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二度目の異世界渡り  作者: 723
帰還編
14/15

魔道具屋の美人エルフ

 「ふぅ」

 「お疲れですか?」


 湊に付き添ってくれたのは、草色のローブを纏った薬師のイヨさん。ドワーフとハーフの彼はこう見えて湊よりも年上である。「合法ショタ」と呟いた東雲は、お嬢にお説教されたのは言うまでもない。

 かくいう湊も可愛らしい男の子とお買い物ができて嬉しい。


 「うーん、気分は遠足に付き添ってる先生の気分」


 正直に言えば、イヨさんは苦笑した。


 「えっと魔道具屋さんは、あ!あそこです!」


 イヨさんの指をさした方を見れば、三角屋根のお店があった。防具屋さんよりもこじんまりしている。こっちもドワーフが商売しているのだろうか。お店の扉は横幅は普通だったけど、縦幅が高くできていた。


 「ごめんくださーい」

 「はい、いらっしゃいませ」


 湊はぎくりとした。

 この透き通るような鈴の音の声に聞き覚えがあったのだ。


 「え、エルフ」

 「はい!ミナトさんよくご存知ですね!ここの魔道具屋さんの店主はエルフなんですよ!」


 イヨさんが、明るい声で教えてくれたが、湊はそれどころじゃなかった。

 じんわりと手のひらに広がる湿った汗、早くなる鼓動。


 「どうしました?」


 美しい男だった。

 そう、私が大好きだったあの人も、誰よりも美しく、そして強く、綺麗なエルフだった。


 「大丈夫ですか?顔色が悪いようですが」


 ハッとして我に返る。

 違う、このエルフは、あの人じゃない。似ても似つかない。だってあの人は。

 目の前のエルフはエルフ族独特の緑がかった銀色の髪に、透き通るような薄氷の色をした瞳を持つ典型的なエルフだった。片眼鏡から知的さが窺える。背が高く、扉もこのエルフ仕様になっているのだろう。


 「あ、大丈夫です。あのマジックバックが欲しくて」

 「マジックバックですか?」


 エルフの店主は、ちらっと湊の腰を見たあと「マジックバックでしたらこちらの棚になります」と何事も無かったように案内してくれた。

 大中小、色々な種類のマジックバックがあった。斜めがけバックにリュック、ギルドでもらうような腰につけられるポーチもある。


 「イヨさん聞きましたよ。サーソリーの良質な毒を採取したとか」

 「もう、毒じゃなくてお薬ですよ」

 「はは、そうでしたね。できたら少しだけ分けて頂きたいのですが」

 「良いですよ。でもギルドにほとんど渡しちゃったので、少しだけですが」

 「少しで構いませんよ。でもイヨさんの少しを頂いてしまうのは気が引けますね。今ならまだギルドに言えば買えますかね?」

 「昨日の今日だから、まだ残ってると思いますよ!買えなかったら言ってください!」

 「ふふ、そうします。ありがとうございます」


 お茶を飲みながら毒の話。日本なら捕まるな。

 ショタとエルフの見た目だけ微笑ましいお茶会を眺めていたら、パチリとエルフの店主と目が合った。湊は思わず顔ごと逸らしてしまう。


 「何かお困りですか」

 「いえ、たくさん種類があって迷うなーって思ってただけで」

 「見たところ魔術師のようですが」

 「あ、さっきも間違われたんですが、私、剣士です」


 早く剣買わないと魔術師に間違われるな。まぁ別に魔術師でも構わないんだけど、つい否定しちゃうから面倒。


 「ほう、エルフのマーキングがあるのでどなたか高明なエルフに師事していたと思ったのですが」

 

 湊は、ハッとして、それこそ反射的に耳に触れた。そこにあるのは十字架のピアス。そう、変哲もないどこにでも売っていそうなピアス。向こうの世界だったら、そうだ。でも、こちらの世界では。


 「いえ、立ち入ったことを聞いてしまいましたね。剣士ならば腰は空けた方が良いですかね?」


 これだからエルフはタチが悪い。

 なんでも見透かしたように、人を逆撫でして飄々としているのだから。


 「二本の短刀使いです」

 「では両腰に?」

 「いえ、こう後ろで交差させる感じで」

 「なるほど、ならば腰上に装着できるこれなんてどうです?肩掛け鞄やリュックのように大容量は入りませんが、ギルドで配当される物よりは数倍入るようになってますし。この位置に装着すれば、剣の抜き差しにも邪魔にならないと思いますよ」


 そう言って、エルフの店主は湊の背中側の腰にマジックバックを当てて見せた。


 「うん、デザインも良い感じ」

 「えぇ、あなたの立派なマントにもお似合いですよ」


 にっこり笑うエルフに、どうしようもなく顔が赤くなるのだった。

 この野郎。

 胡散臭いエルフの店を後にする。


 「どうしてエルフってどいつもこいつもあんな感じなんだろ」

 「へぇ、ミナトさんは他にもエルフに会ったことあるんですか?」


 イヨさんと果物串をもぐもぐしながら今度は武器屋に向かう。


 「うん」

 「凄いですね。エルフってみんなエルフの森にいるから見かけることって少ないんですよ。僕、道具屋さん以外には小さい頃に旅人で一人チラッと見たことあるぐらいですし」

 「あー、そうらしいですね。でも王都には割といる方らしいですよ?」

 「あはは、王都は特別ですからね。魔術研究の中心地ですから」


 魔法と言ったらやはりエルフなのだろう。特に精霊使いとか。

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