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2-4






「さて。ではまずは村長から聞いた今回の依頼について話した後、これからの方針を説明する」

 日暮れ時の静かな酒場。寂れて誰もいないそこに僕らシラキ小隊5人がテーブルを囲んでいた。

 まず銀さんが話をまとめる。

 今回の依頼の内容は「深夜の墓場が騒がしいからなんとかして欲しい」というもの。

 昼前に確認しに行ったけれど、墓場は村から少し離れた丘の上に建てられた神殿の近くにある。神殿は既に放棄されて久しく、普段はまったく人がいない。村長さんが言うには、少し前から夜になるとそこで何か騒々しい音が聞こえてくるそうだ。

 他にも夜に怪しい光が浮かんでいたり、昼間に墓場にいったら何かの足跡らしきものがたくさん地面についていたりと。ろくな騎士や魔導士がいない村にとっては恐ろしくて仕方ないことだろう。

 もしかすると魔物が住み着いたのかもしれないし、傭兵くずれや野盗がやって来たのかもしれない。或いは悪魔が出たのかもしれない。いずれにせよ、いつ村に災いが降りかかるか分からない。

 昨日村長から聞いてきた最新の話だと、ついに骸骨が墓場の周りを走っていたらしいとの村人の目撃証言まででてきている。

 とにかくこのままだと不安でろくに出歩けないから、何が起きているか調べて解決して欲しいそうだ。

「以上だが、今朝実際に現場に出向いて見た結果、どうやら鬼火やゾンビ、スケルトン、リビングメイルといった亡者が夜に現れている可能性が高いという事でいいな、二人とも」

「うん」

「どうやら一部、墓の下から這い出てきたような痕跡もあったしね。それに死霊術で使われるお香の残留物もあった。ほぼ間違いないよ。数も少なくとも10体、いや20体はいるだろうね」

 銀さんの視線に頷いたのは女神官ユーリヤと魔導士シャルルさん。

 ユーリヤは一応神殿の末席に名を連ねているため神や悪魔、聖と魔を専門に学んでいる。本人は本や机を前にすると見るからにやる気がどん底まで下がってるけど。

 もう一方のシャルルさんは魔導士らしく、魔道の知識集約が本職だ。中でも風関係を専門にしているけれど、もちろんそれ以外も詳しい。

 ちなみにユーリヤの視線はテーブルに乗せられた料理に釘付けだ。今にも飛び掛かろうとしているくらい、完全なお預け状態。きっと昔ならよだれを抑え切れなかったことに違いない。お願いだからもうちょっと我慢してね。そう思いながらすぐ隣のユーリヤの頭を撫でる。

「では、これから食事を取った後にうち捨てられた神殿に向かう。どうやら現れるのは深夜らしいから、そこでどこから何が起きるか確認するぞ。もし原因が対処可能ならばその場で処分する。無理ならば今日のところは様子見のみで一度村に戻る」

 そこで銀さんが一度言葉を切り、僕らを見渡す。

「我が国はどこに行っても食うには困らない程度には食料豊かだ。だが見ての通り、この村は食べ物には困らないにしろ、それ以外に余裕のある生活をしているとは言えん。おそらく、今回失敗すれば次に依頼するだけのお金を用意することはできないだろう。

 我らが組織の名にかけて、必ず依頼を解決してみせるぞ」

 皆が返事をしてミーティングはお開きになった。

 その後、食事のGOサインが出るとユーリヤは解放された野獣になった。

「いただきまーす!」

 ユーリヤの一際喜びに満ち溢れた声を始めに、各々箸を取って大皿に手を伸ばす。

 僕はまずは山の幸から。キノコと山菜の冷物を小皿に取り分ける。

 左隣のユーリヤを見ると、その手は肉にばかり伸びていた。その顔は喜色満面。幸せ一杯、肉一杯と箸を休めることなく次から次へと動かし続けている。

「こら、ユーリ。ちゃんと野菜も食べなきゃ」

「うん! あ、お兄ちゃんこの鶏肉美味しいよ、お兄ちゃんも食べて食べて!」

 あまり好き嫌いのないユーリヤだけれど、特に肉類が大好物だ。手加減を知らないユーリヤは笑顔で山盛りになった鶏肉の炒め物の小皿を僕へ寄越してくる。

 僕はそれに「ありがとう」と言って受け取ると、ユーリヤの可愛い手に握られた箸が伸びてきて鶏肉を一つ掴む。そしてそのままニコニコと僕の口の前へと差し出してきた。

 ああ、そういう事ね。

「あむ……うん。肉汁がジューシーでいいね」

 ユーリヤに手ずから食べさせてもらい、何か期待に満ちた目で見上げられる。それに思わず苦笑してしまった。

「じゃあ、はい。お返し」

 今度は僕が自分の皿の山菜を箸で一つまみして、両手を胸の前で組みながら「あーん」と小さく口をあけたユーリに運んで行く。

「うー、ちょっと苦い……」

「あはは」

 えらいえらい、とユーリヤのアッシュブロンドを少し撫でる。するとさっきまでなみだ目だったのが一転して「むふー」と鼻を鳴らさんばかりに破顔一笑した。

「ほら、口の周りが汚れてるよ。ん、ちょっと大人しくしてて。拭いてあげるから」

「やー。わっぷ」

 油で汚れたユーリヤの口元を手ぬぐいでふき取ってあげる。その間中、ユーリヤはくすぐったそうに目を閉じていた。

「若いっていいわねぇ……けっ」

 ギシリとどこかの椅子が悲鳴をあげた。

 ふと何か呟きが聞こえた気がして右前を見ると、そこにはもそもそと口にサラダを詰め込むエルフのオリアーヌさん。彼女自身、もう既にほとんど効果を諦めているって言ってたダイエットだけれど、どうしても止められないそうだ。

「おや、オリアーヌには僕がいるじゃないか! 仕方ないなぁ。ほーらアーンしてごらん」

「いらん。何が悲しくてシャルルとイチャつかねばならんのよ」

「ああ、照れているのかい。ふふふ、まったく素直じゃないんだから……ツンデレってヤツだね! でもかれこれ数年はツンばかりだけど、そろそろデレがきてもいいんじゃないかな?」

「……お前がこれまで都でコナをかけている娘の数を言ってやろうか?」

 あ、オリアーヌさんの眉がひくついている。

「おお。もしかしてジェラシーかい?」

「人の話を聞け。13人。また新しい名前の手紙クレームがきてたぞ」

「ちっちっちっ。甘いね。今は15人さ! いやぁ、アンサズ神殿の女神官さんや織物屋の娘さんがこれまたキュートでね」

「なお悪い!」

 そんな先輩二人の喧騒をよそに、左前にいる一人静かな銀さんはと言えば。

「……油揚げはないのか」

 頭の狐耳をペタリと下げ、しょぼんと肉を丸呑みしていた。



 ★★★★★



 食事の後、出立の準備をしにユーリヤと二人で部屋へと戻った。

 立てかけておいた愛用の大剣を手に取る。

 僕らの所属する組織『ムーンストラック・ウォーカー』では自前の装備がない戦闘員には最低限の装備を貸し出ししてくれる。但し、それは遺品を含んだ中古品だったり継ぎはぎだらけだったりとあまり質の良い物とは言えず、あくまで臨時用だ。消耗品も下部構成員の間は上等な物は支給されない。だから、生き延びるためには早いところよりよい装備を自前で揃える必要があり、そうする事で一人前の階段を上がって行く事になる。

 僕の大剣は準騎士だった父さんのおさがりだ。

 2m近い刀身の両刃の剣。騎士になってずっとこれを振るい続けてきた。

 剣術なんて分からないから、とにかく素振りを繰り返した。どうやってこれをより速く振り回せるか、どうやってこれで力一杯叩き斬ることができるか、どうやってこれをコンパクトに扱えるか。

 大剣を天に持ち上げて振り下ろす。切っ先を地面に置いて振り上げる。真横から腰を回して真一文字に切り裂く。

 難しい事は考えなかった。より強く。より速く。より真っ直ぐに。それだけを考えて大剣の重さと力強さを体に慣れさせていった。

 手に血マメができて皮がむけてもずっと毎日振り続けた。足運び、体の動かし方、呼吸のタイミング、腹への力の入れ方、手首による細かい調整。それら全てを斬撃という一つの動作に束ねていった。

 2年以上の実戦を経て、もう大剣に振り回される事はない。それが少し嬉しい。

 次に全身鎧プレートアーマーを手に取り、パーツごとに足から身に着けて行く。足から手までをほぼ完全に覆うこの防具は組織からの支給品だ。間接部分は鎖帷子チェインメイルで覆っている。

 最近ようやく闘気による肉体硬化術をまともに使えるようになってきたところで、全身鎧と合わせて防御面は結構心強くなったと思う。今後は大剣の修練をもう少し増やすかな。

 いずれは闘技の気弾――闘気を体内でって一点に集め、実弾として高速で体外に撃ち出す騎士の技――をも使えるようになりたいけれど、習得にはまだまだ遠い。そもそもが気弾を使えるのは一国のトップの王宮騎士レベルしかいないのだから、一兵ぼく上級士官そこに至るにはそれこそ修練に全てを費やし、日々研鑽を積んでいくしかない。

 全身鎧を着け終えたら、この前スミレ色をした髪と瞳の若い女商人ツァルフォルネさんの店で買った灰色のよく分からない素材でできた防寒具マントを羽織る。なんでもわずかながらに耐熱耐冷耐重効果があるらしいけど……未だに実感はない。何しろツァルフォルネさんの話だと元々が不良品で、その分安く売ってたっていうしなあ。

 そして最後に兜を身に付けた。耳と顔の前面を露出させるオープンフェイスタイプで、かなり軽量化されている。

 さて。これで準備はできた。

「お待たせユーリ。じゃあ行こうか」

「うんっ」

 宿を出て皆と合流する。そして銀さんの号令の下、神殿へ続く夜道へと進む。

 さあ、気を引き締めて行こう。


 村はずれの神殿に着いてからは明かりを灯さず、ひたすら息を潜めて離れの墓場を中心に辺りを警戒する。

 僕は石柱の影に隠れながら、今後あり得る展開の一つの戦闘について思いを馳せた。

 話の通りの相手と数だとしたら、あまり余裕のない戦いになりそうだ。今回のEからDランクモンスターの相手なら僕一人でも倒せるけれど、それが最低10体以上となるとしっかり小隊としてチームで当たらないと危険だ。

 緊張した体を和らげるべく、手にした大剣に心を預けて深呼吸をする。

 ……よし。銀さんを始め、オリアーヌさんやシャルルさんだって頼りになるベテランの先輩だ。いつものように頑張ろう。銀さんがトップに立ち、僕の役割ポジションはそのトップ下で同じく敵の矢面に出る事。

 波立っていた心を平坦にし、奮い立たせる。

 ふと、目の前に真っ黒な犬の後姿が浮かび上がり、霞のように消えた。ああ、『エミリアナ』だ。幼い頃にいつも僕の前に立って守ってくれたその姿。僕の道しるべ。

 彼女の姿を思い出すだけで、僕は強く真っ直ぐ前を見ることができる。そして、今度こそユーリヤを誰にも殺させるものかと、大嫌いな暴力から誰も傷つけさせるものかと決意を新たにする。

 今、僕らの背には不安で眠れない夜をすごしている村人さん達がいるんだ。彼らの営みの曇りを晴らすために自分ができることを頑張ろう。

 冷えた風が神殿に吹きすさぶ中、僕の体の内はかっかと熱くたぎる。

 そうして空に白々とかかる月が大きな弧を描いていき、深夜へとさしかかった時にようやく異変が現れた。

「お兄ちゃん、臭いが変。これは……お香かな?」

 宙に向かって小さな鼻を鳴らしていたユーリヤがまず始めに気付く。

「エミリアノ、ユーリヤ。こっちだ」

 呼びかけてきた銀さんの元に皆が音を殺して集まる。

 隠れながら銀さんが指した方向を伺うと、確かに青白い光が遠く墓場の上をぼんやりとふらふら動いていた。その明かりにうっすらと照らされているのは錆びた鎧を着込み、頭には帯状の布らしきものを巻き、手に槍のような長柄物を持つ人型の姿。さまよう白骨のスケルトンだ。これも村長さんの話にあったとおりだ。

 霞がかかっているように見えるのは、誰かがお香を焚いているからかな?

 けど……

「数が多いな」

「うーん、これは思った以上だね」

 銀さんの目が細まり、シャルルさんが顎ヒゲを撫でながら緊張感のない呑気な声で頷く。

 ざっと月明かりにぼんやりと照らされた広い墓場をなんとか見渡した限り、そこには20体を越す亡者達が徘徊していた。

 今まで夜にこの数が墓場から現れていたのだと思うと背筋が凍える。仮にこの数が墓場から溢れて村を襲ったならば、大惨事は免れなかったに違いない。

「シャルル。地脈に一度現状を記録しておいてくれ」

「了解」

 魔導士のシャルルさんが手際よく地面に幾何図形と文字を描き、魔法を使って今僕らが見た事を地脈に刻み込む。地脈とは大地に流れるエネルギーの奔流で、それは網のように世界各地につながっている。特定のキーワードを使い、ムーンストラック・ウォーカーの関係者でしか引き出せないメッセージ。それは数日間残り、仮に僕らが全滅しても後続が何があったのかをある程度知るための材料になる。

「これで完了っと。さて、どうするよリーダーさん」

「今この場で黒幕を捕まえるぞ。ほぼ確実にこれは人為的なものだろうから、誰がこれを引き起こしているのかを突き止める」

「できるのかい?」

 オリアーヌさんが顔を曇らせながら尋ねる。

 確かに、これらに挑むとなると……一つ間違えれば壊滅しかねない。

「やるしかない。ここまでの規模となると、見過ごすには危険すぎる。それに」

 銀さんはそこで一度言葉を切って、僕らに振り向く。そして人狐の鋭い牙を見せて獰猛な笑みを浮かべた。

「オレの小隊は精鋭だと自負している。全員オレについて来い。いつものように蹴散らすぞ」

「うん。ユーリヤ頑張る!」

「僕は銀さんを信じます」

 ユーリヤが勢いよく手を挙げ、僕も追従する。

 銀さんは嬉しそうに笑っていた。

「エミリアノ。お前の振るう大剣は真っ直ぐで、そして重い。その強さで敵を薙ぎ倒せ」

「はい!」

「そしてユーリヤ。お前の神官としての力は世界の宝だ。だからくれぐれも前みたいに、怪我したエミリアノを庇おうとして前に出ようと無茶をしないでくれよ」

「うー。エミリお兄ちゃんはユーリヤが守るの! 皆も怪我するのは!」

「ははは、いい子だなぁ」

 ユーリヤの後ろからふくよかなオリアーヌさんが抱きつく。頭を撫で回されるままになってるユーリヤを、オリアーヌさんが優しい顔で見下ろしていた。

「さて。方針としてはオレが敵を釣る。少しずつ後退し奴らが伏撃ポイントにきたら、シャルルが敵の鼻っ面に魔法を叩き込み、それから伏したエミリアノが側面から挟撃。オレも反転して敵を抑える。オリアーヌはシャルルとユーリヤをカバーしつつ敵を引っ掻き回してくれ。シャルルとユーリヤは後方で支援を頼む」

 皆が頷く。

「では、ユーリヤ。戦闘前の聖歌を頼む。聖歌の加護を得たら、全員出るぞ」

「うんっ! それじゃあいっくよー」

 うち捨てられた神殿に少女ユーリヤの澄んだ歌声が満たされる。

 『聖歌』は神官が使う魔法だ。詩吟魔法の一種で、天使の力を借りて術者のすぐ側にいる味方を識別してその力を与える。ユーリヤが歌うのは耐衝撃保護。不可視の膜が僕らを覆い、敵の攻撃に反応してその衝撃を殺すという加護だ。それに加えて意識高揚による集中力増大。意識がクリアになり、感覚が鋭敏になる。これらが皆に加わるだけですごく戦闘が楽になる。

 加護の強さは弱冠15歳の術者としては破格の優秀さと評されている。そもそも、ユーリヤ程度の年齢で癒しや聖歌を扱えることが異常だ。普通ならようやく魔法が発動するかしないかといった程度なのだから。一部では密かに聖女と呼ばれているのも納得できる。まあ本人は至って天然な可愛いお子様だけど。

 加護の実質有効時間は今のユーリヤの実力では10分もない。歌い続ければ常に加護はかかり続けるが、各種部隊が揃う大規模な戦闘ならともかく今回の僕らのような一部隊の戦闘では戦場で歌い続けて無防備な姿をさらし続けるわけにはいかない。

「んー。やっぱりユーリヤちゃんの歌声は可愛いねぇ。ぼかぁ癒されるよ」

 シャルルさんが拍手をしながら口笛で冷やかす。シャルルさんも既に魔法を使い、反応速度を超人である騎士並に引き上げている。

 騎士の身体能力は数十メートルをたった一瞬で詰められるほどで、騎士でない者には騎士に対してまともに対抗することすらできない。だから魔導士は魔法を使い、騎士に対抗できるまで反応速度を引き上げるしかない。身体能力向上の魔法もあるけど、これは決して騎士に届く事がない程度だから騎士と真正面から張り合えない。

 気付けばシャルルさんの使い魔の赤い鬼熊のアギトくんも、今は手のひらサイズから元の3mを超える熊の姿に戻っていた。四足立ちになり、小さな唸り声を上げてシャルルさんへと体を摺り寄せている。

「さて。調子は上々。いっちょ張り切っていくぞ」

 オリアーヌさんが細剣レイピアを抜き放ち、確かめるように空を斬る。

「ユーリヤ、祝福エンジェルブレスはかけた?」

「うん! 大丈夫だよお兄ちゃん!」

 祝福エンジェルブレスは神官用の能力向上魔法。魔導士が騎士に対抗するためにかける魔法とほぼ同じものだ。ただ純粋な向上魔法と違って、こちらはタロウル帝国の竜騎士が使う竜魂憑依術に近い。偉大なる存在の魂を呼び寄せてその身に宿し、強力な力を得る。これで神官は騎士に匹敵する力を得る。

 それが祝福エンジェルブレスだ。

 神官の場合、呼ぶのは天使の力。神々が世界を去った後に残り、僕ら人間を支える存在。創造の女神に仕える天使が、女神を信仰するユーリヤに力を貸してくれる。

「よし、準備はいいな」

 僕は大剣の柄を握りなおす。これから始まるのは水際の戦闘だ。少数で圧倒的多数に挑む。もし誰か一人でも脱落すれば即小隊の瓦解に繋がりかねない。

 前衛で体を張る僕が倒れるわけにはいかないと肝に銘じる。

「では、全員気配を殺して進め。墓地の手前を迎撃地にする。そこで他の皆は待て」

 慎重に、墓場を徘徊する無数の敵に気取られないよう夜の小道を移動する。

 幸い、向こうはまったく気付かずになにやら集まって物の受け渡しや何か話し合いをしているようだった。

 一体何をしてるんだろう? 

 不可解な思いを抱えながら、ようやく迎撃地点までこれた。相手にはまだ気付かれていない。

 よし、いいぞ。

「では、ここからオレとエミリアノは別行動だ」

「お兄ちゃん達、気をつけてね」

「うん」

 そして僕らが配置につこうと動き出した時、墓地にいる目標らに動きがあった。さっきまでとは違い、どこか張り詰めた空気がここまで感じられる。

「なんだ?」

 身を硬くして事態の推移を見守る。もしかして僕らのことがバレた? いや、そんな様子はないようだけれど。どうしよう。

 銀さんの顔を伺う。このまま作戦を継続すべきか。

「……一旦このまま待機。ここで少し様子を見るぞ」

 皆が頷く。

 一方、墓場の目標らはそんな僕らを余所よそに大いに盛り上がっているようだった。青白い火の玉ウィル・オー・ウィスプ怨霊(ゴースト)が忙しなく宙を飛び回り、骸骨兵スケルトンが腕をしきりに天へと突き上げ、朽ちた死体(ゾンビ)が拍手を打ち鳴らす。

 そして、突然魔法の光がいくつも生まれ、真っ直ぐ空に向かって打ち上げられた。

 何かの合図? まさか、これからここにいる全員で村へ押しかけようとでも――

 夜空に大音声が光と共に鳴り響く。

 一瞬の閃光。それが連続していくつものフラッシュが辺りを照らす。

 鳴り響く乾いた爆発音。

 光と音が咲き乱れる中、誰かの威勢の良い大声が僕らまで届いてきた。

「それでは、これより墓場大運動会を開催しまーす!」

”おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!”

”待ってましたー!”

”楽しみにしてたぞー!”

”今夜はオールナイトでやってやるぜぇ!”

”負けないぞ!」

”ヒャッハー! 俺達の青団が優勝するぞー!”

 上がる歓声。

 押し寄せる熱気。

 はしゃぎ回る亡者達。

「……へ?」

 思わず気の抜けた声がでた。見ると他の皆も同じように呆気にとられていた。

「わー。きれーい」

 ただ一人、ユーリヤだけは夜空にきらめいた色とりどりの光に目を輝かせている。

「あのー……そこで何をしてるんでしょうか?」

 そんな隠れている僕らへ、突然後ろから知らない声がおずおずとかけられた。慌てて振り向くと、そこには目深にフードを被った小さなローブ姿の子供がいた。

 えっと、どなたさま?


 場所は変わって墓地の中心部。

 深緑のローブに身を包んだ見た目10代前半くらいの死霊魔術師(ネクロマンサー)の女の子と、その後ろに大人しく座している墓地中の亡者の皆さん。

 女の子はヘルッタと名乗った。目深に被ったフードのおかげで顔の上半分が見えない。ローブの胸にティアラを戴いた女性をかたどった刺繍があり、その下に『Ⅱ-Ⅲ』とある。なんだろう。どこかの紋章なのかな。見たことないけど。

 特に印象的なのが右頬にある刺青らしきもので、4つの三角形で頂点を中心に向けた十字架の形をしていた。

 ウィル・オー・ウィスプ達がうっすらと照らす中で僕らは彼女らと対面し、このなんとも言えない現状の説明を受けていた。

 ややあって、銀さんが苦虫を噛み潰したような顔をして狐耳をピクピク動かし、腕を組みながら口を開いた。

「つまり、最近の墓地での異変は全て君が引き起こしていたと」

「は、はいっ。最近は村の人たちがあんまり墓場に来てくれなくて皆が墓の下で不満に思ってたんですよ。それでこのままだと悪霊化しかねないから、じゃあ皆でパーっと何かして鬱憤を発散しようかという話をわたしが提案しまして」

「それで夜な夜な墓場が騒がしかったわけか」

「す、すいません。村の方達をおびえさせるつもりはなかったんですけど……」

 ヘルッタちゃんはひたすらに恐縮しているみたいだ。

 銀さんが一つ悩ましくため息を吐いた。

「でもまた……このお祭りみたいな騒ぎはなんなの?」

 僕は辺りを見回して言った。大まかに墓場は三つの陣地が築かれて、そこに頭に巻かれた布の色でグループ分けがされていた。赤、青、黄の3グループだ。

 その3グループがそれぞれ旗を持ち、中央の端っこには腕に赤丸が描かれた布を巻きつけた亡者達が詰める陣地があった。なんでも赤丸は運営・進行担当だって。

 その運営の中には救護担当としてヘルッタちゃんがいるらしい。体が取れてもすぐ元通りにしてくれるそうだ。

 なんだかやけに大掛かりだなぁ。

「えっとですね、昔のえらい人が言ったんです。『夜は墓場で運動会だ』と」

「うんどーかい?」

 なにそれ。

 すぐ隣のユーリヤがきょとんと首をかしげた。

 僕も初めて聞く言葉だ。どこか遠方のお祭りを指す言葉なんだろうか。

「そんなわけで、昨日で予行練習も終わっていよいよ今日が本番! 栄光の優勝旗は赤団、青団、黄団どこの手に!? 燃えろー! というわけですよ」

 いや、分からないんだけど。

 なにやら右手を大きく振り上げてすごい気炎を吐いているヘルッタちゃん。そしてそれに追従しながら一斉に腕を振り上げる後ろの亡者のみなさん。

 でもなんだろう。この高揚感は。目の前の皆から熱気を感染うつされたのか、僕もなんだかわくわくしてくる。

「ふむ……要は得点制の競技で運動能力を競い合い、グループとして戦うっていう催しだね。

 ところでヘルッタちゃん。今度僕と遊びに行かないかい? よければ神都を案内するよ」

 シャルルさんがそんな風にまとめてくれた。

 そしてシャルルさんはヘルッタちゃんに手を伸ばそうとしてオリアーヌさんのヤクザキックで頭から地面に倒れた。

 うわ、痛そう……。

「お誘いは嬉しいですけど、ちょっと事情があってあんまり表立って出歩けないんですよぅ。くすん。だからそれはまたの機会にお願いします。

 それで……あの、納得して頂けましたか?」

「……ううむ」

 恐る恐るといった具合に伺うヘルッタちゃんを前に銀さんの眉根に皺が寄る。

 まあ確かにここにいる亡者の皆から敵意とか害意といったものは感じられないけど、このまま放置するは難しいだろうなぁ。

「君の言うことは分かった。だが運動会とやらがこれからも続くとなると見過ごすわけにはいかん。我らは村人達の生活の脅威を取り除くための依頼でここに来ているのだから」

「だよねえ」

 オリアーヌさんが後ろで相槌をうつ。

「あ、大丈夫です! 元々今夜で最後だったんです。今までは予行練習で、今日がいよいよ本番だったんですよ。これが終われば皆の不満もスッキリ解消! むしろここで中止となると、そっちの方がちょっとマズイ事態になりかねなくてですねー……ですからお願いです。どうか今夜だけ私たちに運動会をやらせてもらえませんか! 決して村の皆さんには迷惑をおかけしませんから! この通りです!」

「むむ。そこまでされてもだな……」

 勢い土下座までする女の子に銀さんがたじろぐ。

”じょ、嬢ちゃん。忘れかけられた俺らのためにそこまでしてくれるたぁ……”

”うおーん。僕からも頼む! この通りだ!”

 更にヘルッタちゃんに続いてその後ろの亡者の皆さんまで土下座をしていく。

 こ、これは……なんというか、すごく居心地が悪くなっていくような……

 そこでふと何かに小さく手を引かれた。

「……お兄ちゃん」

 隣を見ると、僕をじっと見つめてくるユーリヤの顔があった。ただ静謐に、真っ直ぐ琥珀色の瞳を僕に向けて一度頷く。

「そっか。ユーリヤは大丈夫だって思うんだね」

「うん」

 ユーリヤは昔から不思議と人の良し悪しを嗅ぎ分けられる。ユーリヤが嫌いになったり警戒する相手は、例え一見人畜無害そうに見えても後で何らかのろくでもない事をしていたという事が判明していたりする。

 動物に好かれる人に悪い人はいない、って言うけれど……ユーリヤのこれも当てはまるんだろうか。

 まあ、ユーリヤの『良い人』に昔よくケンカしていた幸成やジャンナさんが入っているのはちょっと納得がいかないけれど。

 けれど、まあ。

 一度天を仰いで、僕は決めた。

「銀さん、いいんじゃないですか。運動会、このままやらせてあげましょうよ」

「エミリアノ」

 渋い顔をする銀さんから、僕は目を逸らさずに続ける。

「悪いようにはなりませんよ」

「その根拠は?」

「ユーリヤが大丈夫だって言いました。だから僕も信じます」

 右手に繋がれたユーリヤの手のぬくもりを感じながら僕は一度も揺れることなく言い切れた。

「お前……それは根拠としては甘いぞ」

「あっはっは。いいじゃないか、隊長。僕も賛成。聖女ちゃんのお墨付きだ。ならそう心配することもないだろうさ。それに、いざとなったら僕とオリアーヌでなんとかするからさ。なっ」

「勝手にあたしを巻き込むな」

 後ろを見ると、シャルルさんがウインクして、それを迷惑そうに手で払うオリアーヌさんの姿があった。

 お二人とも……ありがとうございます。

「……分かった。今日で最後というのであれば、今夜は目をつむろう」

 一度、深い深い息を吐いて銀さんは首を縦に振ってくれた。

「あ、ありがとうございます!」

 ヘルッタちゃんがローブの奥で顔を輝かせたような気配がした。

 ユーリヤも晴れ晴れとした笑顔を僕に向けてきたので、その頭をなでてやる。

「よかったね、ユーリ」

「うんっ」

 撫でられているユーリは本当に嬉しそうだった。

”おおー! 話が分かるじゃねえか、狐の兄ちゃんよ!”

”ありがてえ、ありがてえ!”

”よーし、お前ら今日は祭りだああぁ!”

 そして一斉に歓声で沸く亡者の人たち。ウィル・オー・ウィスプなんかは慌しく墓場を飛び回っていた。

 みんなもよっぽど嬉しかったんだなぁ。

”よしっ。なんなら兄ちゃん達も参加していくかい?”

「いいのっ?」

 首を小脇に抱えた騎士姿のデュラハンさんの思いがけない誘いに、ユーリヤが身を乗り出す。

”おう。飛び入り参加上等さ”

「あ、じゃあこれが進行プログラムです。はいどうぞ」

 口元に笑みを浮かべながらヘルッタちゃんが亜麻から作られた紙を手渡してきた。

”よっしゃー! ゲストさん5名追加ー!”

”おら、お前らそっち持て!”

”わっしょいわっしょい!”

 僕らはあっという間に周りを囲まれ、ひょいっと担ぎ上げられる。

「え? え? え?」

「ぬ、ちょっと待て、オレは……」

 わ、わ、わ。

 すぐ隣を見ると、そこには僕と同じようにポンポン宙を舞いながら運ばれていく銀さんの姿が。

 驚いたけれど、まあいっか。うん。折角だし僕も楽しもうっと。

「あはははははー」

「おー。こりゃ楽しいねぇ」

 同じように体を放り投げられてはしゃぐユーリヤとシャルルさん。

「ちょっとこれはどういう意味よ! あたしはフルアーマー装備のエミリアノや銀より重いってーのか!」

 唯一怒声を轟かせているのは……ああ、オリアーヌさんだ。一度宙に持ち上げられたのはいいけれど、受け止めきれずにペチャンと何人かのスケルトンさんやゾンビさんを下敷きにしていた。

”ぬう、悪いエルフの姉ちゃん。かくなる上は腹をかっさばいてお詫びを!”

”いや、お前(スケルトン)骨しかないじゃん”

”ああ不覚っ。拙者はどうすればー!”

 こうして、僕らを加えてのにぎやかな真夜中の運動会が始まった。



 ★★★☆☆



 数日後。ムーンストラック・ウォーカー本部のある訓練場端にて。

「とまあ、これが前回の仕事だったよ」

「運動会面白かったねー」

 僕とユーリヤは青空の下、果実水を手にのんびり友人とおしゃべりをしていた。

 今はいざという時に備えての待機中じゃなくて、訓練も研修もない休みの日だ。だから存分にのびのびとできる。待機中だといつ召集がかかるか分からないしね。滅多にないけれど、もしB級モンスターが出たらそれこそ一大事の大騒ぎになって戦いにかり出されてしまう。B級モンスターは一個騎士団300名余の騎士を必要として、そこいらの街を存亡の危機に陥らせる。本当に襲撃なんてあってほしくない相手だよ。

「で、ボクは知らないんだけれど、その『うんどーかい』っていうのはどんな事やったの?」

 同じベンチに着いているのはレティーナちゃん。波打つロングの金髪と鳶色の大きな瞳が印象的な綺麗で可愛い騎士の女の子。着る服はヒラヒラしたものが多く、リボンもよく付けている。見た目は十代前半にしか見えないくらい小さな子だけれど、これでも16歳っていうから初対面の時は驚いてしまった。

 僕らの同期のザウルくんを「お兄ちゃん」と慕う元気で明るい活発な後輩の子だ。

「えっとね、500m走に神殿までの障害物競走、墓場外周リレー、お供え物食い競争、火の玉ウィル・オー・ウィスプ入れ、綱引き、大玉転がし……」

「ちょっと待って、お供え物食べたの? それ大丈夫?」

「どうせ自分たちに供えられたものだから、それを持ち主がどう使ってもいいだろうってゾンビの人が言ってたよ」

「お饅頭はちょっと固かったけど美味しかったよ!」

「はぁ。ユーリヤ先輩ったらよくお腹壊さなかったわね」

「あ、僕らの時はたまたまその前日に供えられたばかりのものだったから大丈夫だったよ」

「ねー」

 僕の後ろから両手を首に回して、背中に体を預けてくるユーリヤ。ひょこっと僕の顔の隣から笑顔をのぞかせて、顎を僕の肩に乗せてダラーっとしている。

 時々頬をすり寄せてはすぴすぴ鼻を鳴らしているユーリヤは本当昔と変わりない。まあ可愛いからいっか。

「それで、運動会が終わった後はヘルッタちゃんが魔法を解除して墓場の皆が元に戻ったのを見届けてお仕舞い。一足先に村に戻っていたシャルルさんの使い魔のアギト君と合流して戻ってきたんだ」

 僕の父さんやザウルくんの探し人についても尋ねてみたけど、こっちは今回も空振りだった。

「ねえ、そのヘルッタっていうネクロマンサーの子はそれからどうしたの?」

「あ、墓場でそのままお別れしたんだ。なんでも当分は神都ダーンスレイブに滞在するから、もし用があれば探してくださいって」

「……ふーん。神都ここに、ねぇ。また面倒な子が」

「え?」

「ううん。なんでもないよ。えっとね、それより隊の他の先輩達はそのヘルッタちゃんについて何か言ってなかったぁ?」

「先輩? ううん、特に何も」

「そう……」

 あれ? なんだか一瞬背筋がゾクっとした。なんでだろ。

 右手で肩の上にあるユーリヤの頭を撫でながら、内心感じた怖気を振り払う。

「えへへ」

 隣をもう一度見れば、僕の妹は幸せそうだった。

 きっと今もユーリヤに尻尾があれば、左右にパタパタ振られているだろうなぁ。

「にしても、先輩達って本当変わった任務ばっかり引き当てるよねー」

「そうかな?」

「いや、自覚しましょうよ。エミリアノ先輩ってば……」

 う。レティーナちゃんから向けられる呆れたような眼差しが痛い。

 なんとか別の話題を……って、あれは。

 そこで本部の方から見知った男の人が来ているのを見つけた。

「あれ、ザウルくんじゃないかな」

「え、本当!? どこどこ! やーん、見つけたぁ!」

 わっ。相変わらず素早い。

 気がつけばもうレティーナちゃんはベンチを立って砂埃を撒き散らしながら一直線に駆け出していた。

「おにーちゃーん! それっ!」

「レ、レティ!?」

 足元に白い狼のような獣を連れて訓練場を見渡していた若い青年のザウルくんが、水鉄砲のように胸に飛び込んできた小さな少女を慌てて受け止め――そこねて一緒に尻餅をついた。

 押し倒されてるように見えるのはいつものことだし僕らも気にしない。うん。油断大敵だね。

 でもちゃんと倒れこんだ時にレティーナちゃんを咄嗟に庇っているのは流石だと思う。

「んふふー。これから訓練かな? ね、ね。あの邪魔ーなライサがいないならボクと一緒にやろうよ。いいでしょいいでしょ。よし、決まりっ!」

 うん。レティーナちゃんまた押し切ったな。

「それじゃ、ボク達は訓練してくるからエミリアノ先輩、ユーリヤ先輩まったねー」

 ぶんぶんと手を振ってくるレティーナちゃんと、軽く手を上げて僕らに挨拶するザウルくんを見送る。

 ぐいぐいとレティーナちゃんがザウルくんの手を引っ張っていき、その背が小さくなっていった。

 相変わらず仲がいいなぁ、あの二人は。ザウルくんもライサさんとあんな風にうまくやれるようになれるといいんだけど。

「それじゃあユーリ。僕らも行こうか。今日は何をして遊ぶ?」

「うんっ。あのねあのね、ユーリヤはかけっこがいい!」

「よし、じゃあ競争といこうか。そうだね、東の丘まで走ろうか」

「わーい! はやくいこ、いこ」

「うん」

 ユーリヤの手をとって歩き出す。

 さて、今日も限界ギリギリ、夕暮れまで一日中走り回る事になりそうだ。ユーリヤの体力って神官のわりに底なしだから、付き合うだけでもすごい量のエネルギーが必要だ。

 期待に輝くユーリヤは既に待ちきれないといった具合に先に行っては僕を振り返り、また駆け出しては立ち止まって僕を待つ。

「エミリお兄ちゃん、今日は晴れてよかったね」

「うん。けど遊び終わったらちゃんと女神様にお祈りをするんだよ。僕も日課の大剣の訓練をしないと」

「はーい」

 今日も神都は平和です。







これで導入部は終わりです。

以降は完全に気の向くまま不定期更新となります。

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