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(ギョウソウ、どうなっておるのじゃ!?)
(ギシキノ・・・カンカク・・・ナガスギタ。フウインノ・・・チカラ・・・ヨワク・・・ナッテ・・・オニ・・・コウソク・・・デキナク・・・ナッテタ。)
(それで、封印の結晶が砕けたのじゃな?)
(ハイ。)
(珠莉が怪我をせぬよう守れるかのう?)
(チカラ・・・アマリ・・・ノコッテ・・・ナイ。デモ・・・ガンバル。)
「鬼の封印が解けたぞ!」
「封印の儀式に失敗したのか?」
「そうだ。すぐに逃げないとヤバいぞ!」
周りが騒然となる。
「ほら見ろ!お前たちが選んだ巫を儀式に使ったせいで鬼の封印が解けてしまったではないか!」
「珠莉のせいではありませんの!」
「封印が解けた場合には鬼の討伐をしてくれるんだったよな!?」
「分かっていますの!」
「俺たちの村には鬼を来させんようにするんだぞ!」
(こんな時にまで偉そうなことを言う。)
(村長が封印の儀式を怠ってさえいなければこんなことにならなかったのにね。)
(今更そのようなことを言っても仕方ないのじゃ。美姫、樹、珠莉を助けに行くのじゃ。)
((はい。))
僕たちが駆けだすと同時に、
ドゴッン!
鬼が祠の扉をけ破って外に出てきた。
「キャァァァァ!」
「うわぁぁぁぁ、鬼が出てきた!」
「助けてぇぇーーー!」
魔法使いである穂香さんと志乃さん以外の研究者と村人たちが一目散に逃げだす。
「少し外に出ない間にえらい変わりようだな。」
鬼は周囲を見渡した。
「何だ?この鉄の箱は?」
ドンッ!ガシャンッ!
鬼が蹴とばした計測装置は木に当たってバラバラになった。
「穂香さんと志乃さんも逃げて下さい!」
「でも、華恋様が。」
華恋の方を見ると、地面にへたり込んでいる。
「ほう。小娘のくせに精神エネルギーが多いではないか。寝起き後の腹ごなしといくか。」
「こ、腰が抜けて動けませんの。だ、誰か助けて、、、」
「お嬢様!」
鍔須さんが戻ってきて、華恋の前に立ちふさがった。
「お前、邪魔だな。とりあえず死んどけ。」
鬼の右手から魔導弾が鍔須さんに向かって放たれる。
(させるか!)
パシッ!
「何!?」
魔導楯を発動させて、魔導弾を受け流した。
「た、助かりましたの。樹も役に立ちますの。」
「お嬢様、そのように言ってはいけません。さぁ、私に捕まって下さい。一緒に逃げましょう。」
「でも、珠莉が、、、」
「珠莉さんは美姫様と樹様にお任せしましょう。」
「わかりましたの。こんな私では御姉様の足手まといになりますの。」
鍔須さんは腰が抜けて動けない華恋を抱えた。
「奇妙な服を着ているが、俺の気弾を弾き飛ばすとは、貴様、俺を封印しやがった坊主と同類か?」
鬼が僕に向かって問いかけた。
「そうだ。再度封印してやるから覚悟しろ。」
「そうはさせん!」
標的を僕にさせるため、勇気を振り絞って言った。
「鍔須さん、華恋を連れて早く逃げて下さい。穂香さんと志乃さんも。」
「「はい。」」
鍔須さんと穂香さんは賛成してくれたのだが、
「いえ、私も魔法使いの端くれ。魔法の腕輪がなくても封印が解けてすぐの鬼くらいなら。」
志乃さんが身体強化をして鬼に突撃する。
「人間ごときが俺に勝とうと思うなど、百年早い!」
ドンッ!
「うっ!」
「志乃!」
鬼に蹴り飛ばされた志乃さんを穂香さんが受け止めた。




