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竜の女王  作者: M.D
2171年冬
178/688

12

(お主、何者じゃ?)

(オデノ・・・コエ・・・キコエル?)

(あぁ、聞こえておるのじゃ。)

(オデ・・・ギョウソウ。)

(お主が鬼を封印したのかのう?)

(ソウ。オデ・・・オニ・・・フウイン・・・シタ。)


 エレナ様が問うと、答えが返ってきた。


(どのようにして鬼を封印する術を習得したのじゃ?)

(シュギョウ・・・チュウニ・・・チイサナ・・・ホトケサマ・・・カラ・・・チカラ・・・モラッタ。)

(ほう。興味深いのう。そのホトケサマとやらにはどこで出会ったのじゃ?)

(ヒエイザン。デモ・・・オデ・・・イガイ・・・ダレモ・・・アッタコト・・・ナイ。)

(そうか。)


(その小さな仏様、というのが上位精霊だったのね。)

(ギョウソウには上位精霊が仏様にみえたんだろうな。)

(そうかもしれないね。)


 今度はギョウソウが問いかけてきた。


(オマエ・・・ダレ?)

(貴様!エレナ様にお前とは何事だ!)


 ザグレドが突然出てきて叫んだ。


(ザグレド、やめるのじゃ。こ奴はかなり自我が崩壊してきておるようじゃ。こうやって会話できるだけでもましであろう。)

(申し訳ありません。)


(エレナサマ?オデ・・・シラナイ。)

(お主は知らなくても余儀ないのじゃ。今はここにおる美姫の魂を間借りしていおる、お主が会った仏様みたいなものだと思えばよいのじゃ。)

(ホトケサマ・・・。アリガタヤ・・・。)


 美姫の方を見て、拝んでいるように霞が揺れた。


(して、鍔須は何故お主と会話できるのじゃ?)

(ツバス?ケンジノ・・・コト?)

(そうじゃ。)

(ケンジ・・・マエノ・・・カンナギ。ソノトキニ・・・デキル・・・ヨウニ・・・ナッタ。)

(どのようにしてじゃ?)

(オデノ・・・チカラ・・・ブンカツ・・・シテ・・・アタエタ。)

(つまり、お主の分体を分け与えた、ということじゃな?)

(ソウ。)


(それで、今まで巫に分体を与え続けてきたからお主は消えそうなのじゃな?)

(ソコマデハ・・・ワカラナイ。)

(そうか。)

(デモ・・・オデガ・・・キエソウナノ・・・タダシイ。ツギデ・・・オワリ・・・カモシレナイ。)

(次がないのであれば、今回は絶対に儀式を見なければいかんのう。)



 しばらくすると、


(守り神様、巫は当日にならないと来ないそうです。)


 鍔須さんが祠の外から報告してきた。


(コマッタ。フウインノ・・・ジュンビ・・・デキナイ。)

(さらに、当日は研二が選んだ者が来るそうです。巫選儀を行わないなど、あいつは何を考えているのか。)

(テイキセイ・・・シラベテ・・・ジュンビ・・・シナイト・・・ジュツ・・・ヨワクナル。)

(今回はもしかすると封印に失敗するかもしれない、ということですか?)

(ソウ。ダカラ・・・カンナギノ・・・イノチ・・・ツカッテ・・・ジュツ・・・キョウカ・・・スルシカ・・・ナイ。)


(しかし、私は守り神様に選ばれた巫ではありませんでしたが、こうして生きています。)

(オマエタチ・・・フタゴ。ドチラモ・・・テキセイ・・・アッタ。)

(そう言うことでしかたか。だから、入れ替わった私でも良かったのですね。)

(ソウイウ・・・コト。)

(入れ替わった私が生き残ったことで研二が巫選儀を行わなくても良いと考えたのかもしれない。なんてことだ。)


(鍔須さんのことを呼ぶ名前が2つある理由はこういうことだったのか。)

(前回の封印の儀式のときに、双子の兄弟と入れ替わったから、名前も入れ替わったというわけね。)

(でも、どうして入れ替わったりなんかしたんだろう?)

(ギョウソウさんが『巫の命を使う』って言ってたから、巫が生き残る確率は低いのかもしれないよ。それで、入れ替えさせられたのかも。)

(もしそうだとすると、ひどい話だ。)

(そうね。)


 僕たちがそんな話をいている間も、鍔須さんとギョウソウの話は続いていた。


(守り神様、巫はどうされますか?)

(ソウダナ・・・。)

(強引に何人か連れてくる、というわけにもいきませんし。)

(エレナサマ・・・ナラ・・・タスケテ・・・モラエル・・・カモシレナイ。)

(守り神様、エレナサマとは?)


(ワレのことじゃ。)

(!?)

(思考伝達に割り込まれて驚くのも仕方なかろう。ワレはお主たちのいうところの神様みたいな存在じゃから、このくらいお茶の子さいさいなのじゃ。)

(神様、、、ですか?)

(そうじゃ。)


 突然エレナ様に話しかけられて、鍔須さんは驚いた表情をしているだろう。


(守り神様、エレナ様も神様なのですか?)

(エレナサマ・・・カラ・・・チイサナ・・・ホトケサマト・・・オナジ・・・チカラ・・・カンジル。)

(そうですか。しかし、そのような方が、どうしてこのようなところに?)

(鬼の封印の儀式をすると聞いてのう。見に来たのじゃ。)

(それだけのために、ですか?)

(そうじゃ。)


(鍔須さんが怪しむのも分からなくもないかな。僕も美姫と思考伝達ができていなかったら、エレナ様のことを信じられなかっただろうし。)

(樹、そんなこと言ったらエレナ様に怒られるよ。)

(そうじゃ。樹はワレのことを怪しいと思っておったかのう?)

(ほら。)

(いや、これが普通の反応だと思いますよ。グレンさんもそう思いませんか?)

(ノーコメントでお願いしますな。)

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