表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の女王  作者: M.D
2171年冬
191/688

25

「珠莉を返せ!」

「貴様、俺を馬鹿にしているのか?『返して』と言われて、『はい』と素直に返すわけがないだろう。」


(やっぱり返してくれなかったか。)

(それはそうだよ。鬼もそこまで馬鹿じゃないよ。)


「俺を傷つけるような攻撃をしたら、この娘を楯にするからな。それでも良ければ撃ってくるがいい。」

「卑怯よ。」

「それは俺に対する最大限の誉め言葉だな。」


(まずは珠莉を取り戻さないと。)

(そのためには、僕たちが鬼に近づく方法を考えるのと、鬼が珠莉を手放さざるを得ない状況を作り出す必要があるか。)

(樹にはいい案があるの?)

(肯定。魔法防壁の内側に魔導楯を発動させて鬼を拘束する。)


 勢いで思いついた案を試してみたが、魔法防壁の内側には魔導楯が発動しなかった。


「お前は何がしたかったんだ?」


 鬼はあきれたように僕の方を見ている。


(魔法防壁は魔導力を遮断するのじゃから、当然の帰結じゃ。)

(余程の力量差がないと、こうなることは予想できたでしょうに。)

(すみません。。。)


「貴様らの実力は分かった。準備運動はここまでだ。じわじわとなぶり殺しにしてやる!」

「!?」


 ゴーー!ゴーー!グゴーーー!ゴーー!


 鬼の速度、魔導砲の威力が上がったが、


 パシーッ!パシーッ!パリンッ!パリンッ!


 魔導楯を砕かれたりもするが、すんでのところで鬼の魔導砲を防げていた。


(くっ、強い!魔力倍化を使っているのに魔導盾が砕かれるなんて。。。)

(それに、こっちは珠莉に当たらないようにしないといけないのに。)


 美姫が魔法矢を放とうとすると、鬼は珠莉を前面に出して見せつけてくるため、


「くっ!」

「どうした?魔法を放たないのか?」


 美姫は魔導矢を放てない。


 ゴーー!ゴーー!グゴーーー!ゴーー!

 パシーッ!パリンッ!パリンッ!パシーッ!


 防戦一方の僕たちは、鬼の圧力に徐々に押仕込まれていく。


(珠莉を早く助けないと、このままだと危険だ。)

(そうね。何とかしないと。。。)

(2人とも焦ってはいけないのですな。冷静さを失ってしまっては、勝てる戦いも勝てなくなるのですな。)

(そうじゃ。鬼の動きをよく観察することじゃ。さすれば、勝機が見いだせるじゃろう。)

(はい!)


 ゴーー!ゴーー!グゴーーー!ゴーー!

 パリンッ!パシーッ!パリンッ!パシーッ!


 鬼の動きを観察してみるがエレナ様の言わんとしている勝機が見いだせない。


(美姫、何か分かった?)

(ううん。でも、徐々に鬼の動きのリズムが見えてきたから、もう少しで分かりそうな気もするよ。)


「ちょこまかと動きおって。面倒臭い。もう貴様らは動くな。動いたらこの娘がどうなるか分からんぞ。」


 そう言って、鬼は珠莉を見せつけながら魔導砲を放ってくる。


 ゴーー!ゴーー!グゴーーー!ゴーー!

 パシーッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!


(これだったら、、、)


 その場に留まりながら鬼の魔導砲を防いでいると、美姫が何かに気が付いたようだ。


(美姫、何か思いついた?)

(うん。鬼の動作に隙を見つけることができたから、いい案を思いついたよ。樹、時旬タイミングを合わせて。)

(了解。動かずに鬼の魔導砲を防ぐのは厳しから、早めによろしく。)


 ピシッ!ピシッ!ピシッ!


「ハッハッハー!何処を狙っている?先程とは狙いも威力もいまいちだな。」


 ゴーー!ゴーー!グゴーーー!ゴーー!

 パリンッ!パリンッ!パリンッ!パシーッ!


 美姫が魔力倍化を使わずに魔導矢を連射して鬼を牽制しつつ、徐々に場所を変える。


「そろそろ、飽きてきたし終わりにしようか。次は防ぐなよ。」


(樹、鬼はああ言っているけれど、魔導砲を魔導盾で防いで。)

(了解。でも、珠莉はどうする?)

(私たちも次で決めるから大丈夫。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ