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竜の女王  作者: M.D
2170年秋
144/688

13

 穴の中を覗く。


(この先には何があるのでしょうか?)

(とにかく、降りてみんことには分からんのう。樹、先に降りるのじゃ。)

(その前に、暗くてよく見えないので、懐中電灯を持ってきます。)


 懐中電灯を取りに戻ったついでに、のどが渇いたので水を飲んだ後、ペットボトルを鞄に入れておいた。


(それじゃ、行きます。)


 穴に備え付けてある梯子を下りる。


(樹、決して上を向くでないのじゃ。)

(分かってます。上を向いて、美姫さんのスカートの中を覗いたらエレナ様に何をされるか分からないですから。)

(見たかったら見てもいいよ。)

(美姫は何を言い出すのじゃ。樹、上を向いたら殺すからのう。)


(サーバを探しに来て、悪魔がいる場所につながる穴を見つけてしまうなんて。こんなこともあるんですね。)

(恐らく、サーバの基板が壁に埋め込まれていたのも目くらまし、なのでしょうな。)

(床の仕掛けに気が付かれないようにしたかった、ということですか?)

(そうですな。何らかの事情があって本棚が移動させられたとしても、サーバの基板が先に目に入るようにしておくことで、床には意識が向かないようにしたのでしょうな。)

(美姫さんのお父さんも用心深いですね。)

(悪魔を隠すとなると、このくらいのことをする必要があるのでしょうな。我々もエレナ様が悪魔の精神エネルギーが漏れていることに気が付かなければ、床の仕掛けを見つけられなかったのですからな。)

(同感。)


 それ程深くない穴を降りると、穴の側面に扉があった。


(どうしますか?)

(何もないとは思いますが、楯魔法を発動する準備だけして、扉を開けましょう。)

(了解。)


 扉には仕掛けがなく、慎重に開けると、上の部屋と同じくらいの広さの空間があるだけだった。


(悪魔はいないようですね。)

(やはり、残留しておる精神エネルギーが感じられておったようじゃのう。)

(でも、精神エネルギーが残留している、ということは、悪魔は本当にここにいたんですね。)

(しかも、残留しておる精神エネルギーからして、ごく最近までここに悪魔がおったようじゃのう。)

(それを知らずに、今まで過ごしていたなんて、、、)

(自身からの強い精神エネルギーで床下から漏れる弱い精神エネルギーを覆い隠しておったのじゃろう。上手く考えたものじゃ。)


(父はここで何をしていたのでしょうか?)

(そこまでは分からぬが、地下に悪魔を隠しておるくらいじゃから、良からぬことじゃろう。)

(そうでしょうな。悪魔を研究する公的な機関があるにも関わらず、そこに引き渡さずに独自に観察か研究を行っていたのですから、後ろめたいことなのでしょうな。)


(それに、ここは息苦しい感じがしますね。弱っていたら身動き取れないかもしれないかもしれません。)

(ザグレドがそう感じるのも当然じゃろう。壁の模様を見てみるのじゃ。穴の入口と違って、ここの模様は悪魔の精神エネルギーを押さえつけるためのもののようじゃからのう。)

(人間もいろんな模様をよく思いつく。)


 壁には模様が描かれており、手前の壁の一部がくりぬかれているのが見えた。


(あそこには何があるのかな?)

(行ってみよう。)


 近づいてみると、くりぬかれた箇所の奥にノートが数冊置いてある。


(ノート?何でこんなところに?)

(こんなところに置いてあるんだから、きっと悪魔に関することが書かれているのよ。調べてみましょう。)

(美姫、気を付けるのじゃ。まだ何かあるかもしれんからのう。)

(分かりました。)

(樹は楯魔法を発動する準備をしておくのじゃ。)

(了解。)


 美姫さんがノートに手を伸ばした時だった。


 ボッ!


「きゃっ!」


 突然全てのノートが発火し、炎が噴き出してくる。


(これで!)


 咄嗟に炎が美姫さんに及ばないよう楯魔法を発動し、消火するために鞄の中のペットボトルを投げつける。


(美姫さん、大丈夫?)

(うん。樹君の楯魔法が守ってくれたから大丈夫。まさかノートが発火するなんて思いもしなかったよ。)

(美姫さんのお父さんとしては、そこまでして隠しておきたい内容がノートには書かれていたんだろう。)

(やっぱり悪魔について、かな?)

(肯定。)

(ワシもそう思いますな。この状況から考えて、悪魔を観察していた記録か、悪魔を使った研究日誌でしょうな。)


(こんなことになるんだったら、もっと慎重に調べればよかった。)

(手順を踏まずにノートを取ろうとすると、発火装置が作動するようになっていたんじゃないかな?この家に入るときにも鍵を開けるために手順があったから、あれと同じような発想だと思う。)

(発火装置があったとしても、ノートがあんなに一気に燃え広がる?)

(ノートは引火性の強い油紙で出来ていたのでしょうな。下を見てみて下さい。樹君がペットボトルを投げたおかけで燃え残ったノートの一部分が落ちているようですな。)


 慎重に落ちているノートを拾い上げる。


(グレンさんの言うとおり、油紙で出来ているようですね。でも、だいぶ燃えてしまっています。)

(でも、読めなくもないよ。)

(見た感じだと、悪魔を観察していた記録みたいだ。)

(悪魔との会話についても書かれているみたい。父は悪魔と何を話していたのかな?)

(まずは、ここを出ない?ノートを調べるのはここを出た後でもできるから。)

(そうね。あまり長くいたいと思えない場所だしね。)

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