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魔術師のいる部室  作者: 白い聖龍
秘密のある村
39/80

これが……ダゴン様――


 俺は引き金を引くが、”ガチン”と鈍い金属音がなり弾が発射されない。


 「ちょ、なんで!!」


 この一瞬の油断がいけなかった。


 ”ゴン”という衝撃が俺の左脇腹に鈍い音と砕ける音が鳴り響く。


 意識を友彦さんから銃へ向けた、その一瞬だった。


 「ぐぁ!!」


 音の正体は深きものども(ディープワンス)化させた友彦さんの右拳だった。


 

 友彦さんは空振した体制をこの一瞬で直し再び俺に殴り掛かったのだ。


 俺は痛みから左手で脇腹を抑えその場に蹲る。



 「糞ガキが……最後の最後で運に見放されたな」


 友彦さんは口に溜まっていた血を俺の後頭部に唾を吐くように吐き捨てる。


 (くそ……なんで、発射されなかった?)


 うつ伏したまま右手に持っている銃を見る。


 スライドが途中で引っかかっている感じはない。 


 トリガーも何も異常は見つからない。


 ならば考えられるのは、内部にある撃鉄ハンマーか、弾丸自体に不具合が起きたのか?


 俺がいろいろな予測を立てていたが、友彦さんが俺を現実に戻すかのように後頭部の髪の毛を掴み顔を上げさせる。



 「っ!!」


 そして、覗き込むように俺の顔に自らの顔を近づけて脅すような声で言う。


 「よくもやってくれたな。 てめぇのせいで私の計画は台無しだ……、だから、俺はお前を”こう”することにした」


 友彦さんは自分の右手を深きものども(ディープワンス)化させて、生えてきたナイフのような鋭い爪で俺の左の太ももを刺した。





 「あああああああぁぁぁぁぁ!!!!」




 絶叫。





 友彦さんが刺した傷から、燃えるような痛みが俺の脳にダイレクトに信号を伝える。



 「望月君!!」




 俺の叫びを聞いて三森さんがこちらに助けに入ろうと動こうとするが、フィーアに阻まれされ行動を制限される。


 「くっ!」




 三森さんは俺を助けることを諦め、フィーア達と睨み合っている。



 彼が手を引き抜くと俺の左太ももから噴水のように勢いよく血が噴き出す。


 

 「ぐぁぁぁ!!」




 俺は刺された太ももを抑えるように手に持っていた銃を捨てて両手で押さえつける。


 


 「くくく……後は…………。 ふん!」




 にやけた表情の友彦さんは今度は俺の服掴み、軽々と何処かへ投げる。



 「うおおお!!」



  目の前の景色がすごいスピードでスライドしていくのが分かった、そして俺の背中に硬い何かがぶち当たる。


 「ごぁ!!」


 当たった衝撃で太ももを抑えていた両手が離れて、また勢いよく血が噴き出る。


 「ぐっ!!」

 

 俺は奥歯を噛みしめ痛みを殺し、再び太ももを両手で押さえつけて止血しようとする。




 すでに俺の両手は自らの血によって赤黒く変色している。





 「望月君!!! パーカーの紐で縛るんだ!!」


 


 三森さんの叫ぶ声が俺を動かす。




 俺は自分の来ているパーカーのフードに付いている調整用の紐を引き抜きて、怪我をしている左の太ももに括り付ける。




 「ん”ん”!!」




 彼女の助言のおかげで何とか傷口からの流血を抑えることはできたが、この足じゃもう動くことはできそうになかった。


 今までの経験のおかげでパニックにならずに済んだおかげで、俺は周りの光景を見渡して自分が何処に飛ばされたのかを理解した。


 畳に木で出来た壁や天井、そして、俺の後ろには飛ばされたときに付いたのだろう俺の”血がベットリ付いた封印石”がそこにはあった。




 ここは神社の室内だ。




 「はぁはぁはぁ………」




 血を流し過ぎたためだろう、意識が朦朧としてくる。




 ふと、封印石の方を見ると血が付いていた場所が水を吸い取るように小さくなっていくのが見える。


 そして、次に心臓の鼓動に近い”ドクン、ドクン”と脈を打つリズムで辺りに響き渡る。


 

 「な……ん……だ……?」



 神社の室内から外を見ると、松明でそれなりに明るくなっている洞窟の中に大きな人影のようなものが見え始める。



 そして、その影を見た友彦さんが嬉しそうに笑う。



 「あははははぁぁぁ!!! ダゴン様の影が見えるぞ!! もう少しだ!! もう少しでダゴン様は復活される!! 」



 この時、俺は彼の行動を見て事態の把握をすることができた。



 友彦さんは俺の血を使って”もう一つの方法”、人間の血を封印石に捧げることによってダゴン様を復活させるつもりなんだ。



 「フィーア!! そいつらを抑えて置け!!」



 友彦さんはダメージは追っているためか、少しギコチナイ動きで俺のいる神社に向かって歩いてくる。



 「させるか!!!」



 三森さんはフィーア達の間を抜けて俺を助けようとするが、奴らの連携によって阻まれる。



 「どけぇぇぇぇぇ!!」



 彼女の叫びが洞窟内に空しく響き渡る。


 友彦さんはその様子を横目で見ながらこちらへと向かってきた。


 俺は当然のことながら動くことができず、封印石にもたれ掛かりながらその光景を只々見るしかできなかった。


 


 「ダゴン様が復活されるにはまだ血が足りない……」



 友彦さんは俺の胸ぐらをつかみゆっくりと左腕で持ち上げていく。



 「ぐぁ……」



 怪我とダメージのせいで意識が途切れ途切れになって体に力が入らない。


 「貴様の首を刎ねて、体の中に残っている血を一滴残らずダゴン様に捧げる」



 俺が片腕で持ち上げいる彼の顔見ると、そこには昼間のような紳士のような青年の顔は無く、ただ怒りと歓喜に支配されているような表情をしていた。



 「ダゴン信教を使えなかったのは失策だったが、ダゴン様には十二分に暴れてもらい、その後で我々の国家を築かせてもらう!! この世界の人間が何人死のうと知ったことか!!」




 彼は右手を手刀の構えを取る。



 「しぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 俺は無意識に目を閉じる。



 次の瞬間、”ザシュ!!”っという斬る音が俺の耳に聞こえてくるのと、液体らしき何かが俺の服を濡らしていくのが分かった。







 そして、だんだん自分の意識が遠のいていく。







 (あれ? 俺……死んじゃったのかな……)





 真っ暗な中で俺は自分に問いかける。





 俺はよくやったかな?






 よくやったと思う、こんなにボロボロになって何度も何度も諦めそうなっても踏ん張って頑張ってきたのだから。





 後悔?






 もちろんしているに決まっている。





 ダゴン様の復活を阻止することができなかったし、友彦さん達も止めるこ

とはできなかった。


 



 結局、俺はあそこに戻ることができなかったな。





 淳子さんのお店や新聞部のみんな。 そして、うちの部長のいる部室へ。





 (みんな………ごめん………)














 俺が自分の死を受け入れて諦めかけた時、彼女の声が聞こえる。




 『おや? 君はもう終わりかね?』



 この人は俺が最初に出会った魔術師。


 『やれやれ。 こんなところで死なせるために私は君を訓練したわけじゃないんだよ』


 

 俺をこの奇怪な世界で生きていく方法を教えてくれた人



 『それにうちの部での活動をするのに君にはまだまだ働いてもらわないといけないしね』



 うちの部の変わり者の女部長。


 

 『だから、戻っておいで望月君!』


 

 俺は彼女の名を叫んで目を開ける。


 





 「須藤先輩!!」





 



 今のは何だったんだろうか?


 

 何にせよ彼女の声のおかげで俺は意識を取り戻すことができた。


 そして、目の前で俺を狂喜の表情を浮かべていた友彦さんは口から吐血し、その血が俺の服にびっちゃりと濡らす。


 視線を下にやると彼の腹部から見たことのある赤い手甲が体の内部から突き出ている。


 腕が引き抜かれ、体の中にあるものがボトボトと畳の上に落ちて、大量の血が俺と畳に降りかかる。


 「フィ……ア……」


 彼はつぶやき力なく崩れていく。


 俺もそのまま畳の上に尻餅をついた。


 下に付いた衝撃が再び傷を刺激し痛みが生きてる実感を俺に教える。


 「ぐぅ!!」


 顔を上げるとそこには、赤いローブを身に纏い、同じく燃えるような赤い手甲で武装、そして、白い狐の面を着けた格闘家グラップラーのフィーアが立っていた。

 

 (馬鹿な? こいつは友彦さんの味方のはずだろ?)


 俺の推測を余所に、フィーアは微動だにせず友彦さんを見下すように見ているように感じられる。


 「ごほぉ……フィー……ア……な、なぜ……」


 フィーアに腹を突き破られた友彦さんは途切れ途切れに問いかけた。


 『なぜだって?』


 初めて聞くフィーアの声。


 奴の声は仮面にボイスチェンジャーでもつけているのか、男の声と女の声が混ざったような声だった。


 『君がやり過ぎたからだよ? こちらとしては、君が言うような死人をこの国で出されては困るんだ。』


 フィーアは片膝をつき友彦さんに顔近づけてこういった。


 『それに君が復活を望んでやまない”ダゴン”など、あの方にとっては”小物”に過ぎない』


 「なん……だ……と、あの方がそんなはずは……」


 あの方とはおそらくウィリアム教授のことなのだろう、友彦さんのショックを受けている表情からそのことが窺えた。


 『今回はあの方から仰せつかったのはデータ取り、つまりはダゴン復活は”あれ”の為の実験だったんだよ』


 「”あれ”?」


 ”あれ”とはいったい何のことだろうか?


 

 友彦さんのあの声からしてその正体は知らないようだ。



 『まぁいいや、つまり君の役目は終わりさ。 じゃあね、”道化ピエロ”さん』



 フィーアはそう言い残すと闇に消えるように姿を消した。


 そして、魔剣士と三森さんの前に立っているもう一人のフィーアもユラユラとその姿を揺らして陽炎のように消えてしまった。



 「ば、馬鹿な……じゃあ……私は今まで……」


 友彦さんが最後にそう呟くと、力尽きたかのように畳の上に後ろから倒れて動かなくなった。



 「はは……なんか知らないけど……助かった……」


 俺も危機を脱したおかけで、体の力が一気に抜けていく。



 「望月君!!」


 三森さんが急いで俺のところに駆けつけて、太ももの傷の具合を見る。


 「ああ……これはひどい、すぐにでも病院に連れて行かないと!! 待ってて、今、応急処置を――」


 三森さんがが俺に応急処置をしようとした時、彼女を退かして魔術師が俺の傷口に手を当てる。


 「ちょっと……まさか!」


 魔剣士が小さく何か呟くと、傷口に手を当てている部分が薄くボヤっと光、痛みが引いていくのを感じる。


 どうやらこいつも回復魔法が使えるようだ。


 たしか、村長の話だときちんと習えば子供でも使える魔術らしいし、魔剣を使用しているこいつならこれぐらい習得していても不思議じゃない。


 三森さんは、魔剣士の行動に驚いた表情で質問した。


 「あなた、魔術師なの?」


 三森さんは魔剣士に質問するが、無視してるのか、それとも聞こえてないのか、奴は彼女の質問に答えなかった。


 約15分ほどして治療が終わったのか、魔剣士が俺の太ももから手を放す。


 俺が怪我した部分を見る少し後になっているが、傷口は完全に塞がっている。


 続いて魔剣士は、俺の脇腹に手を当てて怪我の治療をしてくれた。


 「どう? 動けるかい? 望月君?」


 俺の心配をしてか、三森さんが声をかける。


 「ええ、なんとか」


 直したばかりでまだ少し痛みがあるが、動く分なら十分なくらいに、体を回復することができた。


 魔剣士は俺を治療後、自分の負傷箇所を回復させ、さっきと打って変わって元気になった。


 「ところで、これはどうするの?」


 三森さんは神社の室内から外を指差した。


 俺達は室内の入口へ移動して外を見た。


 表には、俺の血を吸いこんで復活寸前のダゴン様の影がユラユラと揺れている。


 「それなら、心配ないですよ。 魔剣士」


 俺が魔剣士を呼ぶと、魔剣はローブの中からクリアーグリーンの宝玉”竜玉”を取り出した。


 「竜玉……異形殺しの宝玉。 よくこんなもの持っていたね」


 「三森さん、これを知ってるんですか?」


 「ああ、昔、知り合いが同じものを持っていたんだよ」


 相変わらずこの人は、謎が多い。


 魔術について知っていたり、けれど、深きものどもの(ディープワンス)は知らなかったり、この人が大学に行く前にいったい何が起きた言うのだろう?


 「まぁとりあえず、この玉を一体どうすればいいんだ?」


 「えっと、これをあそこの――」


 俺達が封印石に目をやると、そこには封印石の前で完全に動かなくなったはずの友彦さんがボロボロの体で封印石にしがみ付いていた。


 「こんな……こと……で、ゲホォ! あ……あきらめ………て、たまるか」


 「一体、彼は何を!!」


 突如、友彦さんはフィーアに開けられたお腹の穴に手を突っ込み、自分の内臓を引きずり出す。


 「グフゥ!!」


 引きづり出された、赤黒い肝臓、脂肪で真っ白な腸などがボトボトと床へ落ちていく。


 中身を出したと同時に、鮮血が腹部の穴から再び噴き出て、封印石を赤く染めあげていく。


 「まさか!!」


 三森さんは、さっきの封印石が俺の血を吸い取ったのを思い出したのか、友彦さんを封印石から引きはがそうと動こうとする。


 「待ってください」


 「えっ?」


 行動しようとした三森さんを、俺は引き止める。


 「なんで! 今、彼を止めないとこの影が……」


 「それなら大丈夫ですよ、彼は深きものども(ディープワンス)の血を引いています」


 そう、摩周さんの説明の通りなら、ダゴン様の復活には”完全な人間の血液”が必要だ。


 けど、友彦さんは摩周さんと同じく祖先の血を受け継いでいる。


 つまりは、彼の血ではダゴン様を復活させることはできないのだ。


 「復活には人間の血が必要です。 けど、彼の血では復活させることはできません」


 俺は友彦さんの最後の悪あがきとも取れる行動をジッと見ていた。


 何度も何度も自分の腹に手を入れて、血を噴出さして封印石に浴びせた。



 何度も。




 何度も。




 何度も。





 ダゴン様が復活すると信じて彼は自分の血を封印石に浴びせる。


 その光景は必死さと哀れさを俺に深く感じさせた。


 しかし、その悪あがきも長くは続かなかった。




 体の血液がだいぶ無くなったのだろう、顔色が真っ白になり封印石にしがみ付いている右手が外れてガクッと体制を崩して畳へと落ちる。





 「ガハァ……あ……あ………」


 もう彼に岩をよじ登る力は残されていないように見えた。


 ダランと力なく畳に仰向けなっている。


 「……魔剣士」


 俺が奴の方を向いて名前を呼ぶと、魔剣士はコクっと頷いて封印石の方へ向かっていく。


 「後は、竜玉を封印石に填めてしまえば、外の影が消えます。 もう終わりにしましょう」


 俺は畳に横たわる彼を見て少し同情していた。


 確かに友彦さんはダゴン様を復活させて、この日本で大暴れをさせて沢山の人を虐殺しようとしていたのかも知れない。


 けれど、それもすべては自分の村に住む人たちの為に起こしたことだ。


 やり方は間違っていたとはいえ、彼は彼なりに自分の故郷を助けたかったのかも知れない。


 俺がそう思っていると、魔剣士が封印石の前までやってくる。


 魔剣士が竜玉を封印石に填めるところを探している時、友彦さんが力なく自分の右ポケットから何かを取り出した。


 「なんだあれ? 何かの宝石みたいに見えるけど?」


 友彦さんが自分のポケットから取り出しのは小指の詰めほどの大きさの小さな赤い石、赤いというよりも朱色に近い色かも知れない。


 かなり限界に達成ているのか、石を持っている手もブルブルと震えている。


 彼は石を取り出した後、何かブツブツ呟き始めた。


 「なんだ? 何をして――」


 俺の隣で腕を組んで考え事をしていた三森さんが、何かを思い出したのか突然叫んだ。


 「まさか!! ローブの子!! 彼からその石を取り上げて!! 早く!!」


 声に気づき魔剣士が俺達の方を向いたが遅かった。


 突然、彼の持っている石が、一瞬赤く光ってガラス玉が砕けるように粉々に砕け散る。


 そして、先ほどまで息も絶え絶えだった友彦さんは立ち上がって、封印石の前にいて意識を俺達に向けていた魔剣士を左手で突き飛ばして再び封印石にしがみ付いた。


 「なっ!! さっきまで死にそうだったに!」


 俺が声を出すのと同時に友彦さんは俺達の方を向いてこう言い放った。


 「油断したよ……たかが子供に……たかが人間にここまでやられるとはね……。 だが、”我々の悲願”だけは遂げさせてもらう!!」


 友彦さんは自分の首に思いっきり爪を立てて引き裂いた。


 ブシューっという音ともに、真っ赤な血がシャワーの様に勢いよく噴出して封印石に掛かる。


 「あ……ああ……あ……あああ……」


 その後、血をすべて出し切ったのか、ビクンビクンと痙攣したのち落ちるように畳の上に倒れる。


 「なぜ、彼はこんなことを? 友彦さんの祖先の入っている血ではダゴン様は復活できないのに……」


 俺が呟いた直後、ゴゴゴッという轟音響き渡り、洞窟全体が揺れ始める。


 「じ、地震!?」


 「望月君、あれを!!」


 三森さんは、封印石の方を指差して俺に見るように促す。


 「え……」


 封印石を見ると、なんと驚いたことに深きもの(ディープワンス)の血が入っているはずの、友彦さんの血液が俺の時と同じように吸収されていくのが見える。


 「馬鹿な……彼の”血”では、ダゴン様を封印石から復活させることはできないんじゃなかったのか!?」


 「じゃあ、この地鳴りは一体なんなのよ」


 次の瞬間、封印石が淡い真っ青な光に包まれて、神社の屋根を突き破って外へと飛び出していく。


 封印石が屋根を破壊したのが原因なのか、上から木材や瓦などが室内に大量に落ちてきて神社全体が崩れてくる。


 「不味い!! 早く外へ!!」


 三森さんに促され、俺と魔剣士は外へ飛び出した。


 その時、神社の中を振り向くと、友彦さんの遺体は神社の瓦礫に埋もれていくのが見えた。


 三人で外に出ると、封印石は丁度、神社の屋根があった2、3メートル上空で静止して、岩全体に亀裂が入っていく。


 「これが………」


 




 そして、封印石に巻かれていた荒縄を引きちぎって、石は粉々に砕け散って破片が地面へと落ちていく。


 


 「これが………」





 石が砕けたとの同時に、大きな、巨大な、絶大なそれが姿を現す。







 「これが……ダゴン様――」







 俺達の目の前に現れたのは、身長が20メートルにも達する特大サイズの魚人だった。


 

 

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