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お嬢様はお茶に煩くないらしい

遅れてすいません。

「いらっしゃい!」


扉を開けると大きな火花と鉄が焦げる臭いが辺りに漂ってきた。あらゆるところで鉄を打つような音で耳が馬鹿になりそうなところでその音に負けないくらいの声量の声が近くから響いてきた。


「うぁ!?」


あまりにも近くから響いてきたのとうるさかったので思わずびっくりしてしまった。するとメリアと声の主から笑い声が聞こえた。


「いい反応してくれるねぇ、最近ではお嬢様にしても意味が無いからおもしろくなかったんだ。あんたみたいな美人さんが驚いてくれるとこちらも嬉しいよ」


振り抜くと服と体がほとんど黒くなっている男が話しかけてきた。あまりにも黒いので思わず影かと一瞬、勘違いしてしまいかけた程だ。


「相変わらず頑張っているわね。とりあえず拭いておきなさい。クニサキ」


「はい、どうぞ」


言われるがままに持ってきたタオルを差し出す。本来はお嬢様が転んだり何やりした時用だったがどうやらそれが役に立ったようだ。


「すまないね」


彼はタオルを渡されると人懐っこそうな顔で嬉しそうな顔をしながら、タオルで顔を拭いた。

男はタオルで拭いた顔はイケメン程とはいけないが(そんな簡単にイケメンが居てたまるかっ!)でも良いの部類に入る顔だ。人を相手にする関係の仕事に入ったほうが良いと思う。


「とりあえずこんな所で立ち話も何だからとりあえずこっちにどうぞ」


彼が指さした場所はここと少し離れた小屋だった。この立ち位置から察するに注文する客に関してはあの小屋で対応して、注文を受け取ってからここで製造するのだろう。

とりあえず男に連いていき、小屋に入った。


(さっきの場所と比べてここは予想以上に整っているな)


中はさっきの場所とは比べものにならない程に整っていた。お嬢様がここで用事を済ませた後に屋敷に帰ったとしてもここならバレることは無いだろう。

俺としてはアレに関する調査は二次目標だ。お嬢様がここまで来ること___というかここの屋敷で働いていること自体が予定に入っていなかったのだ。なるべく依頼主とは穏便に過ごして、仕事を終わらしてミルシアと合流しロックドラゴンの素材を届ける事。それが一次目標なのだ。


(ロックドラゴンで思い出したけど、ミルシアは大丈夫なのかな?)


俺にはどうしてもミルシアの安否が気になった。確かに食料は「くにさき」にもあるし、緊急時には無線連絡も出来るがどうしても気になってしまう。


(後でもう一回連絡取って見るか)


「クニサキ、お茶!」


「はいっ、お嬢様!」


仲間を持ちそれを束ねるのは大変だと改めて思った国東であった。




一方、ミルシアは・・・・


「これにしよっと♪」


国東達がいる街とほど近い郊外の港町で買い物をしていた。ミルシアは「くにさき」がいくら広いとはいえさすがにこれでは飽きてしまったために国東に見つからないように上手く調整しながら、どうにか会みのをしていた。

実は隣町に気にしている人物がいるのだがそれを知らないミルシアは笑顔で買い物を続けていた。


「お金はロックドラゴン討伐で貰ったから大丈夫ね」


ロックドラゴン討伐の報酬で国東とミルシア両方に多額報奨金が配られていた。それを使ってミルシアは買い物をしているが少しお金の管理が馬鹿になってしまうかもしれないと本人が思うくらい買っている。


「お客様、お勧めの商品です。最近この辺りで取れた黄金の鶏の卵が最近入荷したんですよ」


金払いがいい獲物を見つけたからか、店員が笑顔でミルシアによって来る。


「本当ですか?偽物じゃないですよね?」


黄金の鶏はこの海域に点在する島や隣接している大陸の国では取れない。黄金と付いているからに値段も頭が馬鹿になってしまうかもしれない程に高いのだ。ミルシアも前に一度見たがあまりの値段に顔が蒼くなったほどだ。

だからこそよく普通の卵に色を塗って、黄金にして客を騙し大金を盗み取ろうとする輩が多いのだ。その為にこの手に詐欺が後を絶たない。


(アレを思い出すと・・・・・いくらなんでもやめようかな・・・)


さすがに頭が冷えてきて、さすがにまずいとミルシアは思ったのか断ろうとしたがこの店の店員には通じなかった。店員はこの店でも随一のベテランであって空気の流れに人一倍敏感だった。だからこそこういう提案をしてきた。


「お客様の気持ちは分かります。大金支払って偽物を掴ませられるのかもしれないと・・・・ですがご安心ください!本店では決してそんなことはしません!本店が保証しましょう。それにここだけの話ですが・・・・・」


急に声のトーンを落とすので吊られてミルシアも耳を傾ける。店主はコソコソと言う。


「お客様は本日、本店の商品を大量に購入してくださいました。そのお礼として今回は特別に値段を2割以下引きしましょう」


それを聞くとミルシアは目を見開いた。


「そこまでしてくれるんですか!?」


見返すと店員も満足な笑みを出す。


「さぁ、どうしますか?」


こう聞かれたらもう返すしかない。笑顔でこう言い切った。


「買います!」


ミルシアも店員も見つめ合い、そして同時に頷いた。





「うっ・・・・・何か懐が急に寒くなったような・・・・」


少し緊張しすぎたのかもしれない、力を抜いていこう。お茶も出来たし持って行こう。

お茶を入れて二人のいる部屋へ入ろうとした時に二人の談話が聞こえてきた。


「ははは、そうでしたか。準備はだいぶできたようですな」


「ええ、もう少しで完成するけどその前に素材が切れてしまったってわけね。ほんとに困ったけどクニサキが居て助かったわ」


「クニサキと言えば、あの子美人ですよね。お嬢様のところにかなりメイドさんがいるでしょ。だから少しくらいでいいですから買い取りますからくれませんか?」


「だめよ。今はお父様とお母様がいないからメイド達の数が少ないの。それにクニサキは専用のメイドじゃくてバイトだからあの子がいいと言わない限りダメ」


「八方塞がりか・・・・お嬢様のメイドさんはダメだとは思っていたけどあの子までダメとは・・・・今度こそ行けるとおもったんだけどなぁ」


いや、だめだから。てか何?”今度こそとは。あなたはお嬢様が来る度にそんなことを頼んでいるの!?

この男にもこの注意が必要だな。この体になってからずっと気になっていたがちょっとこの世界の男は美人に弱すぎるじゃないかと思うんです。

元の世界でもこういう部分は同じという事か。俺も・・・・人の事は言えないがな。


「お茶はまだかな~~~」


「確かに喉が渇きましたね。お茶が見つからないかな?」


さすがに聞き耳立てているとは言えないのですぐに部屋を開ける。


「おっ、ベストタイミングだね」


「遅いわね!と言おうとしたけど仕方がないわね」


男の人からは喜ばれてお嬢様から悪態を吐かれかける。


「少し見つかるのに手間取りまして・・・・・」


適当な言い訳を吐く。少し焦っている。実際、お茶が少し冷めてぬるくなっている。


「じゃ、失礼して・・・」


「いただくわ」


お茶を両方とも飲む。さすがに今度こそダメかと思った。


「ふぅ・・・・」


同時に息を吐く。俺の心臓は早鐘を打っている。連続で。


「おいしいわね」


「あぁ、温度も丁度いい」


(えっ?)


さすがにバレたと思ったがどどうやら丁度よかったらしい。俺は安堵の息を今までで何回かは忘れてしまったが吐いた。そして同時に彼らの味覚に感謝した。

遅れた理由は次回書こうと思います。ここではまぁ、体に異常があったということだけ言っておきます。


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