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竜の女王  作者: M.D
エレナ様の話2
273/688

03

(美姫の言っていることは全く間違ってはおらんのじゃが、固有設定値の種類を柔軟に変更できる仕組みが仇となるとはのう。しかも、仕組みの隙をついて整流機関を疑似乱数発生機関に変容させてしまうなど、思いもよらなんだのじゃ。)

(それなら、固有設定値の種類を元に戻せば、魔族を竜族に戻すこともできる、ということですよね。)

(そうもいかんのじゃ。無秩序な精神エネルギーでは整流機関の変換効率が非常に悪くなるから、疑似乱数発生機関から出力された無秩序な精神エネルギーを全て規則的な精神エネルギーに変換するためには、膨大な時間と精神エネルギーを必要とするのじゃ。)

(確かに非現実的ですね。)

(それ故、飢えが限界を超えて狂ったように他者を襲った魔族も、ある程度満たされると理性を取り戻したのじゃが、ワレらが固有設定値と種類を変更してやっても竜族に戻れない、と知って嘆き悲しんだのじゃ。

 竜族も魔族に寛容であろうとしたのじゃが、飢えるたびに襲撃を繰り返す魔族に対し、いつ何時また襲われるかもしれない、という警戒心から魔族とは距離を置くようになり、魔族は魔族同士で集まって暮らすようになったのじゃ。)


(魔族同士だと奪った量よりも少ない精神エネルギーしか得られないんですよね?)

(じゃから、魔族同士では争わなくなり、度々竜族を襲うようになったため、竜族と魔族の間で争いが頻発するようになったのじゃが、魔族が能力を伸ばしていった結果、竜族では太刀打ちできなくなってきたのじゃ。)

(竜族は魔族から精神エネルギーを得られないに等しいから、竜族は不利ですね。)

(それだけではないのじゃ。天界中に漂う微小な精神エネルギーを得て、徐々に自分にあった能力を伸ばせるように世界は設計されておったのじゃが、魔族は竜族を襲って精神エネルギーを得る際に竜族が持っていた能力値の一部も奪えたから、魔族の方が能力値の上昇が早かったのじゃ。)

(性善説を前提に作られた制度を悪用するような感じか。)

(益々竜族にとっては不利な状況に追い込まれて行ってしまうね。)


(そうなると、創造神様が御隠れになったために新しい個体が生まれなくなった竜族の数は減る一方でのう。第三神チタン様、第四神ゼノス、八竜王で協議し、”装備”という形で、新しい力を竜族に与えることにしたのじゃ。)

(”装備”って武器や防具のことですよね?)

(そうじゃ。)

(ということは、それまでは徒手空拳での争いだった、と。)

(竜族は魔法を手足を動かすように使えるから、全くの徒手空拳という訳ではなかったのじゃ。)

(魔法のことをすっきり忘れていました。。。)


(それで、ようやく竜族も魔族と対等に争えるようになり、飢えによって魔族へ変容する竜族は相変わらずおったものの、一時的な小康状態に至ったのじゃ。

 その間、ワレらも魔族を竜族に戻す他の方法をずっと研究していたのじゃが、第三神チタン様や第四神ゼノスでさえ、その方法が分からなかったのじゃ。そして、その研究のさなか、第三神チタン様の整流機関も疑似乱数発生機関に変容する兆しが現れる、という悲劇が起きたのじゃ。)

(それって、かなり危険な兆候じゃ、、、)

(じゃから、第三神チタン様の動きは早かったのう。自身が飢えで理性を失えば天界が崩壊してしまう可能性を考えて、創り始めておった新たな王領に壁を築き、魔族を引き連れて移動なさって閉じ籠られたのじゃ。そしていつしか、新たな王領は”魔界”と呼ばれるようになったのじゃ。)

(もしやと思っていたけど、やっぱり魔界はあったのか。)

(物語として聞く分にはワクワクする展開なんだろうけど、現実にあったとしたら、たまったものじゃないね。)


(でも、四竜神様にも整流機関が存在していたんですね。)

(ワレもその時まで知らなかったのじゃが、天界で整流機関を持たないのは、創造神様と第一神ウラナス様と第二神エノス様だけなのだそうじゃ。)

(創造神様は別として、整流機関を持たないとすると、第一神ウラナス様と第二神エノス様はどのようにして精神エネルギーを得ているのでしょうか?)

(第四神ゼノス様に聞いたところ、第一神ウラナス様はほぼ永遠に吸収する必要がないほどの精神エネルギーを保有しており、第二神エノス様は第一神ウラナス様から直接精神エネルギーを得ておられるそうじゃ。)

(第二神エノス様だけは第一神ウラナス様の力の一部を使って創られたから、特別なのかもしれないな。)

(私もそう思う。)

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