

「幸い、一昨日の検査では脳出血も認められませんでしたし、一時的な記憶の取り違え等はあるかもしれませんが、後遺症が残るようなことはないでしょう。」

「良かった。」

「ただ、2日間も目が覚めなかった、ということもありますので、結論は本日の検査の結果を待つ必要はあります。」

「そうですか。」

「心配なさることはありません。我々としても万全の体制で臨みますので。」

「よろしくお願い致します。」


 医師と話をした後、


「樹。母さんは今日はもう帰るけれど、明日も来るから。」

「了解。」

「検査がんばって。」

「僕がどう頑張るんだよ。」

「いいじゃない、心構えの問題よ。」


 という言葉を残して母親が病室を出ていった。


「森林君。早速だけれど、これから検査をします。」

「お願いします。」

「目が覚めたばかりで、まだ体はだるいかもしれないが、検査の間だけ少し辛抱してほしい。」


 医師から声をかけられ、夕方までいろいろな検査を受けた。

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