名前の雑学 (テスト前の現象)
今後の雑学部!!について
更新は不定期ですが、投稿時間に関して、一番いい暇つぶしになる時間など活動報告などに返信してくれるとありがたいです。今のところ7時頃か17時ごろで考えています。
テスト――それは、学生が体験する壁となり、これからの武器にもなる学校のシステム。
結果が良ければ優越感と共に後の生活を謳歌でき、悪ければ追試という無慈悲の通告が来る学生の敵だ。
彼らもまた、その敵と対峙していた。いや、苦戦しているのは一人なのだが。
「うぅ~」
「なんでこんなこともわからないのかしら」
テストまであと二週間。雑学部のメンバーは、テストに向けて部室にて勉強会を開いていた。と言っても、勉強をしているのは一ノ瀬だけだ。霧崎は一ノ瀬にかかりきりで、津楽に関しては途中からケータイで意識を飛ばしていた。
「えっと、1549年キリスト教を伝来した人物……サンフランシスコ・ザビエル?」
「なんで平和条約風になってんの?」
「正しくは、フランシスコ・ザビエルよ。はぁ、これじゃあ先が思い知れるわね」
「だって、歴史苦手なんだもん」
「一ノ瀬の場合、苦手なのは全教科だろ」
津楽が薄く笑いながら言うと、一ノ瀬は顔を膨らませて言う。
「達也くんは勉強しなくていいの? このままだと私より悪い点数になっちゃうよー」
「そうだな、腹痛、頭痛、嫌悪感、筆記用具忘れ、名前記入忘れというすべての条件がそろえば可能性はあるかもな」
「達也くんの中の私ってそこまで馬鹿なの!?」
津楽と一ノ瀬が勉強そっちのけで言い合っていると、霧崎はため息をつきながら、一ノ瀬の前の広げられたノートを一ノ瀬の視界に移るように掲げる。
「あなたに会話の時間はないわ。早く、この問題をやりなさい」
「結構スパルタだな……」
「霧崎さんごめんね。霧崎さんも勉強しないといけないのに」
「別に構わないわ。こうして教えてる方も勉強になるし、特に今回のテストでそれほど悩んでないから」
「お前、今のところ全部学年一位だよな。どんな勉強をしたらそんなにとれんの?」
「別に。授業をしっかり聞いてればテストの問題なんて簡単に解けるわ」
「いいな~私も頭が良かったらな~」
「まぁ、霧崎の場合、家でも勉強してそうだもんな」
「凄いよね。私この時期になるとなぜか掃除とかネットとかしちゃうんだよね」
「セルフハンディキャッピングだな」
「何それ?」
知らない単語に、一ノ瀬の意識はそちらに向かい、霧崎はため息をついた。
「失敗しても言い訳が出来る状況にすることだよ。全然勉強してなーいとか、ゲームしてたとか、とりあえず逃げ道を作ることだよ。失敗しても言い訳出来て、成功したらハンディキャップがあるのに成功したという自己満足に浸れる人間の弱さからくる心理現象のこと」
「見事に一致してる……どうしたら改善できるのかな」
「そんなの簡単よ。劣等感や優越感がそうしているのだから、友好関係を断てば気にならなくなるわ」
「ああ、霧崎の案は偏見がすぎるから、あまり信じるなよ。例えば、言い訳できない状況に追い込むとか、失敗を受け入れるとか、精神的に向き合えばそのうち改善できる」
「一ノ瀬さん、そんなこと気にしてないで早く問題を解きなさい。彼のことは意識から消し去るのよ。普段の私のように」
「お前、自分の案否定されたこと根に持ってる?」
「あら、景観の分際で人間の言葉を発しているわ。恐いわね」
(根に持ってんな……)
その後、霧崎のスパルタ指導で一ノ瀬は洗脳されたように勉学に励んだ。
しかし、テストでは疲れが出てしまい爆睡。結果、点数が悪いことに変わりはなかった。