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竜の女王  作者: M.D
2170年冬
19/688

04

 入学式が終わると次の日から授業が始まり、今は授業中だ。


(樹君、先生の話、聞いてる?)

(聞いてないかな。高校生になってまで国語の授業を受ける意味を見出せなくて。)

(またそんなことを言って。ちゃんと聞かなきゃダメよ。)

(美姫さんはどうなの?僕に話しかけてくる、ってことは、先生の話が退屈なんじゃない?)

(私は長時間座って授業を受けるのにはまだ慣れなくて。集中力が切れてきたから樹君の方に意識を向けたら小説を読んでるんだもん。)


(国語の授業の意味って、国語読解能力とともに論理的な思考方法を身に着けることのはず。)

(それで?)

(つまり、基礎学力の向上のために国語の授業があるんだから、中学までで十分だと思わない?だって、高校は高等教育機関であって、基礎学力を向上させるためにあるんじゃない。)

(屁理屈ここに極まれり、ね。)

(ということで、僕は国語の授業の時間は小説を読むことにしているんだ。)

(試験で赤点とっても知らないから。)



 チャイムが鳴って国語の授業が終わると、


「次は魔法実技だな。樹はどの魔法系統の授業に出るんだ?」


 聡が尋ねてきた。


「まだどの魔法系統に適性があるか分からないから、とりあえずは補講をしてくれている純一先生の指導を受けることになった。」

「そうか。それじゃ、俺たちと同じ”銃剣系”の授業だな。場所は分かるか?」

「第2鍛錬場だったような。場所はよく分かってないけど、美姫さんについて行けばいいんじゃないかと思ってる。」

「更衣室は男女別だから、美姫さんについて行くと他の女子から痴漢呼ばわりされるぞ。俺が連れて行ってやるよ。」

「よろしく。」


 訓練着に着替えて第2鍛錬場に入ると、美姫さんを含む5人の生徒がいた。


「美姫さんの訓練着姿は最高だな。これから何回もあの姿を見られるかと思うと、魔法系統が”銃剣系”でよかったよ。見ろよ、ちょっと訓練着が小さいのか、体のラインが強調されて艶めかしい。」


 聡がそう言うので美姫さんの方を見ると、若干パツンパツンな感じがした。


「聡、あんまりジロジロ見ると嫌われるぞ。」

「そうだな。こっそり覗き見る程度にとどめておく。」

「それもどうかとは思うが。」


 そんな話をしていると、純一先生が鍛錬場に入ってきた。


「それでは魔法実技の授業を始める。今日は系統別訓練だ。高校からは全体訓練とは別に系統別訓練も始まるが、系統別訓練においても最初の15分は準備を兼ねて中学でやっていた魔力循環の鍛錬を行う。では、早速各自始めるように。」

「「はい。」」


 生徒が座って鍛錬を始める。


(樹君どうする?いつのように私が魔力を樹君に流して魔力を感じる訓練から始める?)

(さすがにここで美姫さんと手を合わせると、みんなから何を言われるか分からないから、1人で魔力循環をすることにするよ。)

(そう。。。)

(補講の時にはお願いすると思うから、よろしく。)

(分かった。)


 皆と同じように座って鍛錬を行うが、まだ両腕に魔力を循環させるのが精一杯だ。


(両足は無理か。。。)

(仕方ないよ。樹君は始めたばかりだし。)

(そうかもしれないけど、エレナ様にあれだけいじめのようなことをされているんだから、早く皆に追いつきたい。)

(焦らないで。少しずつできるようになっているから。)


(牛歩じゃけどのう。)

(エレナ様も、樹君のやる気をそぐようなことは言わないで下さい。)

(美姫は厳しいのう。じゃが、これからもワレが心を鬼にして樹の鍛錬を手伝ってやるから大船に乗った気持ちでおればいいのじゃ。)

(いや、あれは絶対に楽しんでやっているでしょう?)

(そんなことはないのじゃ。)



「魔力循環やめ。次は迎撃訓練を行う。高校からは補助具の使用が許可されるから、補助具を使用するものは準備して待っているように。」


「補助具って何?」

「魔法の腕輪から放出される魔導力を適性に合わせて使いやすくするための道具のことだ。ほら、こんな奴だよ。」


 聡が銀色の円筒を見せてくれた。


「この補助柄を使えば、効率的に魔導力を凝縮させて剣状にできる。」


 銀色の円筒から、”ブーン”と音がして、少しゆっくり桃色の刀身が形成される。


「こらっ!勝手に魔導力を放出するな。」

「すみません。」


「怒られたじゃないか。」

「誰も頼んでないのだが。」

「まぁ、補助具ってこんなもんだ。」

「まんまガ〇ダムのビー〇サーベルだな。刀身が形成されるときの音まで似ている。」

「たまにそう言われるけど、樹も古いアニメなのによく知ってたな。」

「古いアニメを見たりゲームをしたりするのが趣味なんだ。」

「樹は懐古厨か。」


「他の生徒も補助具を使っているのか?」

「高校生だと使わないやつがほとんどじゃないか。俺みたいに特殊な適性じゃない限り必要というわけでもないし、補助具は扱いが難しくて繊細な操作が必要になるから、初めて扱おうとするのは難しい。それに、補助具には魔石が使われているから高い。」

「それも高い?」

「これは安物だから、車1台分くらいかな。」

「えっ!?その値段で安物?」

「その10倍くらいが普通の補助具の相場だから、安いと思うが。」

「そ、そうなのか。。。」

「場所が分かるような仕掛けが内蔵されていて盗んでもすぐばれるから、盗むなよ。」

「盗まないって。」

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