プロローグ
初めて、小説?ラノベ?そんな違いすら分からない素人が書いています
春。
4月末のことだった。
ようやく新しく入学した高校のクラスにもなれ始めた頃。
新しい制服に、新しい教科書、新しいクラス、新しい友達とにもかくにも新しいことが始まる日々だ。
土曜日の半日授業が終わりさてこれから家に帰ってこの間買ったばかりの新作RPGでもやろうかと、教科書を鞄にしまいながら考えていたんだ。
「望月君」
横から話しかけられそっちを向くと二つに後ろ髪を分けてメガネをかけた女生徒が立っている。
この子はうちのクラス委員長だ。
「あ、委員長」
「実は今朝の生徒会議で、各新入生の部活動への入部一覧表を作成してるのだけれども、うちのクラスだと望月君だけどこにも加入していないでしょ?」
うちの学校は各生徒が有意義かつ楽しい学生生活を送るのが方針なのだ。
そのため必ずどこかの部活動に所属しなければならないと、入学式の初日に貰った生徒手帳の3ページあたりに書いてあったような、なかったような気がした。
3年間という少ない高校生活を有意義に過ごすための『規則』なのはわかるのだけども、だれも楽しい時間になるとは限らないからだ。
もし、も・し・もだ。
部活に入って怖い先輩や、理不尽な顧問に当たってしまった日にはどうなることか。
たちまち、有意義で楽しい学校生活が急転直下で地獄の学校生活に変わるに違いないし、なにより俺のゲームのプレイ時間が削られることが我慢ならない。
もちろん、入学式翌日放課後にクラブ説明会が行われているのは知っていたが、新入生の参加は自由ということだったし、その日は発売の新作RPGを購入しようとさっさと帰ってしまったからだ。
「ああ、そうだったね」
そっけない返事で俺は答えた。
正直なところそんな『規則』あったなぐらいな認識だったしそんなことよりも、さっさと会話を切り上げて家に帰ってゲームをプレイしたいためである。
「そこで、実は生徒会の人から聞いたのだけどね。望月君にぴったりな部活があるのよ」
「へ~どんな?」
「それは”写真部”なのよ」
どうやら委員長の説明によると、そこの写真部は部員100名が所属はしているが、99人は部活動をせず俗に言う幽霊部員だらけになっていて1人の女部長が部を切り盛りして活動しているとのことだ。
「だから………ね。どうかな?」
まるで、俺の顔色を伺うような表情で委員長は問いかけてくる。
学生の身分とはいえ、クラスのまとめる委員長である彼女に立場や責任者的なものがあるのだろう。
しかし、提示された条件は悪くない。
この部活なら入部届けを出すだけであとは帰宅部とほぼ同じで学校からまっすぐうちに帰って3年間ゲームがやり放題な高校生活を送れる。
それはまさに俺が望んでいる高校生活ではないか。
ならば、彼女の提案を拒絶することはない。
「分かったよ。俺はその写真部に入部すればいいんだね」
「あ、ありがとうよかった~。新入生で部活動所属していない生徒がいるの。うちのクラスだけだったから。それじゃあ、はいこれ」
委員長は1枚の用紙を俺に手渡した。
受け渡された用紙の内容を確認してみると、自分のクラスから写真部までの地図だった。
「後は部室に行けばそこの部長さんが入部届けをくれるはずだから。それじゃ」
そう言うと、委員長はスタスタ教室を出て行った。
「んじゃ行って見るか」
などと呟き教室を出て写真部へと向かうことにした。