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竜の女王  作者: M.D
2171年秋
291/688

16

 従業員入口を入ると、3方の壁にはロッカーや収納棚が並んでおり、中央には机と椅子が置かれていた。


(この中だと、ロッカーが一番怪しいよね。)

(同意。収納棚は重そうだから普通の人には動かせそうにないし。)

(ワンちゃん、どう?)

(精神エネルギーの残滓はあのロッカーに続いています。)

(やっぱり。樹、ロッカーを動かしましょう。)

(了解。)


 美姫と共同でロッカーを動かすが、何も出てこない。


(何もない?)

(そんなことないはずよ。)

(精神エネルギーの残滓は床の下に続いています。)

(ワンちゃん、ありがとう。)


 床材をどかすと階段が現れた。


(ここから階段で下に降りるのか。)

(真っ暗ね。)

(明かりをつける。)


 小さな魔法盾を形成し、魔力で光らせる。


(魔法盾ってそんな使い方もできるのね。知らなかったよ。)

(こういうこともあるからと、以前にグレンさんから教えてもらっていたんだ。)

(そうなんだ。さぁ、行きましょう。)

(了解。)


 階段を降りて、バイロ―が先導する形で地下道を進み始めた。


(反魔連はこんな地下道を作っていたのか。)

(地下道に入ったら照明があるかと思ったけれど、ないみたいだから樹の光る魔法盾があって良かった。)

(たまには役に立たないと。)

(そんな、樹は私のことをいつも助けてくれているよ。)


(バイロ―は前が見えているのか?)

(この魔獣の目は赤外から紫外まで見えるから、このくらいの暗がりであれば問題ない。)

(へぇ、 ワンちゃんの目は便利だね。今日はワンちゃんさまさまだよ。)

(いえ、そんなことはありません。)


 そう言いながらもバイロ―の尻尾は嬉しそうに揺れている。


(2人並ぶとギリギリだから、ちょっと狭いね。)

(それに、屈んで進まなくてもいいのは楽で良かったけど、頭の上にあまり空間がないから少し窮屈な感じがする。)

(そうね。でも、こんな地下道が今まで発見されなかったよね。)

(同感。)


(この地下道はどの方角に向かっているんだろう?)

(今まで来た道順から考えると北東、かな?)

(北東に何かあったっけ?)

(私もこの辺の地理には詳しくないから分からないけれど、訪さんが日暮里から『反魔連の研究施設へ至ることができる』って言ってたから、そこに繋がってるんじゃない?)

(だとすると、人工的に魔法使いを作る実験の研究成果を利用した薬で身体強化した兵士がいるかもしれない。)

(そうね。慎重に進みましょう。)



 1本道を道なりに進んでいると、


(止まって下さい!)


 前を駆けていたバイロ―が立ち止まって警告を発した。


(ワンちゃん、どうしたの?)

(この先に感圧センサが張られている箇所があります。)

(えっ、どこ?)

(ここから10m程先です。)


(困ったことになったね。)

(美姫、どうする?)

(ジョージ王子を誘拐した反魔連の工作員もここを通ったんだから、感圧センサに感知されないように、近くに感圧センサを切るスイッチがあったりしないかな?)

(探してみよう。)


 バイロ―が言う感圧センサが張られている箇所の近くを魔法盾の光で照らして探してみるが、それらしいものは見つからなかった。


(何もなさそうね。)

(残念。)

(酒場の従業員が地下道に入る物を見定めて、感圧センサを切っていたのかもしれませんな。)

(そうですね。こんな罠があるんだったら、もう少しあの人から情報を聞き出しておくべきでした。)

(それを今言っても詮無きことじゃろう。)


(感圧センサを切る方法がないのなら、感知されないように避けて通るしかないか。)

(そうね。ワンちゃん、感圧センサがない場所は分かる?)

(面で配置されているようなので、避けて通るのは無理でしょう。)

(だったら壁を走るとか?)

(感圧センサは天井や壁を含め4面全てに配置されていますので、それも無理でしょう。)


(こうなったら、身体強化をして一気に飛び越えるしかなさそうね。ワンちゃん、感圧センサが配置されているのはここからどのくらい?)

(ここから20mの間に感圧センサが配置されているようです。)

(20mだったら飛び越えられそうね。)

(天井が低いから難しくない?)

(そんなことないよ。やってみるから見てて。)


 美姫は軽く助走した後、楽々と感圧センサが配置されている場所を飛び越えた。


(ほら、簡単でしょ。)

(『簡単でしょ』と言われても、、、)

(樹もできるよ。)

(了解。やってみる。)

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