表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の女王  作者: M.D
補講6
199/688

01

 コンコンコン


「どうぞ。」

「失礼します。」


 今日は純一先生に呼ばれて来たのだ。


(純一先生の部屋に入るも久しぶりね。)

(肯定。補講が終わったらあまり来ることもなくなったから。)


「すまないな。わざわざ放課後に来てもらって。」

「いえ、特別な補講を行うと伺ったのですが、どのような内容なのでしょうか?」

「美姫さんが亜紀様の養女になることを決めたから、亜紀様から美姫さんに龍野家の経済状況について教えておいてほしい、との依頼を受けたんだ。」

「龍野家の経済状況ですか?それが亜紀様の養女になることと何か関係があるのでしょうか?」

「それを今から説明しようと思う。」

「分かりました。お願いします。」


「その話に僕は必要なのでしょうか?」

「亜紀様から樹君にも話をしておいてほしい、と言われている。」

「そういうことであれば。」



「まずは、美姫さん、御剣財閥という名前は知っていますよね?」

「はい。日本最大の財閥なので知らない人はいないと思います。」

「それは失礼。では、金曜会というのは?」

「名前を聞いたことがあるような気もしますが、よく分かりません。」

「金曜会は御剣財閥の主要30社で構成される親睦会の名前で、御剣財閥の方向性を決める会議を毎月第2金曜日に開いていることからその名がつけられました。」


 電子版に三角形の図が表示され、30社の名前が示されている。


「御剣財閥の中で御三家と呼ばれている企業があるのは知っていますか?」

「えーっと、、、」

「御剣源力、御剣銀行、御剣電子ですか?」

「樹君、よく知っているな。」

「新聞に『御剣財閥御三家』という記事が出ていたのを憶えていました。」

「樹君の言うとおり、御剣源力、御剣銀行、御剣電子が御剣財閥の御三家と呼ばれている上位3社の企業だ。」


 三角形の最上部に御剣財閥御三家の企業名が表示された。


「金曜会の開催月によっては、その前に世話人会という会合が開かれることがあるが、御剣財閥御三家は常に世話人会に参加する常任理事企業だ。」

「そんな会合もあるのですか。」

「30社で議論するのは非効率な面もあるから、世話人会は金曜会に諮る重要事項を事前に討議する場として設けられたそうだ。御剣財閥御三家以外では主要10社のうち毎年6社が持ち回りで加わるのから、さがなら非常任理事企業というわけだ。」


 三角形の上部に主要10社が表示される。


「はっきりした序列ですね。」

「世話人会での決定が金曜会で覆ることはない、と言われるほどだから、御剣財閥の中では序列は明確なんだ。ただし、入れ替わりがないわけではない。」

「栄枯盛衰というわけですか。」

「そのとおり。世の中の流れに合わせて事業内容を変え続けないといけないんだけど、それをできない企業は淘汰されてしまうし、御剣財閥も例外ではない。しかし、金曜会は御剣財閥の企業がそうならないように手助けをしたりしているから、御剣財閥としては今でも健在なんだ。」

「序列が高いから威張っているだけじゃないんですね。」

「そういうことだ。」



「そして、御剣財閥御三家の事実上の筆頭株主が御剣財団だ。」


 三角形の頂点に御剣財団と表示された。


「この御剣財団の理事長は代々龍野家の当主が務めているから、現在の理事長は亜紀様、というわけだよ。」

「だから地上に広い屋敷を持てるほどのお金持ちだったのか。」

「そうね。亜紀様が忙しくされている理由も分かったような気がするよ。」


「つまり、龍野家の当主になる、ということは、御剣財閥の頂点に君臨することに等しい、ということだ。」

「責任重大ですね。」

「亜紀様が美姫さんに知っておいて欲しかったことは、このことだ。それから、美姫さんは今後、企業統治の専門家から授業を受けることになると思うよ。」

「私はまだ高校生ですし、企業統治の勉強なんて早すぎる気がします。」

「そんなことはないよ。昔から企業統治を含めた帝王学は小さい頃から少しずつ学んでいくべきものだとされているから、高校生からだと遅いくらいなんだ。」

「そうですか。。。」


「美姫さんが亜紀様の養女になるということは、将来、御剣財団を運営する可能性があるということだから。」

「そこまで意識していませんでした。」

「そのことについては、御剣財団は理事の名前を公表していないから、理事長を代々龍野家の当主が務めていることは公然の秘密だけれど、表立って言うわけにはいかないから、亜紀様も美姫さんには申し訳なく思っているかもしれないな。」

「そうでしたか。」


「でも、どうして御剣財団の理事長を龍野家の当主がしているのでしょうか?」

「それを今から説明しようとしてたところだ。御剣財閥の商標は知っているよね?」

「3つの剣が合わさった形で、三剣が御剣になったのではなかったでしょうか?」

「そのとおり。そして、龍野家の家紋は?」

「えーっと、、、剣片喰です。あっ!」


 電子版に御剣財閥の商標と龍野家の家紋が映し出される。


「美姫さんが想像したとおり、御剣財閥の商標は龍野家の家紋である剣片喰から作られたんだ。」

「そうだったんですか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ