表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の冒険  作者: 黄昏人
第8章 終章、俺は地球世界と異世界を変えてしまった
85/85

終章、イミーデル王国の終焉、地球のその後

中途半端に止まっていましたが、漸くケリを付けました。

長らくありがとうございました。

 義父であり家長のゼンダ・デラ・ロリヤーク男爵は、強盗団壊滅の報告を聞いて、『変わったものだ』と思った。嘗てであれば、150人の戦闘員を擁する『赤の盗賊団』に、自分の領を襲われたら多分いいように略奪されたであろう。今回は、たまたま強力な戦闘力を持つ娘婿のケンジと娘が帰ってきていたが、その手を借りるまでもなかった。


 つまり、自分の領軍は150人の戦慣れした盗賊団に、死者は無論一人の重傷者も出すことなく楽々打ち勝つ戦力があることになる。『赤の盗賊団』が、250人の領軍を持つアセク伯爵領を襲って、領兵50人、住民380人の死者を出して、35人の若い女を連れ去られ根こそぎ財産を奪ったことは聞いていた。


 無論、アセク伯爵領は突然襲われたことでそのような結果になったのだが、その意味で自領の警戒態勢は完璧であったことになる。これは、ケンジがインストラクターとして、地球人のミッチェル・ドノバンを雇ってくれたお陰であり、彼が領の住民になってくれたお陰である。


 それにしても、ロリヤーク領が今の豊かさで知られるようになったのは、ケンジの莫大とも言える投資のお陰である。ゼンダも今では、豊かになるには適切な投資が必要であることは理解している。しかし、娘に援助したもらってどうにか領を保っていた頃は解っていなかった。


 その頃は、とにかく金が欲しかったが、それをどう使いかは借金の払うのみで考えてもいなかった。その借金がマジックバッグの売却益による娘の大きな援助で消えたとき、これからどうすればいいのか、混乱していたものだ。その意味で、ケンジが否応もなく投資してくれたことは良かったわけだ。


 ゼンダは、盗賊団の対応に追われていたため、相談出来ていなかった件を正面に座っているケンジとシャイラに切り出した。

「うむ、ケンジ君が帰った早々大変なことになって申し訳なかった」


「いえいえ、結果的に損害なく切り抜けられて良かったですよ。それに、備えた準備が十分であったという点は喜ばしいことです」


「うむ、その通りだ。これも君がドノバンを送り込んでくれたお陰だ。それで、このようにイミーデル王国では明らかに治安が悪化している訳だ。その中で、王国政府は何ら有効な対応策をとっておらん。実は学園時代の友人や親しくしている友人の数人から、ジャーラル帝国への鞍替えの相談があった。

 彼等には、相当数の領主が同調しており、儂への繋ぎに期待しているようだ」


「うーん、それはシーダルイ侯爵のジャラシン卿も言っていましたね。ただ、とりわけ法衣貴族の反対が強く、どうにもならないと言っていました」


「うむそれはそうなのだが、領地持ちの者たちの不満はすでに抑えきれない所にきているという。一つは王室の無駄使いが依然として止んでいないことと、王軍を縮小したことによる治安の悪化だ。一時は好景気が続いていたカロン、シーダルイ領など我らの側の領からの歳入増で潤った。だが、それが無くなったことで大きく王国の歳入が減ったにも係わらず、無駄使いが続いていると不満が強い。


 まあ、財政難で王軍は7万から5万人に減らしたのだが、それに加えて領兵などの兵が解雇され強盗団が増えた。その割に取り締まる側は減っているから、治安は悪くなる。それに、何よりの不満は我々ジャーラル帝国に鞍替えした領群の繫栄だ。


 つまり、我々を王国に引き留めておけば、その繁栄は全体に及んだはずだが、それをわざわざ締め付けて追い出した格好になった。まあ宰相のカーモフ侯爵は私利私欲に走る人物ではなく頑張ってはいる。ただ、我らの領のやっている改革を真似て様々な投資もしているが、効果が出るには時間がかかる。


 また、我々のように君やその世界の援助もない状態であるので、失敗もあるし効率が悪い。だから、現状では先行きが見えない状態であり、多くが王国に見切りをつけて我らに続こうという意向になっているようだ」


「うーん、つまりジャーラル帝国に鞍替えするということですか?」

「ああ、爵位などの条件は少々悪くなっても、その方が明るい将来が見えるということだな。ケンジ、君とシーダルイ侯爵それにカリューム侯爵は帝国政府と、イミーデル王国について今後の話をしたと言っていたな。どういう感触だったか聞かせてほしい」


「ええ、シリング外務卿と話をしました。それは帝国側が、イミーデル王国の今後が安定するとは思っていないことで、騒乱の種になるか否かの確認のようなものでした。その話の中では、早晩今義父上が言ったようなことになるだろうと予想はしていました。


 そして、その場合はシーダルイ侯爵家とカリューム侯爵家を中心に、旧イミーデル領として、纏まるのであれば帝国に受け入れることは可能ということです。その場合の爵位は既存のままとはいかず、准爵ということになるということです。帝国議会の参加権は伯爵以上ですが、准爵にはありません。


 だから、旧イミーデル領の帝国における利害代表は、シーダルイ侯爵家とカリューム侯爵家に加え伯爵で帝国に迎えられた我が家と他の2家になります。ああ、それから、王家は准爵としての公爵、今の公爵は同じ扱いの侯爵になります。結局国を保てなかった高位爵位持ちは責任が大きいということですね。


 ただ、領地持ちに関しては、今までは農産などの収穫の2割に相当する税を王国に収めていたのが、1割5分になり、主要道路や港の改良や管理、対外への軍は帝国の責務になりますね。だから、治安維持のみ責任を持てばよいので実質国に対する負担は半分程度になるはずです」


「なるほど、大体は聞いていた通りだな。それは、私が接触した者たちも知っており、その上での話であったので、彼らとしては本気だな」


「ああ、たぶん、それはジャラシンが友人に伝えたのでしょうな。あと、無論准爵もそれなりの手柄を上げれば、無論立場は良くなります。ただ、問題はやはり王政に関与してきた高位貴族と、法衣貴族ですね。特に後者の収入を保証しないとね。


 ただ、彼らは戦力を持たないから正面切っての対立はできない弱い立場です。だから、逆に反対論が強い訳です。ですが、法衣貴族は基本的には王国政府の役人で、彼らは様々な行政や、税などの専門家ですから今後も帝国の旧イミーデル領群としては必要な存在です。

 ですから、王国の今よりは立場は下がるでしょうが、官僚としてそれなりの待遇はできるでしょう」


 ゼンザは、腕を組んで少々うつむいて少し考えていたが再度口を開く。

「うむ、私も実際の所そうした専門の者は領で雇いたい。ただ、貴族の間を動き回り裏から政治を動かしていたようなもの、地位に奢って徒食していたものは必要ないな。どの道国が解体されるような大きなことが起きる時に犠牲は付き物だ。犠牲を払う立場の者たちがその気になっているのだから、断固としてやるべしだな」


「そうですね。ではこの件はジャラシンを中心に動いてもらいましょう。シーダルイ領であればそれなりに人材もいますし、領で何台もエアカーを持っているので、王都までのどれほどの時間もかかりませんからね」

「うむ、私も出来るだけのことはしよう。ただ男爵の私では貫目が足りんわな」


「いえ、准爵でない帝国の男爵ですから相当なものですよ。まあ、明日ジャラシンに会って頼んできます。実の所彼も動こうとしているところでしたし、お義父さんの人脈に繋いでもらえば、一定の筋は見えるのではないでしょうかね」


 そういう話で、ジャラシンが、カロンのカリューム侯爵と義父とも連絡を取って話を整理した。その結果、すでに領持ちの領主については、すでに押しとどめられない所迄きている、だから、あと一押しの所なのだが、リーダーが決まっていないことと、帝国への橋渡しを探ろうとしている所だった。


 それで、ジャラシンと義父、それにカロンのカリューム侯爵にも付き合いのある貴族仲間からは接触があった訳だ。結局、カリューム侯爵が王都まで行き、付き合いのあった宰相の宰相のカーモフ侯爵と会って話をした。


 久闊の挨拶の後、カリューム侯爵から話を切り出した。

「カーモフ殿、そう前に会ってもう5年になるな。少しやつれて見えるが、なかなか苦労されておられるようだな」


「うむ、その通りだ。まあ、財政状態は実際のところ、一時シーダルイやカロン領のお陰で良かったその前に比べて悪くはない。だが、なにせ沸き立っているカロン周辺にシーダルイ周辺に比べるものだから不満は大きい。それに何より、馬の要らない『自動車』や『飛行車』だな、さらに家の中で便利な『家電』であったか、ああいうものが王国では手に入らないことも不満の種としては大きいな」


「それはあるだろうな。我々はそういう物をもう2年近く使っているが、あれら無しの生活はもう考えられん。確かにあれらを知ってしまえば、欲しくなるのはよく解る。して、宰相殿、どうも領持ちの貴族を中心に、帝国への鞍替えをという動きはもはや止められんところに来ているようだ。


 先に我々が帝国と話した結果は手紙で知らせたが、いわゆる爵位は落ちることになるが、数年すれば間違いなく今より豊かになる。さらに、どうも王国の南で周辺を飲みこみつつある国があるようだな。ダイデスト王国とか。国王がなかなかの切れ者のようだな。

 貴殿がやっている改革によって、王国もジリジリとは豊かになっていくだろう。ただ、我々の領での発展には勝てん。大きく劣るだろうな。だから、結局そのダイデスト王国に飲み込まれるだろう」


「うむ、ダイデスト王国の件は解っており、困っているところだ。実の所水面下で、儂に国を裏切れという誘いが来ておる。カリューム侯爵、貴殿の領でも我が王国が飲み込まれれば、隣接するぞ」


「ハハハ、それは問題ない。現状で彼等は15万の兵だよな。火縄銃と槍で武装した15万の兵は、シーダルイの兵と我が兵を合わせた1万で問題なく退けられる。空を飛んで攻撃できるなど兵器が違うからな。どうだな、宰相殿、私も同じ王国の貴族で会った者として殺し合いたくはない。

 国王を説いて平和裏に帝国に下ったほうがお互いのためであると思うが?」


「うむ、実は陛下とは貴殿の手紙を見せて話はしている。陛下も5年以上前の、貴殿らの軍に対して我が王国兵が全く相手にされなかったことをよく覚えておられる。それと、ダイデスト王国には勝てないとの思いだ。従って、帝国に下るも止むを得んというお考えだ」


「うむ、宰相閣下、貴殿も辛いの」

 その言葉に対する、カーモフ侯爵からの応えはなかった。


 それからの進行は早かった。改めて帝国への帰属について、国王及びイミーデル王国の全貴族での話し合いがもたれた。その結果、強硬な反対意見も多かったが、鞍替え派からは、最終的には戦いでケリをつけるという話になった。そしてカロン領シーダルイ領も鞍替え派に与するとの話が出た時点で強硬反対派も折れた。


 彼等も以前に6万の精強な軍が戦うまでもなく、爆裂などの脅しで逃げ帰ったこと、城にこもったミザラス公爵が100人にも満たない空を飛ぶ兵に一方的に敗れたことを良く覚えているのだ。


 その後、国王以下が帝国を訪れてイミーデル地方として帝国に服属するという宣言をすることで正式に帝国に編入された。国王ピエールはイミーデル公爵(准爵)となった。イミーデル地方では一応帝国の正式な爵位持ちのシーダルイ侯爵やカリューム侯爵の上位であるが、帝国内での権限は伯爵程度である。


 こうして、俺も気にしていた、イミーデル王国の問題も片がついたことになる。なお、新興の侵略国家ダイデスト王国についてであるが、帝国から彼等の王都に正式に使節団が飛行車の編隊で訪れた。

 その後、使節団が軍事演習の様子を映した内容を含めた帝国の紹介ビデオを見せた結果、彼等も3年後に帝国の傘下に収まることになった。ダイデスト王は猪武者ではなかったということだ。



 ちなみに、地球のことであるが、日本は1億2千万の人口に加えて、異世界においてアメリカを凌ぐ資源を入手することになった。さらに、軍備の質ではすでに世界一になっておりアメリカを凌いでいる。このことで、世界における影響力では段々大きくなっている。


 世界一の経済力を持つアメリカは経済が全く伸びなくなって、貧富の差がより広がる傾向と共に、より物騒な国になっている。このこともあって、前から見えていた自国主義が著しくなって、勝手な主張が増えており、到底世界のリーダーとは見做せなくなっていった。


 一方で、C国は長く言われていたように、経済が大きく落ち込み、隠していた国全体の経済の粉飾が明らかになった。このことで、軍が反乱を起こして共産党政権が崩壊した。その後、軍は国を共和制に改めて、普通選挙を行って再度世界に向けて融和的になった。

 そうすることで、世界一の生産力を生かした貿易立国で、威圧をしない大国として別の意味で世界の中で大きな立場になっていった。


 日本は、アメリカが我儘を言う中で、欧州と新生なった中国や、経済成長著しいアジア諸国、さらにカナダやオーストラリアと密接に交流して世界のかじ取りをしていくのだった。これは、エネルギ―・環境など大きな問題は概ね片付いていたことも幸いしている。

 この中で、アメリカはさほど魅力のある市場でも無く、文化の発信力のなくなった中で漸く自分の立場に気が付き、貧富の差の解消に取り組むなど普通の国になって行った。


 俺はその後大きなことはなく、シャイラと共に地球とハウリンガを行き来して暮らしていった。俺は異星人から大きな力を与えられ、人類の大きな問題を片付けた点ではそれなりに貢献したと思う。ただその過程で大いに冒険として楽しんだことも事実である。

 2回目の寿命は、まだだいぶあるようなので、もう少し冒険をするような世界の扉を開いてみようかなと思うこの頃だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ