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階段 八月十五日 十二時一分
天使のように美しい女性は、崩れかけている階段の上にいた
「あははこれは死んだよねん、こんなに地形が変わってるんねん、生きてるわけないねんね」
この言葉だけを聞いた人がいたら「なに言ってんだこいつ」と言っただろうが
この光景を見たら言葉もでない
天使の目の前は、ぐちゃくちゃだった
誰が見てもそこに人がいたら生きてはいないと思うだろう
天使は少し笑うと、小さな声で何かを言った
その声は、誰にも届かなかったが
そして消える、文字通り天使は消えた
まるで最初から誰もいなかったかのように........