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竜の女王  作者: M.D
幕間1
15/688

02

 双方の買い物が終わるとお昼時だった。


「美姫さん、お昼はどうする?」

「うーんどうしようかなぁ、、、樹君は何がいい?」

「面倒だからハンバーガーでいいんじゃないかと思うんだけど、どう?」

「私もハンバーガーでいいよ。」

「じゃ、行きますか。」


 注文したのは2人ともワッパーのセットだった。


「夕食のときにも思っていたけれど、美姫さんって結構食べるほうなんだね。」

「うん。2人分食べないといけないから。」


 ぶっっ!


(2人分、って。)

(私は精神エネルギーの発生量が多いから、食べないとすぐにお腹がすいちゃうの。エレナ様に精神エネルギーを分けてあげられるから私は非効率でよかったと思っているけど。)

(でも、誤解を招くからあまりそういう言い方はしないほうがいいよ。)

(ふふふ。エレナ様と私の2人分って意味だったんだけれど、樹君の言う通りね。今後は気を付けるわ。)

(僕はなんとなく察しがついたけど、他の人はエレナ様のことを知らないから。)

(分かってるって。)


 今のは絶対にわざとだ。



「やっぱり樹君の方が食べ終わるの早いね。」


 僕は食べ終わっているが、美姫さんは後1/4程残っており、ポテトも少し残っている。


「夕食のときもそうじゃない?僕は美姫さんみたいにお上品に食べられないから。」

「私は男の子らしい食べ方をする樹君を見ているのは楽しいよ。」

「そ、そう?」

「あ、照れた?」

「そ、そんなことはないけど。」

「ふふふ。それに食べるのは早いけれど、綺麗に食べるから見ていて気持ちがいい。」

「食べなれているからね。美姫さんの方が綺麗に食べていると思うよ。」

「私は久しぶりだからこぼさないように食べるだけで一苦労よ。これからは樹君に何回も連れてきてもらわないといけないね。」

「食べなれる必要はないと思うけど、そのくらいならお安い御用で。」

「よろしくね。」


 食べ終わって外を眺めていると、背の高い美人さんが通っていったので、綺麗だなぁ、と目で追いかけて――――


「樹君、どこを見ているのかしら?」

「えっ、いや、その、、、」


 心なしか美姫さんの目が怖い。


「綺麗な人だった?」

「・・・肯定。」

「へぇ、樹君はあんな風な大人の女の人の方がいいんだ。ごめんね、一緒にいるのがこんな小娘で。」

「いや、そんなことないよ。美姫さんは十分綺麗だと思う。」

「あの人より?」

「・・・もちろん。」

「何、その間は?」

「すみません。頭の中で比較してました。」

「そういう事、女の子には言わないほうがいいよ。もう。」

「すみません。反省してます。」

「罰として樹君の珈琲は私がもらいます。その代り、私の紅茶を樹君にあげます。」

「それ全然罰になってない。。。」



 そんなこんなで、美姫さんも食べ終わった。


「ごちそうさま。久しぶりに食べたハンバーガーは美味しかった。また来ようね。」

「了解。いつでも付き合うよ。」


 平日の昼間でそれほど混んでいなかったため、このまま美姫さんの端末のセットアップをすることにした。


「最低限の設定はだいたいこんなところかな。」

「ありがと。」

「どういたしまして。」

「樹君の端末貸して。電話帳登録するから。」

「了解。このまま端末同士を近づければ通信してお互いの電話帳に登録されるはず。」

「そこはちょとは躊躇しようよ。私に知られたくない女の子の番号を見られると困る、とかあるじゃない?」

「そんなことはないけど。入ってたほうがよかった?」

「ん?やっぱりいい。」


 ちょっと拗ねながら、美姫さんは僕の番号を登録した。


「できた!ほら見て、樹君が登録番号1番。」

「それはうれしいけど、僕以外に適切な人がいるんじゃない?」

「樹君でいいの。何かあったらメッセージ頂戴ね。」


(メッセージを送らなくてもこうして思うだけで会話できるんだから、必要なくない?)

(樹君は乙女心が分かってないなぁ。)

(すみません。。。)

(そうじゃ。樹は乙女心が分かっておらんのじゃ。)

(乙女でも何でもないエレナ様には言われたくないような、、、)

(なんじゃと!)

(いえ、何でもありません。)

(ワレも美姫と魂の結合をしておるから、心は乙女なのじゃ。)

(はぁ、そうですか。)

(なんじゃ、その薄い気の抜けた反応は。)

(じゃぁ、どう返せばよかったんですか?)

(そんなことも分からんから、 樹は乙女心が分かっておらん、と言われるのじゃ。)


(エレナ様と樹君は仲がよくて私は嬉しい。)

(なぜ美姫さんが嬉しいのか分からない。乙女心は難しい。。。)


 その後も補講に行く時間になるまで美姫さんは嬉しそうに端末の設定を続けていた。

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