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魔法災害隊  作者: 横浜あおば
次元結界編

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第71話 魔力検査

 一時間後。

「すみません、お待たせしました!」

 響華がCIA本部に転移してきた。

「おかえり〜、響華っち」

 遥が手を振る。

「それで、桜木さんは……?」

 雪乃が心配そうに問いかける。

「うん、無事に意識を取り戻したよ。今は国元さんが付いてくれてる」

 響華の答えに、碧はホッとした表情を見せる。

「ひとまず安心だな」

「では、藤島響華。魔力検査の用意が出来ていますので、早速始めましょう」

 ライリーが呼びかけると、響華はこくりと頷いた。




 響華が検査に向かうと、ライリーが碧、遥、雪乃の三人に紙を手渡した。

「皆さんの魔力検査の結果です。ご確認ください」

 三人はそれぞれ紙を受け取り、検査結果を見る。

「私はやはりそこまで魔力が強くないようだな」

 碧が呟く。

「あれ? 私、前より強くなってる気がします……」

 雪乃が声を上げる。

「どれどれ?」

 遥が雪乃の検査結果を覗き込む。

「ホントだ。このままじゃユッキーに追い抜かれちゃうよ」

 遥はそう言って微笑んだ。

「滝川さんはどうだったんですか?」

 雪乃が聞く。

「私はそんなに変わってないかな。ほら」

 遥が紙を裏返して雪乃に検査結果を見せる。

「でも、滝川さんって藤島さんほどではないですけど魔法能力も魔力も強いですよね? まさか滝川さんまで何か隠してたりしないですよね?」

 雪乃が疑った様子で問いかけると、遥は両手を水平に動かして否定した。

「大丈夫だって。魔法関係は隠し事してないから」

「魔法関係『は』?」

 雪乃が鋭い視線を向ける。

「あっ、えっと、その……」

 遥の目が泳ぐ。

「滝川さん、何を隠してるんですか? 正直に言ってください」

 詰め寄る雪乃。遥は観念したのか、ゆっくりと口を開いた。

「いやぁ、あのね? 正月限定の諫早ちゃんがなかなか出なくてさ〜。つい追い課金を……」

 それを聞いた雪乃は、呆れた表情をして深いため息をついた。

「はぁ、全く。スマホゲームにいくら注ぎ込めば気が済むんですか……。この前だってクリスマス限定のキャラが欲しいとか言って課金してたのに」

「あのサンタ勝浦ちゃんは人権キャラだったからしょうがないの!」

 遥が反論する。

「滝川さんがそれでいいなら、別にいいですけど……。艦船擬人化ゲームが今後の人生で何の役に立つのか、私には分かりませんね」

 雪乃は突き放すように呟いた。


「検査終わったよ。結果が出るまで一時間かかるんだって」

 響華が戻ってきた。

「ああ」

 碧は検査結果の書かれた紙を折りたたみ、ポケットにしまいながら応じる。

「みんな何の話してたの?」

 響華が椅子に座って問いかける。

「聞いてよ響華っち〜! ユッキーがね」

 遥は響華にすがりついて話しかけた。するとそれを雪乃が遮った。

「そんなことより藤島さん。藤島さんって、何か隠してたりしますか?」

「えっ?」

 首を傾げる響華。その横で遥が「そんなこととは何だ! ユッキーには諫早ちゃんの素晴らしさが」と騒いでいるが、雪乃は気にせずに話を進める。

「もし藤島さんが魔法能力や魔力に関係する何かを隠しているのなら、私たちに話してくれませんか? それを知らないまま戦うのは、お互いにとって良くないと思うので……」

 しかし響華は、「う〜ん」と唸ってからこう答えた。

「隠し事をしてるつもりは無いんだけどなぁ。何だろう?」

 その時、碧が声を上げた。

「この話は、結果が出てからでいいんじゃないか? その方が藤島も話しやすいだろう」

 雪乃はこくりと頷き、遥の顔を見る。

「ということなので滝川さん。響華さんに愚痴るなり私に諫早ちゃんをプレゼンするなり、お好きにどうぞ」

「改めて響華っち、聞いてくれる? ユッキーがね」

 再び響華に話しかける遥。響華は苦笑いを浮かべながら、遥の愚痴をしばらく聞いていた。




 一時間後。ライリーが一枚の紙を手に響華に近づいた。

「検査結果が出ました。ご確認ください」

「ありがとうございます!」

 響華はその紙を受け取り、早速結果に目を通す。

「ん? 何だろう、これ?」

 響華が疑問を口にする。検査結果の中に、《Magic coefficient:Unmeasurable》と書かれた箇所があった。他は何となく理解できたのだが、ここだけはいまいち意味が分からなかった。その様子を見かねたライリーが説明する。

「それは魔力係数、いわゆる魔力の強さについて書かれたものです。本来は数値が表記されるのですが、計測不能だったためそのような表記になっています」

「計測不能……?」

 驚いたように呟く響華に、碧が話しかける。

「さっき北見が話そうとしていたのはこれについてだ。お前は人間の容量をはるかに上回る魔力を有している。おそらく計測不能だったのもそのためだろう。もしお前が何かを隠しているのなら、話してくれないか?」

「私、人じゃないの……?」

 碧の言葉に、ショックを受ける響華。それを見た遥が慌ててフォローする。

「いやいや、響華っちを化け物だって言いたい訳じゃないくて。ただ、もしだよ? もし響華っちが魔法神と融合してたりするなら、戦い方も変わってくるからさ」

「魔法神との、融合……」

 その時、響華にふと記憶が蘇った。

「あの夢って、そういうことなの……?」

「夢? 藤島さん、どんな夢を見たんですか?」

 雪乃が問いかける。響華は以前に見た夢の内容を話し始めた。

「なんか変な空間で、妙に大人びた小さい女の子と会話する夢。その子とは会ったことないはずなんだけど、どこか懐かしいような、そんな気がしたの」

「それが魔法神の記憶だとしたら。お前はそう思ったんだな?」

 碧が聞くと、響華は首を縦に振った。

「メイメイにもその話はした方がいいかもね。メイメイは魔法神に会ったことあるんでしょ? コンパイル、だっけ」

「はい。確か桜木さんの話では、そのコンパイルという魔法神は十歳くらいの少女だと言っていました」

 遥と雪乃が言う。

「では、この話は桜木芽生も交えて後日行うとしましょう。その際は私が日本へ出向きますので、皆さんに負担はかけません」

「分かりました」

 ライリーの言葉に、碧が頷く。

「飛行機の手配は完了しています。気を付けてお帰りください」

 ライリーが頭を下げる。

「ありがとうございました」

 響華たちは深く一礼して、CIA本部を後にした。

「……魔法神と接触したことがある。桜木芽生が異常な魔力を持つ理由はそれか?」

 ライリーは響華たちを見送った後、ぽつりと呟いた。


 中野、東京警察病院。

「体に違和感はありませんか?」

 国元の問いかけに、芽生は笑顔で答える。

「ええ。だいぶ感覚が戻ってきたわ」

「それにしても、まさか芽生さんにそんな過去があったなんて」

 国元が言うと、芽生は小さく首を横に振った。

「国元さん、悲しい話にしないで。これが私の人生なのだから」

「すみません。ただ、アマテラスのコピーから聞いて少し驚いてしまったもので」

 申し訳なさそうに言う国元に、芽生は魔法結晶のペンダントを握りしめて微笑む。

「まあ、驚くのも無理はないわ。どこの魔法少女アニメよ、って話ですものね」

「あはは。芽生さんのエピソードをアニメ化したら案外売れるんじゃないですか?」

 国元の冗談に、芽生はクスッと笑って答える。

「『桜木芽生は魔法少女である』みたいな?」

「それ、色々混ざってません? 分からないですけど」

「タイトルは遥に任せた方が良さそうね。私のにわか知識じゃこれが限界」

 芽生と国元が顔を見合わせて笑い声を上げる。芽生はすっかり元気そうだ。笑いながら、国元は安心していた。

 その時、医師が病室に入ってきた。

「まさかここまで回復が早いとは。前代未聞ですよ」

 それは前代未聞でしょう。二人は同じセリフが頭に浮かんだが、その言葉は一度飲み込む。

「いえ、私はただ眠りから目を覚ましただけのつもりなのだけど……」

「僕もどんな容態だったのかは詳しく知らないので、前代未聞と言われましても……」

 芽生と国元ははぐらかすように返答する。

「桜木さん、このまま行けば明日には退院できますよ。下手すれば仕事復帰だって可能です。我々もリハビリのプラン等を考えていたのですが、その必要は全く無さそうですね。いやぁ、大変驚きました」

 医師が病室を出て行く。

「かなり良いリアクションだったわね」

「どうせならリハビリ受けてはどうですか?」

 二人は顔を見合わせ、クスクスと笑った。

次回は5月3日に更新予定です。よろしくお願いします。

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