若さって、いいけど切ない
ちょっと、ビターな展開
アツアツの焼きハマグリが3個。
白身魚と赤身魚が生で3切れずつ、それに真っ白なイカのお刺身、横にタレの入った小皿。
白身魚の切り身の塩焼き。
エビとキノコと白身魚のフリッター(揚げ物)。
パンとコンソメスープ。
(バナナ、キウイ、イチゴのような)見たことのない色合いのカラフルな果物。
「お邪魔にならないようにエールは2杯ずつ置いておきます。
当ホテル名物のお刺身はそのタレ、レモン酢とお酒、それに海藻の”だし”を合わせたもの、におつけください。
お好みで、先ほどの”ショーガ”をお付けいただくのがおすすめです。
新鮮素材のフリッターはお肉同様に、塩をパラパラと振っていただきます。
お好みで、横に添えたレモンを絞ってかけてください。
レモンはかけすぎると酸っぱいだけで、美味しさが台無しになりますので少量しか添えておりません。
御用があればその紐を引っ張ってください。
部屋の前の呼び鈴がなりますのですぐに伺います、ではごゆっくり。」
引き戸を静かに引いて、給仕の娘が退出。
引き戸の外から、食器を持って給仕の娘が遠ざかる音がかすかに、・・。
「た、食べるニャ。」
「そ、そうだね。」
お腹いっぱいにご馳走を食べた後は給仕の娘のおすすめに従い、宿のプライベートビーチの砂浜を二人でお散歩。
手をつないで、日もどっぷりとくれた砂浜を宿の浴衣で歩く二人。
「もう、2年になるのな。」
レイミがほろりと言う。
聞こえるのはさざ波の音。
「ありがとニャ、ユンカー。
”ダメ可愛い”、だけのネコ獣人のあたしとは、やっぱりアタシ自身折り合いが付かない。
あの妖精と何度か話して決めたニャ。
獣人は悩まない!
ギルドもやめてちっちゃな部屋を借りてチカちゃん(ティンカーベル)の元で鍛えなおして、納得できる強さになったら王都で冒険者になる。
ユンカーの家にもチョコチョコ遊びに行くけど、それはお嫁さん候補じゃなくて、単に仲の良い男友達の家に遊びに行くということ。
獣人はカラダが渇くニャ、これは仕方のないこと。
その時は存分にユンカーのお世話になりに行くけど、ブッチャケ人間は弱すぎるニャ(笑)。
目の前にご馳走が並んでいても、まずはお互い腰が抜けるまでセックスするような生き物が獣人なの。
ユンカーと暮らして2年間。
自分のお金にはあなたのおかげで全く手を付けずに生活できた。
信じられないくらいお金も貯まった、もちろんあなたに比べればとっても少ないけど。
ギルドの受付で荒くれ共の知性もない、動物のようなふるまいを見ていると体の奥でアタシ自身が目を覚ます気がする時があるの。
そして、その衝動を抑えられなくなってチカちゃんに相談したら、『女はココロのままによ!』って言われたわ。」
ユンカーは何も話さずに、ただレイミの言葉に小さく頷く。
「チカちゃんはレイミの見込みを教えてくれたかい?」
ユンカーが問う。
「獣人の血が特に強く入ってるそうよ、あたし。
チカちゃんは体の使い方、気の巡らせ方が全くできていない状態だとあたしの能力を判定してたけど、その状態でもDランクの底辺くらいの力はあると。
でも、頑張ればBランクまでは届くかもしれない。
その程度が限界でしょうね、って笑ってた。」
「『簡単にのたれ死んじゃうレベルだけどそれでもやる?』って、チカちゃんに聞かれたわ。
あたしは「何も心配のない平安より、思うがままに生きて末は『土に帰りたい』って答えたの。」
「だから、ユンカー。この旅行が終わったらお別れね。
家に帰って荷物をまとめたらお互い、新しい人生。」」
そこまでポツポツと独り言のようにレイミは語ると懐から紫の布の小さな袋をユンカーの手に握らせる。
「あたしの尻尾の毛が3本入ってるわ。
幸運のお守り。
あなたは大好きだから気が向いたら抱かれに行くわ。
もしかしたら、ほぼ毎日かも(笑)。
その時はお願いね。」
「そうか、チカちゃんは大妖精様だから、絶対に死なないくらいに鍛えてもらうんだよ。
ボクよりもはるかに強いレイミか。
想像したことなかったけど、いつか必ずなるよ。応援するよ。」
ユンカーが寂し気に笑う。
「その笑顔が反則だわ。
心地良過ぎてそばにいられないのよ。」
レイミも同じように薄っすらとほほ笑むとユンカーに短いキス。
「むかし、近所のお母さんが言ってた。『オンナは灰になるまで』、って。」
「あっ、そうニャ。
さんざんあたしを着せ替えにしてたエミリアのエロ下着の試作品。
あれ、みんなあたしに頂戴。
最後の晩はエロ下着で”最後の”ファッションショーをやりましょう。
サイッコウにエロいパーティーにするわ!」
「あのエロ下着にはあたしの汗や色々な臭いや、恥ずかし~い思い出がい~っぱい。
だから全部あたしの財産、思い出の品。」
「でも、あなたお気に入りの、エミリアZENRA”みずいろ紐フンドシ“はお情けで置いていくわ。
形見分け、あたしの代わりに可愛がってね(笑)。」
「まさか、あれが1万リンで3000本以上売れるとは夢にも思わなかったわよ。」
路線がぶれた?




