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竜の女王  作者: M.D
2170年夏
120/688

27

 パリンッ!バコッ!


「ぐはぁ!」


 魔導砲の溜めによる隙を見て美姫さんが魔導弾を撃ち、麗華さんをかばった諒太さんが魔導弾の直撃を受け、気絶した。


「麗華様、ご無事ですか?」

「えぇ、諒太のお陰で私は大丈夫よ。しかし、1年生の魔導弾も防げないなんて、外家筋の名が泣くわね。」

「麗華様!」

「何?」


 バコッ!


「きゃぁ!」


 麗華さんをかばった好美さんが魔導弾を受けて、闘技場外に転げ出た。


(”楯系”の生徒に守られたことで安心して注意散漫になってしまったのですな。戦場ではこういった些細なことが命取りになりますので、樹君も覚えておくと良いのですな。)

(了解。でも、その瞬間を見逃さないとは美姫さんもすごいですね。いや、気づいたのはエレナ様か?)

(判断にはある程度の経験を要求されるでしょうから、エレナ様でしょうな。)


「好美!」

「これで1対1ですね。でも、魔法の発動速度は私の方が上のようですから、麗華さん1人では私に勝てません。」

「美姫、貴様!」

「どうしますか?降参しますか?」

「降参などしないわ!」

「なら、終わりにしましょう。」


 美姫さんは魔導弾を放つ体制をとり、麗華さんに近づく。


「こっちに来ないで!」

「・・・。」

「もう許してあげるから、こっちに来ないで!」

「私には麗華さんに許してもらわなければならないことは何もありません。」

「諒太、、、好美、、、2人ともいないの?使えないやつらね。」

「自分を庇ってくれた仲間をそんなふうに言うなんて。」

「ひぃ!」


 美姫さんに睨らまれた麗華さんは呆気なく気を失い、またしても水たまりが広がっていった。



「第3試合の勝者は1年生5班!」


 審判が美姫さんの勝利を宣言し、第3試合が終了した。


「キャァーー!御姉様素、、、うぐぅ!」


 前回と同じ生徒が奇声を上げたかと思ったら、隣にいた生徒に口を押えられて、またしてもどこかに連れられて行った。


「待った!!!」


 突然大声をあげて男性が立ち上がる。


(六条軍務尚書?)

(そのようですな。審判委員長として物言いをつけたのでしょうな。)



「樹君、大丈夫?」


 美姫さんが駆け寄ってくる。


「大丈夫じゃないけど、無事かな?」

「エレナ様からは心配ないと聞いていたけど、本当に無事でよかった。。。」

「心配かけてゴメン。」

「ううん。いいの。」

「不甲斐なくてゴメン。」

「ううん。樹君は精一杯やったと思うから謝らないで。」

「でも、最後まで美姫さんの隣に立っていることができなかった。」

「樹君は医務室に行かずにずっと私のことを応援してくれていたじゃない。それだけで十分。」

「そう言ってくれて気が楽になった。」


  六条軍務尚書とその他の審判団が闘技場の中央に集まり話し合いをしている。


(樹君の魔導楯について協議しているようですな。)

(予想どおりですね。私たちは失格になるのでしょうか?)

(その線で話が進められておりますな。)


 審判団が解散し、六条軍務尚書がマイクを持つ。


「協議結果がまとまりましたのでご報告致します。結論としては、1年生5班を失格とし、第3試合の勝者は2年生1班とします。」


 観客席がざわめく。


「引き続き、協議内容をご説明します。試合開始早々、2年生と3年生の生徒が放った魔導砲を1年生の生徒が発動した魔導楯で防ぎました。しかし、これまでの経緯から彼が魔導楯で魔導砲を防ぎ切ることは不可能であります。

 そのため、この事象を説明するためには、彼の魔力が暴走し、それが上手いぐあいに作用した、と考える他ありません。魔力の暴走を起こした場合、通常は気を失うまで暴走を続けますが、彼は気を失ってはおりません。これは、その後に起きた爆発の衝撃により魔力の暴走が停止したと考えられます。

 以上のことから、規定にのっとり、魔法を暴走させた班員のいる1年生5班を失格とし、第3試合の勝者は2年生1班としました。説明は以上です。」


(あぁ、負けてしまったのか、、、)


 気が抜けてしまった僕は意識がとおくなり、


「全くバカな娘を持つと苦労する。それに、お義母様も困ったものだ。」


 六条軍務尚書の呟きを聞いた直後に気を失ったようだった。

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