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竜の女王  作者: M.D
2171年秋
281/688

06

「模擬戦を始めます。双方とも準備はいいですか?」

「「はい。」」

「では、始め!」


 開始と同時にジョージ王子が一瞬で僕との間合いを詰め、透明な剣を振るう。


 キンッ!


(初撃は威力が分からなかったから全力で魔導盾を構築したけど、これならしのげそうだ。)

(ジョージ王子も様子見かもしれないから油断は禁物よ。でも、陽菜さんが言うように透明な剣は厄介ね。)

(同感。これを避けるのは無理っぽい。)


「初見で俺の剣を防がれたのは久しぶりだ。だが、今のが俺の全力だと思ってもらっては困るぞ。」


 ジョージ王子は先程より早い速度で連続して剣戟を繰り出してくる。


 キンッ!キンッッ!キンッ!


(一気に速度を上げてきた。)

(大丈夫。樹はついていけているよ。)

(剣戟の強さとリズムを変えられると対処が難しい。美姫との特訓がなかったら、これでやられてたかもしれない。)


「まだ防ぐか。これは樹の評価を見直さないといけないな。」

「感謝。」

「礼を言う余裕があるのであれば、俺も本気を出すとしよう。」


 剣戟の強度と速度がさらに上がる。


 キンッ!キンッ!キンッッ!キンッ!ビシッ!


(魔導盾にヒビを入れられた。)

(焦らないで。魔導剣も砕かれてるから相打ちよ。)

(そうなんだけど、速度はもう美姫とほとんど同じじゃない?これ以上はついていけない、、、)


「『負けないように戦うのは得意』と言うだけのことはあるな。それなら、これはどうだ?」


 ジョージ王子の手元に今でとは違う形で魔導力が収束していくのを感じる。


 キンッ!キンッッ!キンッ!キンッ!キンッ!バコッ!


「ぐはっ!」


(樹、大丈夫?)

(大丈夫だけど、かなり痛い。対処が間に合わなくて1撃もらってしまった。)

(3つの魔導剣を制御して、時旬をずらして攻撃してきたんだもの。1撃以外防げたんだから、結果としては良かったと思うよ。)


「漸く当てられたか。そら、まだまだいくぞ。」


 キンッ!キンッッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッッ!キンッ!キンッ!


(魔導剣を3つに分けると、その分威力が落ちるみたいだ。)

(そうね。でも、樹もそろそろジョージ王子の攻撃の癖が分かってきたんじゃない?)

(肯定。これだけ剣戟を受ければさすがに。)


「全て防ぐとは、やるな。だが、いつまで集中力が持つかな?」


 ジョージ王子は休むことなく剣戟を続ける。


  キンッ!キンッ!キンッッ!ビシッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!


(魔導剣の数は自在に変えらるのか。そうだとは思ったけど、さすがに苦しくなってきた。)

(泣き言は言わないで集中して。さもないと負けちゃうよ。)

(了解。)


「どうした?そろそろ限界か?」

「まだまだ。」

「樹がこれほど戦いがいのあるやつだとは思わなかったぞ。美姫以外に俺を楽しませてくれる者がいるとは、東京に留学に来て正解だった。」


 ジョージ王子の剣戟はますます冴えわたる。


 キンッ!キンッ!キンッ!キンッッ!


(今だ!)


 一瞬の剣戟の隙を見つけて魔導弾を撃とうとした時、


 ニヤリ


(罠!?でも、魔導盾の発動は間に合わない!)


 しかし、ここで特訓の成果が出た。思考加速が自動発動して、時間の流れが緩やかになる。


 ブンッ!


 時旬をかえた剣戟が襲ってくるが、


(思考加速のおかげか透明な剣の形がうっすら見える、見えるぞ!)


 魔導剣を避けようとすると剣先が伸びてくるのが分かった。


(これなら!)


 魔導剣を避けて、魔導弾を撃つ。


 バコッ!


(よしっ!)


 勝利を確信した時、狭まった視界の外からまだ残っていた魔導剣が襲ってきた。


(しまった!)


 バコッ!


 魔導剣を避ける際に体制が崩れていたため、魔導剣の直撃をうける直前、


(『限定思考は不注意になりがち』だとグレンに教わったじゃろう。勝ったと思って油断するとは、樹もまだまだじゃのう。)

(でも、高速思考は自動発動しましたし、相打ちで負けはしなかったのですから、樹もよくやったと思いますよ。)

(そうじゃな。及第点はやってもよかろう。)


 という、エレナ様と美姫の会話が聞こえてきたのだった。

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