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竜の女王  作者: M.D
2170年夏
100/688

07

 翌日、当分の食料を買い込んだ僕たちは、僕が落ちた崖の近くに来ていた。


「美姫さんが住んでいたのって、この辺り?何もないけど。」

「あそこに大きな岩があるでしょ。その近くの石が鍵になっていて、ある順番で石を踏んでいくと岩が開いて中に入れるようになるの。」

「岩の中に住んでたの?穴倉の中に住んでたって、そういう意味だったのか。」

「そういうこと。」


(あーっ、エレナ様、お帰りなさいなのー。)

(大事なかったかのう?)

(はいなのー。何もなかったですのー。)


 背中に葉っぱのような羽を持った何かが近づいてきた。


(ミーちゃん、ただいま。)

(美姫もお帰りなさいなのー。元気になってよかったのー。)

(ありがとう。)


「美姫さん、あれ何?」

「妖精のミーちゃん。」

「妖精?」


(あれー?エレナ様、この人間誰ー?)

(奴は樹じゃ。ワレと魂の絆を結んでおるから、仲良くしてやってやるのじゃ。)

(えーー。この人間から悪魔の匂いがするから、やーなのー。)

(そう言えば、美姫と樹の特訓に付き合ってもらおうとグレンにもついてきてもらっておったのう。樹の中におるのは悪魔と融合した人間のなれの果てじゃ。無害じゃから、心配ないのじゃ。)

(なれの果て、とはお厳しい。グレンです。お見知りおきを。)

(分かったのー。エレナ様がそういうなら、仲良くしてあげるのー。)


(物語の中にだけに存在する、と思っていたけど、妖精なんて本当にいたんだ。)

(私は物心ついたときからミーちゃんがそばにいたから、物語を書いた人も同じように妖精を見ることができたんじゃないかな、と思っているの。)

(僕と美姫さんはエレナ様とつながりがあるから妖精を見ることができるのだとは思うけれど、他に妖精を見ることができる人なんていないんじゃない?)

(いや、妖精を見ることができる人間は、余程精神エネルギーが多いか、妖精と精神エネルギーの波動が一致しておるか、どちらかじゃからのう。稀にそのような人間もおるようじゃ。)

(ということは、妖精って悪魔と同じような存在、ってことですか?)

(むー。この人間ひどいことを言うのー。やってしまってよいですかー?)

(よいじゃろう。)

(わーい。覚悟するのー。)

(いや、ダメで・・・ぐはぁっ!)


 何もない空間から突然発生した雷にうたれた。


 ・・・・


「う、うっ。」

「樹君、大丈夫。」

「大丈夫じゃないかも。」


(そんなことないのー。美姫と仲が良さそうだったから、手加減してあげたのー。)

(ミーちゃん、ありがとう。)

(どういたしましてなのー。)


(いや、そこは感謝するところじゃないと思う。それにしても、こんな小さい体のどこにあんな力があるんだろう?)

(ミーちゃんは上位精霊だから、姿だけで判断したらダメよ。)

(上位精霊?さっきは妖精って言ってなかったっけ?)

(私もよく知らないけれど、上位精霊の一部を妖精って呼ぶらしいよ。)

(ザグレドの知識によると、上位精霊のうち物理的な肉体をもつことができる存在を妖精と呼ぶらしいですな。)

(妖精に加えて精霊も実在するなんて、、、)


(精霊とは、樹の理解できる言い方じゃと、地球上に配置されたナノマシン、と言ったところじゃのう。)

(精霊がナノマシン、ですか?)

(そうじゃ。ワレらはこの地球の全てに干渉できるわけではないからのう。地球上のあらゆる場所に精霊を配置して、地球環境の観測と整備、人間から精神エネルギーの回収を行っておるのじゃ。)

(なんか思っていたのと違いますね。)

(人間が思い描く精霊は想像の産物じゃからのう。精霊の数は膨大じゃから、観測した結果をまとめる存在が必要で、それが上位精霊というわけじゃ。)


(そうなのー。あたしは偉いのー。)

(そんなふうには見えないけど。)

(もう一発いっとくー?)

(ごめんなさい。)

(分かればいいのー。)


(精霊は地球環境の整備をするために、上位精霊の命令を受けて様々な事象の改変を行うことができるのじゃ。先程、樹が受けた電撃は、ミーが精霊を使役した結果じゃ。)

(それでこんな小さい体なのに、あんなことができるのか。)

(えっへん。あたしはすごいのー。)


「ここで立ち話をしているのもなんだから、そろそろ中に入らない?」

「賛成。」

「ちょっと待ってて。鍵を開けるから。」


 美姫さんが石を順に踏んでいくと、岩が音もなく開いた。


「すごい。」

「さぁ、中に入って。」


 中に入ると明かりがついた。


「普通のマンションの玄関、って感じだ。岩の中とは思えない。電気とかどうやって持ってきているんだろう?」

「人目のつかないところに太陽電池を設置してあるのと、近くの滝の中に水力発電機をおいて電気を作って持ってきているんだって。」

「そうなのか。それにしても、半年以上あけた部屋とは思えない綺麗さだ。」

「ミーちゃんが掃除してくれていたからだと思う。」


(そうなのー。あたしが掃除とか維持管理をしていたのー。)

(ミーちゃん、ありがとう。)

(どういたしましてなのー。)


(これってブラウニー?)

(これって言うなー。そのかわり、ミーちゃんと呼ぶことを許すのー。)

(はいはい。)

(はいは一回でいいのー。美姫ー、ちゃんと躾をしておいてほしいのー。)

(分かった。それで、ミーちゃんはブラウニーというわけではないんだけど、昔から家事全般を手伝ってくれているの。)

(美姫は体が弱かったし、エレナ様も同然だから、あたしがお手伝いをするのは当然なのー。)

(エレナ様のどこに慕われる要素があるのか。)

(なんじゃと。)

(エレナ様の悪口を言うのはダメなのー。もう一発いっとくー?)

(ごめんなさい。)

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