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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

暁の戯れ

作者: takechan
掲載日:2020/11/02

貴方は全ての謎を解くことが出来ますか?


一度読んだだけでは、意味が分からない所が多く難解かと思います。


全ての謎を解くことは至難の業でしょう。


解答編も用意してありますので、高評価、ブックマーク、感想等をしてからそちらもお読み下さい。



 ぼーっとしながら散歩をしていると、ふと一軒のお店が気になった。


 その看板には「(あかつき)」とお洒落なロゴで書かれていて、白い壁と焦げ茶色の屋根が落ち着いた印象を感じさせる。


 24時間営業の喫茶店とは珍しい。


 まだ仕事は残っているが、一息つきながらでも問題はないだろう。 


 俺は、こじんまりとはしているが何故か目を引く喫茶店に入ってみることにした。


 店の中は幾つかの間接照明によって、明る過ぎず暗過ぎず、目に優しい空気感だ。穏やかに流れるBGMがそのレトロな雰囲気に合っている。


 ソファーやテーブルが幾つか並んでいるが、俺以外に他の客はいないようだ。


 居心地の良さそうな真ん中の席に座り、鞄の中からノートパソコンだけを取り出すと、メニューを確認することなくオススメのコーヒーを注文した。


 暫くすると、暖かそうな湯気を立てて、コーヒーが運ばれてくる。香しい香りが鼻腔をくすぐるようだ。


 期待を胸に、そっと一口飲むと、途端に口の中一杯に、良質なコーヒー特有の香りと奥深い苦みが広がっていく。


 嗚呼、おい......し.......い..............


 何だか急に頭がクラクラして、うまく意識が保てなくなった。


 急な睡魔に襲われ、次第に微睡の中へと落ちていく。


 驚く顔の店員さんの姿が見えるが、何を言っているのか、何をやっているのか、さっぱりわからなかった。


 意識が戻ると、店の端のソファーに横になっていた。


 体を起こすと毛布が肩からずり落ちてきたので、誰かが親切をしてくれたのだろう。


 店の窓から外を見ると、あたりはすっかり暗くなっていて全く外の様子が分からない。


 吸い込まれるような漆黒に、原始的な恐怖を感じる。


 ホールに人がいる気配はない。


 一言店員さんに礼を言おうと思ったが、いないのならしょうがないだろう。


 取り敢えず外の様子が気になる為、店の扉に手をかける。


 だがどれだけ力を入れようとも、その重厚な扉はピクリとも動かない。


 まさか、閉じ込められてしまったのか?


 このままここを出られない?


 何だこの現象は!他の人はどう思っているんだ!?


 ホールに誰も人がいないことを確認して、厨房の方を覗き込む。物音一つしないのに電気はついたままだし、人がいたような形跡もある。


 事務室や、更衣室のような部屋があるはずだ。


 奥に進むと、案の定「Staff only」と書かれた札が掛けられた扉を見つけたので中に入った。


 扉を閉め中を確認すると、そこは事務室の様な場所だった。デスクの上には1台のノートパソコン。


 壁には2メートル位ある金属製の棚と、貴重品を入れる用であろう小さなロッカーが幾つか並んでいて、掃除用具が壁に立て掛けてある。


 パソコンを見てスマホを持っていたことを思い出した。ポケットから取り出してみたが電源は入らなかった。


 そうだ、あのノートパソコンが使えるかもしれない。


 うわっっっ!!


 ノートパソコンを開くと、画面いっぱいに血だらけの肉の画像が表示された。


 くそ!脅かしやがって!


 まぁ喫茶店と言えども、食品も扱っているようだし、肉を調べていても不思議ではない。


 念の為に触ってみたが、画面は一切変わらなかった。


 一向に誰かいるような気配も感じられない。このままじゃ本当にここから出られないかもしれない。


 棚には何かないかと思い、藁にも縋る思いで様々なファイルやプリントを漁っていく。

 

 その中で一つだけ明らかに場違いなものを見つけた。


 手に取ってみると、それは黒い表紙に「Daiary」とだけ書かれた誰かの日記だった。


 関係ないと思い棚に戻そうとしたが、何故か目を離せなくなるような魔力のようなものを感じた。


 これを読んでしまったら、何か後戻りできなくなるんじゃないか。不思議とそんな心配が湧いてきたが、その魔力に抗えず、俺は日記を読むことにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


《〇月×日》

 日記って初めてだから何を書けばいいのか分かんない。

 けど、パパに頼んで買ってもらったからにはちゃんと書かないとね。

 学校で起こったこととか楽しかったことを書いていくようにする。


《〇月△日》

 今日は友達の優ちゃんと遊びに行った。

 お父さんは1人で大丈夫か?って心配してたけど、優ちゃんと行くから大丈夫だって言ったら、「そうか」って言って部屋に戻っちゃった。

 お父さんは優ちゃんが苦手なのかな?


《〇月□日》

 今日も放課後に優ちゃんと遊んだ。

 今日は近所の公園だったから、他の子もいて大人数で鬼ごっこした。

 優ちゃんが途中で転んじゃったから、私と優ちゃんはちょっと早めに帰ることにした。

 優ちゃん家まで送らなくて大丈夫だったかな?

 明日学校で聞いてみよう。


《〇月〇日》

 優ちゃんは大丈夫だった。良かった。

 擦りむいた所にウサギの絆創膏を貼ってて可愛かった。

 優ちゃんは怪我が治るまではあんまり外で遊ばないようにするんだって。

 だから私も中でできる遊びをするんだ。

 お父さんに何か教えてもらおう。


《×月〇日》

 1週間位書くのを忘れてた。

 3日位前にお父さんが優ちゃんと遊ぶのは止めなさいって言ってきたから、それから一回も口をきいてない。

 なんでお父さんがそんな意地悪を言うのかが分かんない。

 私が怒るのが久しぶりだったからか、お父さんは凄く困ったような顔をしてた。


《×月×日》

 優ちゃんが学校で虐められているみたい。

 なんで私は気づいてあげられなかったんだろう。

 よく無視されてるし、わざと廊下で避けずに肩をぶつけられてたりもしてたみたい。

 クラスの子が皆優ちゃんを虐めるから、先生にも言った。

 そしたら「優ちゃんのことは先生に任せなさい」って言ってくれた。

 先生に任せてみようと思う。


《△月×日》

 1ヶ月経った。

 優ちゃんへの虐めは止まらなかった。

 優ちゃんはお兄ちゃんが死んじゃったと言って引きこもってしまった。

 先生は任せろって言ってくれたのに!!

 それと、×月△日からお父さんの知り合いだっていう神崎さんがよく家に来るようになった。

 神崎さんは私が優ちゃんと遊んだ話をすると楽しそうに聞いてくれる優しいお姉さんで、カウンセラー?って仕事をしてるんだって。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 日記はそこで終わっていた。


 何で子供の日記がこんなところにあったんだろう。


 そう思いながらも日記をもとの位置に戻す。


 さて、次はどうしようかと後ろを振り向くと、閉めたはずのドアが半開きになっていた。


 何時奴が来るか分からない。


 ドアをじっと見つめたままどうすればいいか思案する。

 

 そして辺りを見渡すと、右側の壁にも扉がある事に気づいた。


 ノートパソコンや棚に気を取られていて気が付かなかった。確かに保護色になっていて分かりづらい。


 位置的に厨房に繋がる扉だろう。扉を開け、すぐさま厨房に向かい、包丁を手に取る。


 急いで事務所に戻ると扉の鍵を閉め、壁に背を預けながら溜息をつく。


 暫くそうして辺りを警戒していると、棚に知らない紙が挟まっている事に気が付いた。


 どうやらこれも誰かの日記の一部のようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


《観察4日目》

 山岡 葵ちゃんのカウンセリングをしていると幾つかおかしな点に気付いた。

 まず、優ちゃんと遊んだ記憶や、優ちゃんのプロフィールはしっかり覚えているのに、優ちゃんと何時何処で出会ったのかは全く覚えていないこと。

 次に、優ちゃんが他の子と話している描写や話を一切しないこと。

 最後に、優ちゃんと何をしたってのはあっても、優ちゃんがどんな話をしたのかは私が聞いてから考えるような素振りを見せること。

 少し調べてみようかしら。


《観察5日目》

 葵ちゃんの学校に行き、クラスの子や学校の先生に話を聞いてきた。

 やはり事前に伺っていた通り、優ちゃんは存在しないらしい。

 葵ちゃんは元々人見知りが激しく、クラスでも浮いていたそうだ。

 葵ちゃんが友達を欲しいと思った結果、イマジナリーフレンドに近い妄想の友達を見るようになったのではないかと思う。

 これを葵ちゃんにどう伝えるのが正解なのかしら......


《観察9日目》

 最近葵ちゃんの様子がおかしい。

 どうやら、優ちゃんが皆に無視されていると思っているようだ。

 さて、どうしたものかしら......


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ふと、何の前触れもなく扉が開く音が聞こえた。


 来る!奴が来る!

 

 包丁を構えて、扉のほうを注視する。


 ゆっくりとぬいぐるみを抱えた女の子が入ってきた。


「君は葵ちゃんかな?」


 俺はもしかしたらと思い女の子にそう尋ねた。


「違うよ、私は優ちゃん。葵ちゃんはこのぬいぐるみだよ」


 優ちゃんはそう言って静かに首を振ると、手に持った古びたぬいぐるみを見せた。


「そ、そうか。間違えてすまなかった。それで、優ちゃんはこんなところで何をしていたの?」


 彼女を怖がらせないように手に持った包丁を机の上に置きながら、俺はそう尋ねた。


「迎えに来たのよ。優ちゃんはここに住んでるの」


 何か、嫌な予感がする。


「1人で......んん、2人でかい?親は一緒じゃないのかな?さっきから店員さんの姿も見えないんだけど」


「そうだよ。ずっとそう。優ちゃん達は二人で暮らしてるの」


「寂しくはないの?」


「寂しくなんかないよ。だって今日から1人家族が増えるから。ね、お兄ちゃん」


「ごめんね。残念だけど、お兄ちゃんはもう帰らないといけないんだ」


「どうして?こっちおいでよ」


「いや、仕事だってまだ終わってないし」


「辛くない?こっちおいでよ」


「誰もいないけど、家には帰らなきゃいけないし」


「ここが家になるんだよ?」


「いや、でも......」


「お兄ちゃんは、優ちゃんの夢からいなくなるんだね」


「ごめん。奴が来るからここにはいられない」


「いいよ、いいよ、もういいよ。好きなところに行ったらいいよ」


「そうするよ。さようなら」


「うん。またね」


 彼女はそう言うと、笑顔で手を振った。ぬいぐるみを持っていないほうの手を。


 




 はっっ!ここは!?


 目が覚めると、喫茶店のソファーに沈んでいた。


 窓の外を見ると暁の空が広がっていて、今から町が動き始めるのだと分かった。


 机の上に置かれたノートパソコンは開いたまま充電が無くなり、電源が切れている。


 ホットで頼んだコーヒーもすっかり冷えてしまったようだ。


 一体何時間たってしまったのだろう。


 仕事はもちろん終わっていないが、こうなってしまっては仕方がない。


 ふと、手に何かを持っているような感触があった。


 何だろう?


 俺の手には、包丁が握られていた。


「こっちおいでよ」


 どこからともなくそんな声が聞こえる。


「ねぇ、こっちおいでよ」


 なんで俺は、包丁を持っているのだろう?


「早く、こっちおいでよ」


 そうか、そういうことだったのか。


「こっちおいでよ」


 今行くよ。


「こっちおいでよ」


 暁の中に。




「一緒に遊ぼ、お兄ちゃん」




さて、無事に全ての謎を解くことが出来ましたか?


ウミガメのスープ的な発想力と想像力が必要になってきます。あることに気づけたら後は数珠繋ぎのように謎が見えてくることでしょう。


全て解けたという方は感動に打ち震えて高評価が止まらなくなっている事でしょう。


そうでない方は、残念ながら謎は解けてはいないようですね。


もう一度じっくりと読み直すことをお勧めします。


もう降参という方は、素直に高評価、ブックマーク、そして悔しいですと感想してから解答編をご覧ください。


☆最後までお読み頂きありがとうございます☆


 評価、ブックマーク、レビュー、感想等頂ければ、デロリアンがタイムトラベルに成功した時のドクのように喜び、駆け回ります。


 他にも投稿してるので是非見ていって下さい!

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