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竜の女王  作者: M.D
2170年秋
148/688

17

「皆、集まってくれ。美姫さんと樹君に紹介したい。」


 研究室に入ると、貴文さんは研究室員を呼び集めた。


「美姫さんと樹君については彼らに紹介済みだから、2人に彼らの紹介をしよう。」

「はい。」


「一番右にいるのが博士課程3年生のボビー・オレゴン。パースからの留学生だ。彼が学生の中では最年長だから、僕がいないときには彼に頼るといい。」

「ボビー・オレゴンです。 魔法系統は”銃剣系”です。実験室に籠っていて、前に2回美姫さんが研究室に来た時には会えなかったので、ようやく会えてうれしいです。圭一先生からは話を聞いていたのですが、こんなに可愛いお嬢さんだとは思いませんでした。これから、よろしく。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。ボビーさんは日本語が上手ですね。」

「よく言われます。パースでは魔石の集積所近くに住んでいて、近くに同い年の日本人がいたんです。そいつとは日本語で話をしていたので、自然と日本語が話せるようになったんです。」

「そうだったんですか。」


「時間が勿体ないから、千佳からは名前を紹介するだけにする。」

「えー、いいじゃないですか。ボビーさんだけずるい。」

「時は金なり、だ。ボビーの左から修士課程2年生の西城千佳、学士課程4年生の小泉夏帆、学士課程3年生の石田三成。以上4名がうちの研究室員だ。」

「よろしくね。美姫さんには期待してるわ。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。ご期待に沿えるよう頑張ります。」


「研究の仕方とかについては三成が説明してくれるから、分からないことがあったら彼に聞いてくれ。私はちょっと別件がるので、三成、後は任せた。」


 貴文さんはそう言って研究室を出て行った。


「石田三成です。2人には、まずは研究をする上で必要な場所を教えておこうと思いますが、いいですか?」

「はい、お願いします。」

「それじゃ、早速だけど、実験室に行きましょう。実験室は6階にあるので、無線鍵は忘れないように持って来て下さい。ここでは無線鍵がないとどこにも行けないから。」

「はい。」


 三成さんについて実験室に向かう。


「無線鍵を持ち歩かないといけない、という割には全然使ってないんですけど、この無線鍵って何時使うんですか?」

「無線鍵は持っていることに意味があるんだ。扉には無線鍵の内容を読み取る装置が付いていて、部屋に入る水準に満たない無線鍵しか持っていない場合には扉が開かない。」

「そうだったんですか。持っているだけでいいなんて便利ですね。」

「訪さんは使い方を説明しなかった?」

「いえ、訪さんの説明をぼけっとしていて聞いてなかった樹君が悪いんです。」

「ごめんなさい。」

「これからはちゃんと説明を聞かないといけないぞ。そういう事だったら言っておくけど、開かない扉を無理に開けようとすると警報が鳴って警備ロボットがすっ飛んでくるから、十分注意して下さい。」

「はい。」

「保安が厳重なんですね。」

「それだけ機微な情報を扱っている、ということだから気を付けてね。それと、全てを説明できるわけではないし、説明を聞いてなかった人もいるみたいだから、疑問に思ったことは今みたいに聞いてくれると助かる。」

「了解。」



 6階に降りるとそれまでとは雰囲気が異なっていた。


「この実験室階は防塵室になっているので、防塵服を着る必要があります。美姫さんと樹君の分も用意してあるので、名前が書いてある収納棚を使って下さい。」

「はい。」


 防塵服を頭からすっぽり被って着た後は、エアシャワーを浴びて防塵室に入る。


「初めてエアシャワーを浴びました。結構な風圧ですね。」

「普通に生活をしていたら防塵室に入ることもないだろうから、エアシャワーを浴びることもないだろうね。外からの汚染物質を持ち込まないよう塵埃を除去するためにはあのくらいの風圧が必要なんだよ。」


 歩いている通路も下に空気が抜けるようになっている。


「ここが僕たちの実験室です。装置とか器具は空いていれば自由に使ってもらっていいですが、魔石の取り扱う場合には僕や他の人に声を掛けて下さい。失くしたり盗まれたりしないよう、必ず2人以上で取り扱うことになっています。」

「分かりました。」

「それと、残念ながら、もう予算がなくて使える魔石には限りがあるので、作れる試作品は2つが限度です。」

「魔石って高価だと聞いたのですが、やっぱり研究にはお金がかかるんですね。」

「そのとおりです。お金の話をすると長くなりそうだから止めるけど、『魔法科の教授の仕事はお金をもらってくることだ』って言う人もいるくらいだし。」


「でも、そうなんだったら、以前に作った試作品から魔石を回収して再利用できないんですか?」

「この研究では回収ができないから、困っているんだ。多分このことは貴文先生も美姫さんには話していないと思うけど、試作品を作っても実験をしなければ魔石の回収は可能なんだ。でも、一度実験をしてしまうと魔石が消えてしまうんだよ。」

「魔法の腕輪は何回も使えるし、中の魔石が消えたりしないと思うんですが。」

「そうね。魔石が消えてしまうなんてあり得るんでしょうか?」

「それがこの研究に特異な点で、失敗すると魔石は魔力を放出して気体に変換されてしまうから消えてしまうように見える、というのが龍野教授の見解なんだ。」

「??」

「魔石に関する知識がないと分からなくて当然だろうね。この研究をするには必須の知識だから、あとで教えてあげるよ。」

「お願いします。」

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